業務プロセスの改善を行なった後は、継続的に業務状況を管理・モニタリングしながら「本当に改善されているのか?」を確認します。この記事では、業務管理から分析、振り返り、その後の改善までのステップとそのポイントについて記載しています。

おさらい|BPMの実践の流れ

BPMの取り組みの中では、可視化した業務プロセスを用いて継続的に業務の分析・改善を行います。プロセスに則って考えることで、正しい課題点の発見と効果的な改善策の発見に結びつきます。

BPMの流れを図示した画像です。

BPMではPDCAの流れと同様に、実行→振り返り→改善…の流れを継続的に繰り返していきます。今回の記事では、業務プロセスの可視化と修正を終えた後で初めてタスクを実行する際に行う、タスクの管理・モニタリング〜改善の方法についてご説明しています。上記の図の中の「分析・見直し」と「業務プロセスの最適化」の箇所に該当します。
これより前のステップについて解説した記事を確認してから、読み進めてください。

各ステップで行うことと手順

業務プロセスの改善に取り組む際は、取り組みの効果を測るために「今回の取り組みによって本当に業務を改善することができたのか?」を確認し、できていなかった場合は「どのように改善すれば良いのか?」を検討していく必要があります。それによって改善の度合いを測ることができ、継続的な業務改善が可能になります。
この項では、以下の3つのステップに分けて、それぞれの手順とポイントついて記載します。

  1. 改善後の業務の管理とモニタリング
  2. 振り返りと、改善策の検討
  3. 業務への反映

1. 業務の管理、モニタリング

業務改善の効果計測に必要な情報を収集するために、進行中の業務プロセスのモニタリングを行います。取り組みのゴールとして設定している最終的な目標値だけでなく、それに関わる数値も合わせて計測します。
確認すべき数値は取り組みの目的やゴール次第で異なりますが、イメージとしては例えば以下のような項目があります。

  • 各作業にかかっている時間
  • 作業工数
  • ミスや遅れの発生数
  • 業務にかかっているコスト

ここで洗い出した項目をもとに、改善の度合いを測定し、さらなる改善策を検討していきます。必要な情報を網羅的に測定できるよう意識してください。
管理すべき項目に関しては正しい目標設定の方法について紹介している記事や、KPIについて説明している記事を参考にしてみてください。

モニタリングの際には、記録機能のあるツールを利用することをお勧めします。Excelなどを利用して手作業で記録する方法もありますが、記入内容に漏れや個人差が生じたり、そもそも記録自体がコストになってしまったりするケースもあるためです。タスクを進める中で自動で記録されたり、作業結果をサービス内で集計・確認できるツールであれば、簡単にモニタリング・分析ができます。
以下の記事でおすすめのツールを紹介していますので、参考にご覧ください。

2.振り返りと改善策の検討

計測した結果をもとに振り返り、取り組みの前後を比較して評価を行います。こちらも業務内容や取り組みの進捗状況によってケースバイケースですが、以下では共通している項目についてご紹介します。

振り返りの観点

より良い振り返りができるよう、振り返りの際には「各ステップをの中身を細かく振り返ること」、「業務のフローや取り組み自体など根本的な部分から見直すこと」の2軸を意識しましょう。また、当初取り組みの目的としていた範囲だけでなく、以下の観点でも振り返りができると改善の幅を広げることができます。

①そもそもの業務のゴールが達成されているか
当然ではありますが、業務自体の目的が果たされていなければ元も子もありません。関わりのある部署やチームに影響が出ていないかも含め、業務が問題なく、正しく進行できているか確認しましょう。

②QCD
「QCD」とは、生産管理の軸となる3つの単語の頭文字をあわせた言葉で、QCDとは、Quality(品質)、Cost(費用)、Delivery(納期)の略称です。生産管理の観点・指標として用いられていますが、通常の業務管理においても利用できます。

QCDの概要を表した画像です。
QCDの関係性について表した図

QCDの観点に沿って見直すことで、サービス品質や顧客体験を損なわずに業務を効率化できているか、正しく評価することができます。QCDについて解説している記事も参考にしてください。

改善策の検討方法

振り返りの結果をもとにさらなる改善策を検討します。こちらのステップの取り組み方については、BPMでの課題点・改善策の見つけ方についての記事でご紹介している内容と重複しますので、以下の記事を参考にしてください。

3.業務への反映

改善策を検討した後は、新しい業務フローを現場に装着していきます。以下の流れで順に検討・実行していきます。細かい流れやポイントについては、現場装着の方法について解説している記事を参考にしてください。

  • 関係者への計画共有
  • コンチプランの検討
  • 並行運用期間の設置

もし、変更が軽微なものであれば、スピードを重視して関係者への周知と各種手順書・ツールを修正後新しいプロセスでの運用を開始して問題ありません。

実践時のポイント、コツ

業務改善のためのモニタリングであることを意識する

この記事でご紹介した業務管理や振り返りは業務改善のために行う取り組みであり、通常の業務管理とは異なります。業務パフォーマンスを把握できる項目に対してモニタリングをすること、業務単体ではなくプロセス全体の振り返り・改善を行うことなど、あくまでも業務の効率化や品質の向上に関わる内容を中心に振り返りを行ってください。

メンバーを巻き込む範囲をあらかじめ決めておく

業務の関係者が多い場合、誰がどこまで関わるのか、事前に明確に決めておきましょう。
振り返りの際には、可能な限り関係者の意見を多く集めることがポイントです。様々な立場から意見を集めることでより多くの観点から情報が得られるだけでなく、現場の意見を得られることで血の通った内容にできるためです。
ただし、改善案を検討する場合は、意見が発散しすぎてしまうことを考慮して最終的に判断を行う人や意思決定者をあらかじめ決めておくことをおすすめします。

継続的に改善することを前提に取り組む

BPMは継続的に業務改善に取り組むことが前提の考え方です。以下のように、業務プロセスの実行・分析・最適化を繰り返していくことで業務を効率化していきます。

BPMの流れを図示した画像です。

したがって、コストを抑える、習慣化するなどの目的に合わせて、継続的に振り返りに取り組めるよう事前に設計しておくことが重要です。業務結果を記録する作業は手作業では作業者の負荷が高いため業務管理・モニタリングには自動計測できるツールを用いる、振り返りを忘れないよう月末に振り返りの機会を設ける、などの工夫を検討しましょう。

定性的な情報も考慮する

作業のモニタリング・振り返りを行う際は、定量的な結果だけでなく定性的な情報も回収することをおすすめします。数値ベースでは効果が出ていてもマネジメントコストが上がっていたり、作業自体の難易度が上がっている可能性などもあるためです。アンケートやヒアリングを行うことで意見や感想を回収できます。

おわりに

BPMに取り組むときは、改善策の検討に意識が向いてしまうことが多いですが、より良い改善策を見つけるためにはより良い課題を見つける必要があり、そのためには業務の管理、振り返りが重要な役割を担っています。メンバーや関係者にも協力してもらい、ツールをうまく利用しながら全体の改善に取り組んでみてください。

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