ルーティンワーク(ルーチンワーク)とは、手順や業務フローが決まっていて、日常的に繰り返し行う業務全般のことです。細かい運用業務も多いためプロジェクト等と比較すると軽んじられがちですが、実は業務効率化の可能性の大きい業務です。本記事ではルーティンワークの概要と合わせて、効率化のための取り組み・ポイントをざっくりとご紹介します。

ルーティンワーク(ルーチンワーク)とは

言葉の意味

ルーティンワークとは、手順や業務フローが決まっていて、日常的に繰り返し行う業務全般のことです。ルーチンワーク、ルーティン業務、定常業務と言われることもあります。
そもそもルーティン(Routine)とは「決まり切った手順、日常的な慣例、習慣」などを意味する英単語で、その単語から派生して日次や週次で繰り返し行われる仕事をルーティンワークと呼ぶようになりました。反対に、単発で発生するタスクやプロジェクトはルーティンワークには該当しません。

業務の特徴と具体例

ルーティンワークの特徴は、主に大きく以下です。

  • 日次や週次など、決まったタイミングで発生する
  • 繰り返し行っている
  • 業務の流れや手順、担当者がおおかた決まっている

本来の意味としては“日常的に繰り返し行われている業務”であればルーティンワークと言えますが、繰り返し行えるようオペレーションを整える必要があるため、業務手順や担当者も決まっていることが大半です。
上記の特徴に当てはまるルーティンワークには、例えば以下のような業務があります。

  • 自社製品の受注から納品・提供完了までの手続き業務
  • コンテンツや動画・イベントなどの制作業務
  • 月次で発生する経費精算や給与支払い業務
  • 契約社員や業務委託先との契約更新業務
  • メールの確認、返信
  • 営業結果の蓄積、分析
  • 日報の提出
  • システム作動状況の確認と記録

一般的にルーティンワークというとバックオフィスや管理部門の業務をイメージされることが多いですが、例から分かるように業種や業界をわず発生しています。また、企画や制作など一見非定型的に思える業務も、実は流れや手順自体は決まっているケースも多くあります。
ご自身のご担当業務にもルーティンワークがないか、確認してみてください。

定型業務との違い

ルーティンワークと並んで「定型業務」もよく使われる言葉です。定型業務はルーティンワークとほぼ同義で、定常的に行われ、業務フローや手順が決まっている業務を指します。明確な使い分けはありません。
ただ、筆者の経験からすると、実際の利用シーンに以下のような違いがあります。

  • ルーティンワーク…発生タイミングが決まっていて、1人で行えるものも含む
    (例)経費精算、日報、KPI管理
  • 定型業務…何かの業務をトリガーとして発生し、複数名が関与することが多い
    (例)入社手続き、トラブル処理、お問合せ対応

業務の定型化度合いは変わらないものの、ルーティンワークの方がより単純で粒度の小さいタスクが多いイメージです。
厳密な定義の違いはありませんので、どちらを使っていただいても問題はありません。定型業務について説明している記事も参考にしてください。

ルーティンワークを効率化することの効果

そもそも|業務をルーティン化することの効果

あまり認識されていませんが、日常的に業務を行えるようオペレーションを整えルーティン化すること自体が効率化のための手段のひとつです。業務の手順やフローを一律に整えることで、具体的には以下のメリットをもたらします。

  • 業務の手順やフローを見える化できる
  • 業務の属人化が解消され、引き継ぎに生じるコストを削減できる
  • 誰でも同じように作業できることで、クオリティを担保できる
  • 業務のミスや抜け漏れ、遅れを削減する

その上で、さらにルーティンワークを効率化することの意味は以下です。

ルーティンワークを効率化することの重要性

ルーティンワークは他の業務に比べ、効率化を実現できたときのインパクトの大きい業務です。既に述べている通り、ルーティンワークは日常的に繰り返されるため必然的に業務ボリュームが多くなります。したがって効率化できる業務のボリュームも多くなるため、プロジェクトなど一度しか行われないタスクを効率化するよりもはるかに大きな改善効果が見込めます。

ルーティンワークを効率化する方法

ルーティンワークを効率化するための具体的な方法についてご説明します。大きく分けると4つのステップに分けて進めることができます。

  1. 現行業務の詳細を把握する
  2. 業務課題を洗い出す
  3. 改善方法を検討する
  4. 試験的に業務を変更してから、本格運用に切り替える

以下に、それぞれのステップの詳細について説明します。

1.現行業務の詳細を把握する

まずは現行のルーティンワークの状況を確認します。次の段階で課題を洗い出すためには、業務フローや手順、関係者や期間など、業務に関する情報を詳細に把握しておく必要があるためです。方法はいくつかありますが、まずは作業手順書フローチャートで業務を見える化することをおすすめします。それぞれ記事がありますので、参考に取り組んでみてください。

2.業務課題を洗い出す

業務の現状が明らかになったら、効率化のためのポイントを探します。見直しの観点は様々ですが、例えば以下のようなものがあります。

  • 毎回のようにミスや遅れが発生している業務はないか
  • 形式的に行っているが、本当は不必要な業務はないか
  • 担当者や担当部署は適切か
  • 最小工数で進められるよう構成されているか

長期間同じメンバーが取り組んでいると業務内容が完全に固定化されます。変更可能な箇所が見つかりづらいかもしれませんが、現在の運用を最適と思わず一から見直すことが重要です。

3.改善方法を検討する

課題がある程度明確になったら解決方法を検討します。業務効率化の方法についてまとめている記事がありますので、詳細な方法については記事を参考に検討してみてください。
もう少し大きな粒度で施策を検討したい場合には、ECRSを用いるのがおすすめです。ECRSは業務改善に取り組む際に用いられるフレームワークで、業務を見直すための以下4つの観点の頭文字を合わせたものです。

  1. Eliminate(排除): 業務やプロセスをなくす
  2. Combine(結合) : 別々の作業を同時に処理する、ひとつにまとめる
  3. Rearrange(再配置): プロセスや担当者を入れ替える
  4. Simplify(簡素化): 手順やプロセスを簡単なものに変える、自動化する
ecrsの要素を解説している画像です

4つの観点から各課題に何が適しているのかを検討していきます。より詳細な進め方については、ECRSについて解説している記事も参考にしてください。

4.試験的に業務を変更してから、本格運用に切り替える

改善策が決まったら、進行において問題がないか・本当に業務が効率化されるのかを確認するためまずは試験的に業務を切り替えます。トライアルとして取り組んでみて改善点があれば修正し、問題なく運用できることが分かったら本格的に業務を切り替えます。
ただ、業務を切り替えた直後はミスや抜け漏れが発生しやすくなることもあり、業務が効率化されたことの効果を実感できるまでには一定の期間が必要なことも多いです。業務の発生頻度にもよりますが、1週間〜1ヶ月程度お試し期間を設けて振り返りを行うことがおすすめです。

ルーティンワークを効率化するためのポイント

担当者目線を忘れずに

業務効率化を推進するのは主にマネージャーや管理者の方であることが多いかと思いますが、業務変更の影響を最も強く受けるのは実際に業務を担当している現場の担当者です。担当者にとって取り組みやすいよう、可能な限り負荷のかからない形で業務を装着できるよう意識しましょう。

業務の定着・運用の方法まで検討しておく

日常的に行われていた業務を変更すると、元通りに業務を進行できるまでに時間がかかります。業務フローや手順を大きく修正する際には、新たな業務内容を早期に定着・運用するための方法を事前に検討しておきましょう。例えば、業務開始前にメンバー全員へのレクチャーの機会を設ける、OJT形式で業務をインプットする、1週間ごとに確認の機会を設けるなどです。

定期的に業務を見直す機会を設ける

業務環境は人事異動や事業のフェーズに合わせて変わり、それに合わせて最適な業務の形式も変わっていきます。一度効率化できた段階で終わりではなく、定期的に見直す機会を設け、常に最適な業務形態にアップデートできるようにしましょう。特にルーティンワークは一度固定化されると放置されやすい業務のため、より注意が必要です。頻度には決まりはありませんが、業務の発生頻度が少ない場合でも半年か少なくとも1年に1度は見直せると良いです。

ルーティンでない業務のルーティン化も検討してみる

現在はルーティンワークでないものの中にも、実はルーティン化できる業務が存在します。特に業務フローが固まっていて担当メンバーが複数名いる場合には、それぞれが別々の手順で取り組んでしまっていることも多いため注意が必要です。ルーティン化できないと思っていても実際には最適な手順が決まっていることも多いので、一度業務全体を見直してみましょう。

ルーティンワークの管理ツール「octpath」

ルーティンワークは一般的なタスク・プロジェクトと業務特徴が大きく異なるため、ルーティンの管理に特化したツールで管理することがおすすめです。

弊社では、ルーティンワークの管理に特化したプロセスマネジメントツール「octpath」を提供しています。業務をフロー形式で管理できる上、手順やチェックリストも登録でき、教育や引き継ぎを不要にできます。また「定期実行機能」によって日次や月次など事前に設定した条件で自動でタスクを開始することも可能で、タスクの開始漏れも防止できます。
詳細はサービスサイト(https://octpath.com/をご確認ください。

octpathのサービス納品プロセスに関わるイメージ画像です

終わりに

ルーティンワークの効率化に向けた具体的な取り組みはイメージできましたでしょうか。現場メンバーと協力しながら、ぜひ効率化に取り組んでみてください。

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