マニュアルの作成にあたって具体的な方法、ポイント、利用可能なツールなど、マニュアル作成に必要な基本情報を網羅的にご紹介します。
マニュアルを作成したいが具体的にどのような手順や流れで取り組めば良いかわからない方、組織やチームのナレッジ管理のためのマニュアル作成に取り組まれようとしている方向けに、失敗しないためのコツを含めてご説明します。
マニュアル作成の基本
マニュアルを作成する目的
マニュアル作成の目的は、業務の手順を揃え、業務の属人化を防止することで業務品質を安定・向上させることです。決まったメンバーが同じ作業を担当していると、社内業務は知らぬ間に属人化していきます。作業の具体的な手順を文面で残しておくことで、作業者ごとのばらつきを防ぎ、マニュアルを見れば誰でも同じクオリティで作業を進められるようになります。日々の業務進行の場面でも、業務を引き継ぐ場面でも役立ちます。
- 業務の属人化を解消する
- 業務のナレッジを可視化して組織力を向上
- 作業品質全体の底上げ
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マニュアルを作成するメリット
マニュアルを作成することで得られるメリットはいくつか存在しますが、代表的なものを記載します。もし、作成を検討されている場合は目的と合致しているか確認してください。
- 作業におけるミスや抜け漏れを防止し、業務品質を安定させる
- 組織全体での作業効率の向上を目指す
- 新しいメンバーや新任者が素早く業務で価値を発揮できるようにする
- 部署を超えて作業方法やナレッジを共有できる
業務の生産性を考えるQCDの観点においては、「Q: 品質」「D: 納期」に良い影響をもたらしてくれます。(QCDの考え方の詳細について解説した記事も合わせて参考にしてください)
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マニュアルの形式ごと特徴とメリット・デメリット
マニュアル作成、と一口に言っても、内容を表現する方法・形式には様々なものがあり、特徴や活用シーンが異なります。一般的にイメージされる作業マニュアルは業務方法を可視化・整理するのに適していますが、文字や画像が多くなる傾向があるため、全体を俯瞰的に把握しづらいという欠点もあります。業務の流れを直感的に把握したい場合にはフローチャート、業務の抜け漏れを防止のため要点を確認したい場合にはチェックリスト、など、目的によって最適な形式は異なります。ここでは作業手順や流れ、観点を整理するためのいくつかの形式と特徴、メリット・デメリットをご紹介します。
1. 作業マニュアル
どのようなものを指すか?
画像と文字で作業方法や手順を解説したものが基本的なマニュアルになります。特定の業務や作業について作業マニュアルを参照すれば、その人のスキルや経験に依存せず同じような品質で実行できることを目指します。また、場合によっては具体的な作業の手順ではなく、その組織やチームのナレッジがまとまっているものを指す場合もあります。細かく分類すると、表現はテキスト・画像・図表・動画など複数の形式を駆使しながらまとめられます。
◎ メリット
- テキスト・画像・図表などレベル感や目的に合わせて柔軟な表現ができる
- WordやExcelだけでなく、マニュアル作成ツールが数多く提供されている
☓ デメリット
- マニュアルを作成する際のフォーマットが統一しづらい
- 情報過多になることでメンテナンス性が低く、更新が大変
向いている利用シーン
汎用的なため、デメリットに注意すれば様々なシーンで活用できます。簡易な流れや全体像の可視化ではなく、具体的な作業方法や手順、注意点など特定の作業を実行を支援する目的であれば利点が多いフォーマットと言えます。特に、作業内容を詳細に説明する必要がある場合や事前知識がない新人のメンバー向けのマニュアルとして有効です。
2. フローチャート
どのようなものを指すか?
フローチャートは、業務プロセスやシステムのアルゴリズムなどの流れを記号を用いて表したものです。図式化することで複雑な業務をシンプルに見える化でき、メンバーとの共通認識が取りやすくなる、業務改善に向けた業務整理ができる、などの効果があります。
◎メリット
- 業務全体の流れを視覚的に表現できる
- 比較的短時間で作成ができる
☓ デメリット
- 作業ごとの詳細が分かりづらい
- フローチャートの書き方・記号の意味を把握する必要がある
向いている利用シーン
業務全体の流れを視覚的に表現できるので、実際に作業に取り組むわけではないが業務の概要を共有したい場合などに役立ちます。また、業務プロセスにおいて無駄が発生している部分やボトルネックを見つける場合にも有効です。詳細はフローチャートの作成方法を紹介した記事も参考にしてください。
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3. 作業手順書
どのようなものを指すか?
作業手順書は社内で発生している作業の手順を時系列にまとめたものです。英語でSOP(Standard Operating Procedures)と呼ばれることもあります。通常の作業マニュアルにかなり近い位置づけになりますが、図表が織り込まれるケースはやや少なく、時系列で観点別に手順や方法がとまっているものが中心です。
◎メリット
- 時系列順に作業の詳細を表現できる
- 比較的簡潔に作業の内容や方法を記載できる
☓ デメリット
- 通常の作業マニュアルよりも内容が簡素なためやや分かりづらい
向いている利用シーン
フローチャートと作業マニュアルの中間に位置づけられるものです。そのため、作業内容や方法をある程度細かく表現しつつ作成コストを下げたいようなシーンにおいては、当該フォーマットがオススメです。作業手順書の作成方法の詳細を解説した記事もありますので、参考にしてみてください。
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4. チェックリスト
どのようなものを指すか?
作業のステップごとに作業内容や確認観点をリスト形式でまとめたものになります。具体的な作業を細かく表現したマニュアルとは異なり、最終的な作業のアウトプットや成果、結果をあるべき姿と照らし合わせてミスや抜け漏れを防止するためのものになります。
◎メリット
- 作業における確認観点、重要な点を簡潔に表すことができる
- 作成に時間がかからない
☓ デメリット
- 詳細な作業内容を表すことが難しい
- 正しい、チェック観点の設定が難しい
向いている利用シーン
今回ご紹介したマニュアルの形式の中では最もシンプルなものになります。作成時間が短いことが最大のメリットのため、作業の変更が多いものや、手順が確立されていないものに対しての暫定的な運用として向いてます。また、対象者の作業が熟練していて、最低限押さえるべきポイントを明確化したい場合にも向いています。チェックリストの作成方法を紹介した記事もありますので、それぞれ参考にしてみてください。
マニュアルを作成する際のポイント
マニュアルの具体的な作成方法をお伝えする前に、抑えておくべきポイントをいくつかご紹介します。
マニュアルの形式の選定にあたって
マニュアルの利用者と目的、作業内容の変更頻度の観点から最適な方法を選んでください。基本的に、作業マニュアル > 手順書 > フロー図 > チェックリスト の順で、内容が簡潔なものになります。大まかにいうと、以下の観点で形式を決定していきます。
- 作業の変更頻度が多い…簡単に変更が可能な簡易なマニュアル形式
- マニュアルの参照者の熟練度が低い…より詳細に記載ができるマニュアル形式
- 複雑な作業内容を表現したい…より詳細な内容を表せるマニュアル形式
- 素早くマニュアルを作成する必要がある…より簡潔に作成・更新できるマニュアル形式
上記は一例になりますので、作成の目的を整理した上で、適宜検討してみてください。
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作成したマニュアルは定期的に更新が発生することを意識する
マニュアルは、現在の作業を正確に記録して初めて効果を得られるツールなので、マニュアルの内容と実際の作業内容が違ってしまっては意味がありません。常に最新の業務内容が記入されるよう、定期的に更新し続ける必要があります。
更新忘れを防ぐためには、マニュアル更新時のルールを設定しておくことがポイントです。以下の2点について、マニュアル作成時に合わせて決めておけると良いです。
- マニュアルの更新タイミング(年次、月次、人事異動の発生時など)
- マニュアルの更新担当(誰でも都度変更できるのか、管理者のみなのか)
マニュアルだけでなく業務・タスクと合わせて管理する
上記と関連しますが、一度作成したマニュアルが業務と乖離しないよう、業務と合わせて管理しておく必要があります。特に担当者が何年も変わらない場合にはマニュアルの閲覧回数が減り形骸化してしまいがちなので、可能な限り日々目に入るところに置いておくことがおすすめです。
常に読み手を意識してマニュアルを作成する
当たり前ですが、もっとも重要なポイントです。マニュアルが作成されるということは対象の利用者・読者が存在します。だれが、なぜ、いつ、どこでマニュアルを利用するのか?ということを明確にしておくことで、使い勝手の良いマニュアルを作成することが可能です。
マニュアルを作成するための具体手順
本章では、テンプレートを用いてマニュアルの作り方を解説します。今回は、従業員入社後の手続き業務を例にあげています。形式としては作業手順書を想定しています。
1.マニュアル作成前の準備
マニュアルを作成する前に、準備として以下を決めておく必要があります。
マニュアル作成の目的・必要性を確認
マニュアルを作成するのには常に目的があるはずです。いきなり、作成に着手せず必ずマニュアル作成の目的、達成したいゴールを言語化してください。また、マニュアルは一度作成すれば、業務の効率化が可能になりますが、作成や管理、更新にあたっては継続的に工数が発生します。それも見据えて「本当にマニュアルを作成する必要があるのか?」から検討する必要があります。以下に該当する場合は、マニュアル作成を見送っても良い可能性があります。
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- 作業に従事するメンバーが非常に少数である
- 作業を担当するメンバーが変わる可能性が著しく低い(異動・新規着任)
- 対象の業務が非定型的でマニュアル化が困難である
- 事業環境により業務内容が頻繁に変更となる
- マニュアル作成の対象となる業務発生頻度が著しく少ない
対象の読者や利用状況の整理
マニュアル作成のポイントでも記載しましたが、もっとも重要な要素の一つになります。以下の観点でマニュアルの利用シーンを整理してください。
- Who(誰が)…マニュアルの読者が誰か。前提知識やレベル感、知りたいことは何か
- When(いつ)…どのようなタイミングで読むのか。質問を受け付けられる人はいるか
- Where(どこで)…マニュアルを読む状況下は?紙とPDFどちらの使い勝手が良いか
- Why(目的)…マニュアルを利用する目的、前項で整理
- What(対象)…具体的な業務の内容、どのような作業をするのか
- How(形式)…どのような形式のマニュアルで表現するか
マニュアルでカバーする業務範囲を決めておく
一般的な業務は、いくつかのステップが連なったフロー形式であることが多いため、どこからどこまでの業務をマニュアルに記載するのかを、あらかじめ決めておきます。例に挙げた業務であれば、情報システム部のメンバーが担当する部分だけを切り出すのか、その前後の採用や研修の業務も一つのシートにまとめるのか、などです。マニュアル作成時のコスト、作成後の使いやすさから判断して、適切な範囲を定めましょう。
マニュアルに記載する業務の粒度を決める
マニュアルに記載する業務の粒度は、マニュアルの用途によって様々です。作業レベルで記入する場合もあれば、作業の流れが分かる程度にざっくりと記入する場合もあります。粒度が細かすぎるとマニュアルを参照すること自体が負担になったり、反対に粗すぎると作業の確認ができなかったり、どちらにもメリットとデメリットがあります。マニュアルを作成する目的と、実際の使用シーンに合わせて調整することが重要です。ただ、どんな用途でも共通する目安として、誰でも、同じ業務を同じクオリティで行えるように記載することを意識してください。日頃の業務担当者以外が初めてマニュアルを読んでも理解できる状態であれば、どんな場面であっても活用できるマニュアルになります。
2.対象業務を洗い出し、整理する
マニュアルに記載する業務と、それに関連する情報を洗い出します。作業内容自体はもちろん、使用しているツール、対応のパターン、その作業を行う理由なども合わせて確認しておきます。以下の3点を意識すると、作業の洗い出しをスムーズに進めることができます。
- 情報に抜け漏れがないよう、業務の実際の流れに合わせて作業を洗い出す
- あとから修正しやすいよう、はじめはメモ程度の洗い出しから始める
- 抽象度の高いレベルで業務を洗い出してから、作業内容を細かく分解する
また、管理者の方がマニュアルを作成する際は、作業内容の詳細を把握するために業務ヒアリングをしながらマニュアル作成を進めましょう。業務ヒアリングの進め方やポイントに関する記事を参考にしてみてください。また、業務ヒアリングに関する記事でも説明していますが、ヒアリングだけでなく現場メンバーの作業を実際に目で確認できることが理想的です。
ヒアリングの際は音声を自動で文字起こしする『Texta』がおすすめです。
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3.マニュアルの構成を決める
このフェーズが、分かりやすいマニュアルを作成するために一番重要なポイントです。「どんな要素を項目として設置するか」を検討します。洗い出した情報をもとに、マニュアルの骨子を整えます。サンプルでは、以下の赤枠に該当する部分です。
作業手順や順序は必須項目ですが、その他にどのような項目を設置するのがベストなのかは業務内容やマニュアル作成の目的によって異なります。項目は、多すぎても少なすぎても十分に機能しません。業務に必要な項目を整理して、設定してください。
サンプルに記載していないものでは、例えば以下のような項目が考えられます。
- タスクの開始日、終了期限
- 作業の関係者、ダブルチェック担当者
- タスクのチェック観点
作業詳細を記入し始めると、項目の修正にはかなり手間がかかります。後から変更することがないように、よく検討しておきましょう。
4.実際の作業詳細を記載する
骨子が整ったら、作業内容を記入していきます。
業務の洗い出しと骨子の設定がうまくできていれば、ここでは業務をそのまま記入するだけです。ここで情報の整理がスムーズに進まない場合は、前のステップに戻ってより初期のフェーズから修正し直しましょう。
手順を記載するときは、マニュアルの読み手を意識することがポイントです。前述したように、初めてマニュアルを読んだ人でも内容が理解できるよう簡潔・丁寧に記入しましょう。また、必要に応じて画像や図・表を用いながら、読み手のレベルに合わせて内容を伝えられるようにしましょう。
5.実際に利用する人にチェックを依頼する
マニュアルが完成したら、実際にマニュアルを利用するメンバーに、完成品のチェックを依頼します。自分の担当業務と差異がないか、分かりづらい表現がないのか等のフィードバックを回収し、変更が必要な点があれば修正し、再度チェックを依頼するという流れを繰り返します。利用者への直接的な確認が難しい場合は、業務知識や背景情報のないメンバーにレビューを依頼するか、自分自身で対象の立場に立って確認をしてみてください。
以上のプロセスを持ってマニュアルの作成は完了となります。
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マニュアル作成に使えるテンプレート
マニュアルの作成にあたってご活用いただけるExcelベースのテンプレートをいくつかご紹介させていただきます。サインアップやログインは不要で、そのままダウンロードいただけますので、目的に合わせてぜひ参考にしてみてください。
作業手順書
フローチャート
作業マニュアル
チェックリスト
マニュアル作成ツールのおすすめ7選
マニュアルの作成にあたってはMicrosoft officeのWordやExcelを利用する場面が多いかと思います。もちろん、それらを利用して十分な品質をもったマニュアルを作成することもできますが、マニュアル作成ツールやサービスを活用することで以下のようなメリットが得られます。
- マニュアルの作成・更新が簡単にできるようになる
- 作成したマニュアルの管理・検索がしやすい
- 利用環境を問わずマニュアルを利用できるようになる
ここでは代表的なマニュアル作成ツールをご紹介します。各ツールの細かいメリット・デメリットや料金については、マニュアル作成ツールを詳細にご紹介している記事もありますので、合わせて参考にしてみてください。
Confluence
「Confluence」は海外のサービスで、プロジェクト管理ツールとして有名な「JIRA」を運営しているAtlassianが提供しているツールです。弊社でもナレッジ管理のために利用しています。
サービスサイト: https://www.atlassian.com/ja/software/confluence
toaster team
「toaster team」は国内サービスで、シンプルな操作感が特徴のツールです。登録したマニュアルを、簡易なチェックリストとしても利用できます。
サービスサイト: https://toaster.how/
octpath
「octpath」は弊社が提供しているプロセスマネジメントツールで、フロー形式でマニュアルを管理することができます。作業手順の蓄積だけでなく進行管理に重きを置いており、チェックリストや作業結果の記録欄の登録も可能なほか、条件に沿った分岐処理やアラートの表示も可能です。
サービスサイト: https://octpath.com/
Notion
自由度が高いことで世界から注目されているサービスが「notion」です。弊社でも一部の業務管理や議事録の管理に使用しています。
サービスサイト: https://www.notion.so/ja-jp
zendesk
他のマニュアルサービスとはやや形式が異なりますが、「zendesk」のようなFAQの蓄積ツールの利用でも社内向けのマニュアルとして利用することができます。
サービスサイト: https://www.zendesk.co.jp/
TeachmeBiz
「teachme biz」は主に工場や飲食店、スーパーなどでの現場作業を対象としたマニュアルサービスです。タブレットに映写しながらの利用を想定して開発されています。
サービスサイト: https://biz.teachme.jp/
tebiki
「tebiki」は動画マニュアルの作成に特化した国内サービスです。動画の利用に特化しているため、製造や飲食など、人手による実作業が必要な業務に適しています。反対にITサービスなどPC上での操作がメインであったり、複雑性の低い業務には不向きな部分もあります。
サービスサイト: https://tebiki.jp/
作成したマニュアルを有効活用するために
マニュアルは作成しただけでは意味がありません。実際の業務で活用して、効果を発揮し続ける必要があります。マニュアルが形骸化するパターンは様々ですが、よくあるケースとして、以下の流れで形骸化が進んでいきます。
- 作業者の習熟度、熟練度が上がりマニュアルを参照する機会が減る
- 時間の経過とともにマニュアルと実態に解離が出てくる
- 実態との解離が大きくなり、マニュアルを参照しなくなる
- マニュアルがまったく活用されず形骸化する
後述するポイントに留意していただけると、作成したマニュアルを形骸化させずに有効活用できますので、ぜひ参考にしてみてください。
マニュアル管理の担当者を決めておく
一度完成したマニュアルはその後担当者があいまいになり放置される結果、形骸化が進みます。前述したポイントである定期的な更新と合わせて、誰が主体となってマニュアルを管理するのかを明確に決めておきましょう。また、一歩踏み込むと「管理者」と「編集者」を明示的に設定しておくこともおすすめです。例えば「マニュアルを利用するメンバーはいつでも、誰でも更新してよしとする。ただし、更新した場合は変更点を必ず管理者に伝えること」というような運用をすると、差分に気づいたメンバーが変更点を素早く修正することが可能になります。
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利用開始前にマニュアルを用いたウォークスルーを実施する
マニュアル作成のステップの中で「実際に利用する人にチェックを依頼する」という工程をご紹介しました。単純に書面上でチェック・赤入れをする方法でも問題ありませんが、より高精度に実施する場合は、「実際にマニュアルを用いて試験的に業務を実施してみること(= ウォークスルー)」がおすすめです。この際にポイントとなるのは、詳細な説明はせずにマニュアルだけ渡して作業を依頼することです。そうすることで、事前情報がない状態でもマニュアルを頼りに作業を進められるか、改善すべきポイントがあるか、などが明確になります。実際に手を動かしながらの実行が難しい場合は、関係者で集まって読み合わせる形も有効です。
作成したマニュアルの説明会・装着を実施する
作成したマニュアルを実際に活用するタイミングでは、最初に説明会を実施することが有効です。もちろん、事前情報や説明がなくても作業ができるように作り込んでいるかとは思いますが、より、活用の成功確率を上げるための良い打ち手となります。ここで特に重要になるのが、マニュアルの位置付けや更新の方針をあわせて伝えるチャンスであるということです。マニュアルを形骸化させないためには、仕組みと意識が大切になるため、場を設けて方針を伝えるようにしましょう。
業務プロセスベースになりますが、新しい業務を現場に装着する際の流れやポイントについて解説している記事も参考にしてみてください。
チェックリストをマニュアルとして活用する
チェックリストはマニュアル作成における形式の一つとしてご紹介しましたが、もっとも確実に業務に組み込みやすい様式がチェックリストになります。極端な例ではありますが「作業を実施する際は、完了時に必ずチェックリストに名前・日付・結果を記入し上長に提出する」とうルール作りをしておくと、強制力を持ってマニュアルを活用することができます。また、細かいポイントではありますが、チェックリストの項目の最後に「マニュアルやチェックリストにおいて改善すべき点やポイントがないか」という確認ポイントを設けておくと、より素早く実態との解離や問題点を検知できるようになります。
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管理者からのトップダウンでマニュアル活用を推進し、文化づくりをすすめる
現場でよく見られるケースで、マニュアルに記載されている内容であるにも関わらず新任のメンバーが口頭やチャットで既存メンバーに質問をし、回答をしてしまう、というケースがあります。素っ気なさを出さないことがポイントとなりますが、既にマニュアル化されている内容を聞かれた場合は、自分でマニュアルを参照して、それでもわからない部分があれば質問するように促しましょう。このような文化作りは、現場からボトムアップで取り組むことはハードルが高いため、管理者やリーダーから率先して伝えるべき内容になります。また、一つのルールとして「マニュアルに記載が無い事項が質問された場合には、その内容を聞かれた人がマニュアル化する」と決めて取り組むと、より質の高いマニュアルを継続的に担保できるようになります。
まとめ
基本的なマニュアル作成方法と活用にあたってのポイントを解説しました。作成や変更に工数がかかると思われがちなマニュアルですが、一度作成してしまえば、作成コスト以上のメリットが得られます。是非、現場メンバーと一緒に、作成に取り組んでみてください。