業務管理においては至るところで見える化の必要性が説かれていますが、取り組み方によってはデメリットが生じてしまう可能性もあります。本記事では、見える化によって生じるデメリットとカバーするためのポイントを解説しています。

見える化の基本をおさらい

ビジネスシーンで使用される「見える化」は、その名の通り業務の進行状況や営業実績などの対象物を、特定の目的に合わせて見える状態にすることを意味します。

見える化の取り組み例

見える化は対象物も取り入れられる目的も様々です。例えば以下は、取り組みの内容はバラバラですがすべて見える化の取り組みに該当します。

  • 作業手順書を作成して業務手順を整理することで、業務を標準化する
  • 複数部署が関わる業務プロセスを、フロー図を用いて図式化する
  • メンバーのモチベーションを5段階に分け、定量データ化する
  • オンラインでもタスクの進捗状況が見えるようタスク管理ツールを導入する
  • 個々で取りまとめている営業結果をグラフにしてまとめる

例でも分かるように、見える化は何某かの目的を持って取り組まれるひとつの手段です。詳細は後述しますが、見える化するだけで業務が改善される訳ではありませんので注意してください。
また、具体的な取り組みのイメージがつかない場合は見える化の事例をご紹介している記事をご覧ください。

見える化によってもたらされる効果

見える化によるデメリットもありますが、得られる効果が大きいからこそこれだけ様々な場面で取り入れられています。主な効果は以下です。

課題の早期発見に繋がる

業務の進行状況をリアルタイムに可視化できれば、異常が起きた際に即時に気づくことができます。早期に課題を発見できれば事態が大きくなる前に対処でき、早期解決にも繋がります。

属人化を防ぎ、業務品質の安定をもたらす

作業手順や業務の流れを整理・統一することで属人化を防ぎます。業務のミスや遅れを減らせることから、業務品質の安定にも繋がります。

効果測定により業務改善に役立てられる

業務プロセスを見える化することで、各工程にかかっている時間やミスの発生件数が可視化されます。現行の業務の中で改善すべき箇所が明確になり、業務改善のための正しい打ち手を見つけやすくなります。

見える化のデメリット

見える化の効果は絶大ですが、進め方によっては以下のようなデメリットが生じてしまうことがあります。

見える化に意識が向き、本質が見えなくなる

本来見える化は業務改善のための手段ですが、対象物を見える化すること自体に意識が向いてしまい、業務の本質や目指すべきゴールから外れてしまうことがあります。その結果、業務を見える化できても本来の目的を達成できず、本末転倒になってしまいます。

メンバー目線では見える化に抵抗を感じる

自身の業務状況や成果を見える化されることを快く思わないメンバーも一定数存在します。個々の成果が評価に影響することを恐れたり、監視されているようで窮屈に感じてしまうためです。メンバーが負担に感じないよう進め方に工夫が必要です。

現状維持を求め、停滞してしまう

本来、業務改善のためには現状を定期的に確認し、見える化の対象情報をアップデートしていくことが理想的です。しかし一度業務が整理されると安定的に運用することに意識が向きすぎてしまい、更なる改善策が生まれづらくなってしまう可能性があります。現状維持ももちろん重要ですが、一度見える化するだけで満足してしまうと改善や改革の機会が失われ、形骸化や事業の停滞にも繋がりかねません。

見える化した結果を十分に活用できない

業務の見える化自体は可能でも、その結果に合わせた適切な打ち手が分からなかったり、打ち手が決まってもリソースが足らないために着手できなかったりする場合があります。せっかく時間をかけて見える化しても、その結果を活用できなければ無駄な手間だけが発生し、無意味な取り組みになってしまいます。

見える化に取り組む際のポイント

上記のデメリットも、取り組み方の工夫によってカバーすることができます。以下のポイントを押さえて取り組んでみてください。

見える化した後の理想状態を明確にしておく

先述したように、見える化は業務を改善するための途中経過に過ぎません。見える化に取り組む前に、その取り組みによって何を実現したいのか、ゴールを明確にしておきましょう。見える化ができた段階で満足しないよう注意してください。

自社の業務に合った方法を検討する

見える化といってもフロー図や手順書の作成、ツール導入など様々な手法があります。取り組みの過程においても、担当者自らが進行する場合もあれば外部のコンサルタントに依頼することもあります。自社の状況に合わせて、最も取り組みやすい形を検討しましょう。

取り組みについて現場メンバーと共通認識を取る

業務を正確に見える化するためには業務詳細まで明らかにする必要があり、現場メンバーの協力が不可欠です。関係するメンバーに協力してもらえるよう、取り組みの目的やゴールを正しく伝えておきましょう。特に人員整理が目的の場合には、自分がリストラされることを避けたいという意識から非協力的になりがちなので、伝え方や進め方に工夫が必要です。

プロセス自体にも目を向ける

見える化は、ミスの発生量などの定量的な結果や一つひとつの業務が対象となることが多くありますが、業務プロセス自体を見える化することも重要です。業務プロセスは一度固定化すると変更しづらいため、現状の業務内容に合わないまま運用されているケースがあります。業務プロセスの見える化には、フローチャートの作成がおすすめです。

フローチャート(業務フロー図/業務プロセス図)のサンプル画像です。
フローチャートのサンプル画像

外部の専門家の力を借りることも検討する

業務に課題を感じているが自社のみで取り組むのが難しい場合には、外部のコンサルタントに依頼することもおすすめです。例えば、以下のようなケースです。

  • 自社のリソースが不足していて着手できない
  • 社内に適するスキルを持った人材がおらず、業務改善の推進役がいない
  • そもそも何から始めたら良いのか検討もつかない

費用と効果を加味して、コンサルタントの活用を検討してみてください。また、業務改善コンサルティングの依頼の流れや事業者選定の方法についてまとめている記事も合わせてご確認ください。

【参考】ツールを利用して業務を見える化

業務を見える化する1つの方法として、業務管理ツールを導入するケースがあります。弊社が提供しているプロセスマネジメントツール「octpath」は、フロー形式で業務を可視化し、そのまま業務管理ができるクラウドサービスです。

octpathのサービス納品プロセスに関わるイメージ画像です

流れに沿ってタスクや手順の管理ができるため、octpathにしたがって作業することで誰でも同じように業務を進行できます。また、チェックリストや作業記録の挿入も可能で、octpathを通して完了連絡や担当者間の情報共有も可能なため、煩雑な管理コストも削減できます。
詳細はサービスサイトをご覧ください。

そのほか、見える化に利用できるツールをまとめて紹介した記事も参考にしてみてください。

おわりに

見える化によって何を実現したいのか、ゴールを明確に意識した上で、一つの手段として見える化に取り組むことが重要です。きちんと効果が得られるよう、チームや部署で認識あわせをしてからぜひ見える化に取り組んでみてください。

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