「見える化」は抽象的なワードのため、見える化に利用できるツールと言っても多くの種類があります。この記事では業種や職種を問わずご利用いただける分野に限定して、見える化のおすすめツールをご紹介しています。ご自身の状況に合うツールはどれか、ぜひ導入時の参考にしてみてください。ツール選定時のポイントについてもご説明しています。

見える化ツールの概要

見える化とは|おさらい

見える化の本来の意味は、当然ですが「見えていなかったものを見える状態にすること」です。ビジネスシーンでの見える化についても大きな意味は変わらず、業務の進行状況や営業実績などの対象物を、特定の目的に合わせて、定量的に見える状態にすることを指します。
見える化によって解決できる課題は後述していますが、「属人化の解消」や「作業品質の安定」、「不正やトラブルの阻止」など、業務効率化に繋がるさまざまなメリットがあります。

今回は業種や職種を問わずご利用いただけるような分野に限定してツールをご紹介していますが、見える化の対象物には決まりはありません。業務手順、営業実績、従業員のパフォーマンス・工数、会計情報などあらゆるものに対して見える化を行うことができます。

見える化の詳細については、見える化の概要について解説している記事や、見える化の事例を紹介している記事もご確認ください。

見える化にツールを利用するメリット

見える化はExcelやPowerPoint、紙を利用して取り組むことも可能ですが、クラウドサービスを利用することによって以下のメリットを得ることができます。

  • 人手によるデータの登録や加工をせずに、情報をわかりやすく表示できる
  • 過去に見える化したデータを蓄積して管理・分析ができる
  • 見える化した情報をリアルタイムに確認・更新・修正できる

紙の管理をクラウド化するというだけでなく、人手による手間を削減できる、これまで活用できていなかった情報を活用できるなど、業務改善に関わる大きなメリットを得られます。ぜひクラウドサービスを利用して見える化に取り組まれることをお勧めします。

見える化ツールの分類

見える化ツールには数多種類がありますが、今回は業種や職種を問わず取り組みやすい分野に限定して「業務内容」「進捗状況」「経営状況」と、あらゆる情報の見える化に利用できる「BIツール(ビジネスインテリジェンスツール)」の合計4つのジャンルに分けてご紹介しています。

見える化ツールの分類をまとめた画像です

それぞれフィットしている課題感や実現できることが異なるため、何を見える化すべきなのか、社内の状況に合わせて検討してみてください。以下に、それぞれのツールの概要と解決できる課題をまとめています。

業務内容の見える化ツール

業務の流れや手順などの業務進行において必要な情報を見える化できるツールです。ツール導入以外の方法としてはマニュアルやフロー図が利用されることが多いです。以下のような状況に陥っている場合は、業務内容の見える化が適しています。

解決できる課題

  • 作業方法が統一されておらず品質がばらついている
  • ミスや作業漏れが頻発している
  • 何度も同じ質問を受け付けている
  • 教育や引き継ぎの際にうまく情報共有ができておらず、口頭共有している

進捗状況の見える化ツール

業務の進捗状況と、担当者や期限などの進捗管理に必要な情報をまとめて見える化・管理できるツールです。Excelやスプレッドシートで管理されることもありますが、管理負荷を下げるためにはツールの導入がおすすめです。進捗状況をリアルタイムに管理できることで、以下のような課題を解消できます。

解決できる課題

  • メンバーの状況が分からず、何度も作業確認やリマインドの連絡をしている
  • 遅れや作業の停滞に気づけずトラブルやクレームが発生している
  • どこで業務が止まっているか、終了期限が分からずプロジェクト全体が遅延する
  • 担当者ごとに抱えている業務量が分からず、一部のメンバーに業務が偏る

経営状況の見える化ツール

予算・実績から組織体制の管理まで、企業の経営全体に関わる情報を見える化できます。ツール未導入の場合はExcelなどを用いて手作業で集計・分析されているケースが多いです。見える化ツールを利用することでリアルタイムに経営状況を確認できたり、過去の実績をもとに将来的な経営計画を立案できたりするなど、計画的な経営に繋がります。解決対象としている課題は主に以下です。

解決できる課題

  • 経営会議に必要な資料を手作業で集計・加工するため手間がかかっている
  • 予算・決算時の対応作業が多く、業務に忙殺されてしまう
  • 経営計画をもっと緻密に立てたいが、集計が煩雑で対応できていない
  • 現場から上がってくる情報に漏れや間違いがあり正しい情報を集められていない

BIツール(ビジネスインテリジェンスツール)

BIツールは、対象を問わず、自由に情報を見える化できるツールのことです。ユーザーが好きなように情報を入れてカスタマイズしていくことで、グラフやマップを分かりやすくまとめて表示できます。戦略立てのためにさまざまなグラフを作成して比較したいという場合にも利用できます。

解決できる課題

  • 月次や週次で発生する会議資料のためのグラフ作りに工数がかかっている
  • 情報が複雑・データが多すぎて、一覧表や表計算で集計するのが手間
  • 人によってデータのまとめ方が異なりみづらいため統一したい

【2023年度版】見える化ツール4選(業務内容)

ここからは、具体的なツールについてご紹介します。まずは業務内容の見える化ができるツールです。「業務手順」が見える化できるツール、「業務の流れ」が見える化できるツールをそれぞれ2つずつご紹介します。

Confluence

細かな機能が豊富で複雑性の高い業務にも適している海外サービスです。弊社でも一部の業務の見える化に利用しています。
サービスサイト: https://www.atlassian.com/ja/software/confluence

Confluenceの画面イメージです

サービスの特徴
海外で最も有名とも言えるマニュアルツールで、ドキュメント形式で記録を残すことができます。開発チーム向けのツールとして開発されたため検索やラベリング、 権限管理などの機能が充実しているものの、ある程度ITサービスに理解がないと構築や管理が難しいと感じられるかもしれません。

料金プラン
ユーザー数10名までは無料で利用でき、有料プランは1ユーザーあたり月額660円から提供されています。初期費用はありません。

Docbase

10,000社以上に利用されていてシンプルな画面イメージ・操作性がポイントのサービスです。
サービスサイト: https://docbase.io/

docbaseのイメージ画像です。

サービスの特徴
同時編集や編集履歴の保存など手順管理のための便利機能が付いているほか、セキュリティに関する認証・機能が豊富です。Docbaseのヘルプページは実際のDocbaseのサービスを利用して作成されているため、ご覧いただくと使用感を掴みやすいかと思います。

料金プラン
ユーザー数とストレージ容量ごとにプランが分かれています。最も安いプランでは月額990円で3名・3GBまで利用できます。

Lucid Chart

業務フローを簡単に作図できるサービスで、ビジネスで利用する様々な図表を作成できます。
サービスサイト: https://www.lucidchart.com/pages/ja

Lucidchartのサンプルイメージです
Lucidchartのサンプルイメージ

サービスの特徴
左側に用意された図形からドラッグアンドドロップですぐに作成できます。非常にシンプルで、基本的なフローチャートの専用記号も用意されています。複数人での同時編集も可能で操作性も良いため、ストレスなくスピーディーに作図できます。

料金プラン
無料プランもあり、有料では月額900円から利用できます。プランによって編集可能なフロー図数や利用できるテンプレートなどの機能制限があります。

Teachme Biz

主に工場や飲食店、スーパーなどでの現場作業を対象としたマニュアルサービスです。
サービスサイト: https://biz.teachme.jp/

teachme bizのイメージ画像です

サービスの特徴
画像・動画を使ったマニュアルをメインとしており、素材の加工・編集に関わる機能が豊富に用意されています。マニュアルをコースでまとめたり、受講率を表示することも可能なため、教育や引き継ぎにも利用しやすく、マニュアルの改善に向けた分析も可能です。

料金プラン
大規模企業での利用を対象とされており月額50,000円から利用できます。プランによってマニュアル作成者・閲覧者の人数や機能に制限があります。

【2023年度版】見える化ツール4選(進捗状況)

「業務の進捗状況」の見える化ができるサービスについて、厳選してご紹介します。

Jira

もともとソフトウェア開発の進捗管理のために作られたクラウドサービスです。弊社でも、ビジネスサイドと開発用の両方で使用しています。
サービスサイト: https://www.atlassian.com/ja/software/jira

Jiraのサンプルイメージです

サービスの特徴
大企業ではJIRA専門の担当者が置かれるほど、多機能でパワフルなサービスです。もともと開発業務に利用されていたことからチケット単位でタスクを管理できることが特徴で、複雑性の高いプロジェクトに適しています。また他サービスとの連携やセキュリティの管理も分厚く設計されています。

料金プラン
10ユーザーまで無料でご使用いただけます。11名以上は1ユーザー月額840円から利用可能で、7日間の無料トライアルも可能です。個人的には、機能の割にかなり安価だと感じます。

octpath

弊社が提供しているサービスで、「業務内容」と「業務状況」をどちらも見える化できるツールです。業務フローを作成した後、そのまま業務管理ができます。
サービスサイト: https://octpath.com/

octpathのサービス納品プロセスに関わるイメージ画像です

サービスの特徴
業務をフロー形式で見える化し、それぞれのステップに対して作業手順やチェックリストを挿入できます。そのまま業務管理にも利用でき、進捗管理や作業工数の記録・出力も可能です。また、作業結果に応じた自動分岐や未履行時のアラート機能を用いることで、ミスや漏れを未然に防止できることもポイントです。
見える化だけでなく、業務管理にも課題のある方におすすめです。

料金プラン
1ユーザーにつき月額1,650円の1プランで提供しています。

Asana

弊社でも利用しているタスク管理ツールで、シンプルさと操作性の簡単さが特徴です。
サービスサイト: https://asana.com/

asanaのサンプルイメージです

サービスの特徴
プロジェクトやチームごとにタスクを登録できます。一行で記載できるような、単発で発生する細かなTo-doの管理に特に適していますが、ビューを変えればプロジェクトの管理にも利用できるため、なるべく1つのツールで業務をまとめて管理したいという方にもおすすめです。

料金プラン
15名まで無料で利用でき、有料プランは1ユーザーあたり月額1,200円から利用できます。プランによって、管理できるプロジェクト数やセキュリティなどの機能に違いがあります。

Trello

かんばんボードで広く知られている進捗管理ツールです。筆者も過去に使用していました。
サービスサイト: https://trello.com/ja

trelloのサンプルイメージです

サービスの特徴
左から右へタスクをずらしていくことで業務のステータスを確認できる、かんばんボードが大きな特徴です。パッと直感的にタスクの進捗を把握することができます。また、担当者や期限などタスクに付随する情報も追加することができるため、業務進行にも便利です。

料金プラン
無料、$10、エンタープライズ(お問合せ)の3つのプランに分かれています。人数制限はなく機能に差があるため、使用したいチームやプロジェクトに合わせて検討してください。

【2023年度版】見える化ツール2選(経営状況)

今回は経営状況と一括りにしていますが、それぞれ見える化できる範囲や機能は異なります。それぞれ説明文やサービスサイトをご確認いただき、自社に合うものを探してみてください。

Loglass

経営に必要な情報をまとめて管理できる、経営管理クラウドシステムです。
サービスサイト: https://www.loglass.jp/

サービスの特徴
予実管理から組織体制まで経営に関わるデータをシステム上で簡単に蓄積・管理・分析できるため、経営会議のための資料準備やExcelでの集計作業などを不要にできます。また、過去のデータを将来的な経営状況の設計にも役立てられるため、経営の安定化にも繋がります。

料金プラン
公表されていないため、別途お問い合わせください。

freee ERP

元々会計ツールが有名なfreeeでも、ERP(基幹システム)として経営管理ができます。
サービスサイト: https://www.freee.co.jp/cloud-erp/

freeeERPのイメージ画像です

サービスの特徴
会計情報をメインとして、人事労務や勤怠などバックオフィスに関わる情報もまとめて管理できため、月次の精算業務から内部統制まで幅広く対応できます。サービスサイト上のコスト削減シミュレーションを行うことで効果を確認できますので、ぜひお試しください。

料金プラン
サービスサイトでは提示されておらず、資料のダウンロードが必要です。個別にお問い合わせください。

【2023年度版】BIツール2選

Tableau

最も有名なBIツールと言えるほど世界で利用されているサービスです。
サービスサイト: https://www.tableau.com/ja-jp

tableauのイメージ画像です

サービスの特徴
データをドラッグ&ドロップで当てはめるだけで、必要な情報を簡単に見える化することができます。マップやグラフ、一覧表などデータの表し方の種類も豊富で、計画立てや意思決定に利用しやすいよう自由にデータを加工できます。

料金プラン
ユーザー単位での課金で、プランや利用したい製品によって料金が大きく異なります。またオプションも複数あるため、詳細はサイトをご確認いただくか個別にお問い合わせください。

Power BI

マイクロソフトでも、BIツールを提供しています。
サービスサイト: https://powerbi.microsoft.com/ja-jp/

サービスの特徴
マイクロソフトが提供元のため、Excelなどのデータを用いた見える化がしやすいことや、同様の操作性が担保されていることが特徴です。エネルギー系や教育機関、政府機関などの大規模組織でも利用例があることも安心感に繋がるポイントかと思います。

料金プラン
1ユーザーにつき月額1,090円から利用でき、プランごとに機能の違いがあります。

見える化ツールの選定ポイント

さまざまな種類が存在する見える化ツールの選び方について解説します。どのようなツールが自社に適しているのかよく考えて、後悔のない選択をしましょう。

対象者が使いやすいかどうか

今回ご紹介した3分類では、手順の作成者・閲覧者、管理者と担当者、現場メンバーと経営陣というように、さまざまな立場の方がツールを利用することが想定されます。ツールの選定者だけではなく“ツールを利用する可能性のある全メンバー”にとって使いやすいツールであるかどうかが、ツールが現場に定着するかを決めるキーとなるため、その点を意識して選定を行ってください。
無料トライアルがある場合は可能な限りメンバーも巻き込んでトライアルを行い、使用感を確認してから導入されることをお勧めします。

サービスの利用対象と自社の状況はマッチしているか

どんなに機能が多くUI/UXが優れているツールでも、自社の利用シーンに合うツールでなければ十分に見える化の効果が得られません。機能や使いやすさだけでなく「自社の状況にとって適切であるかどうか」を軸に選定するよう意識しましょう。
「飲食店の方向け」「プロジェクト管理」などツールの利用対象について明確に記載がない場合は、先方担当者に対して「どのような業務での利用例が多いか」「自社での利用はマッチしていそうか」を聞いてみましょう。

サポートの範囲や体制はどうなっているか

初期設定が複雑だったり手間であったりする場合、ツールによってはセットアップの代行や利用方法のサポートを行っています。どこを自社で対応すべきなのか、サポートを依頼する場合はどう進めていくべきか、先方の担当者に確認・相談をしてみてください。
「基本的な使い方はわかったから大丈夫」という場合も、サービスの提供元しか分からない最適な方法やコツがある可能性もありますので、可能な範囲でサポートを依頼することをお勧めします。

まとめ

前述したように見える化ツールは種類が多数あるため、自社にとって適切なツールを選定できるよう、複数のツールを比較しながら検討してみてください。
また、このほかにもツールをご紹介している記事がいくつかありますので、他のカテゴリや記事もぜひご確認ください。

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