プロジェクトを円滑に進め、スケジュールどおりに成果をあげるために進捗管理は必要不可欠です。ここでは、進捗管理について「概要は知っているが、具体的な取り組み方やポイントを知りたい」「どのように進めればよいのかわからない」という方を対象に、メリットやポイント、取り組み方を記載していきます。

あらためて進捗管理とは

一言でいうと「業務やプロジェクトの進み具合をリアルタイムに把握し、計画どおり進行できるように管理すること」です。ただしご承知のとおり、物事が計画どおりに進行することはほとんどありません。そのため誤解を恐れずにいえば、本質的な進捗管理は「目的達成のために、業務やプロジェクトの進み具合をリアルタイムに把握し、体制や計画を柔軟に改善すること」と考えられます。

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目的達成のために実施される

あらゆる業務やプロジェクトには「期限」と「目標」が存在しますが、それを達成するために必要な資源(ヒト・モノ・カネ)には限りがあります。限られたリソースの中で期限どおりに目標を達成する、または成果を最大化するために、体制や手法は常に最適化されている必要があります。
しかし、どのような体制や手法が最適なのかは、プロジェクトの状況が的確に把握できていなければ判断できません。目標達成のための体制・手法の最適化のための土台として、業務の進み具合を把握する進捗管理が必要となります。

自分のチームに進捗管理は必要か

自分のチームが進捗管理をしてメリットがあるのかが分からないという場合は、以下の点を確認してください。すべての要素を満たしているプロジェクトや業務であれば、進捗管理に取り組むことを強くお勧めします。

  • 対象のプロジェクトや業務に3名以上のメンバーで取り組んでいる
  • 予算や人員などのリソース・期限・目標とする成果が決まっている
  • 計画の「期間」が3ヶ月以上である

よくある勘違いとして「定型業務だから進捗管理は必要ない」という考え方があります。実際には、作業内容が決まっていて繰り返し発生する業務においても、上記の要素を満たしていれば進捗管理によって十分なメリットを享受できます。

注意!「管理するだけ」では成果は出ない

また、進捗管理によって現状を可視化しただけで満足してしまうこともありがちな失敗です。進捗管理はあくまでも手段であって目的ではありません。前述のとおり期限内の成果を最大化することが最大の目標であり、そのためには進捗管理をした上で具体的な行動に移していかなければなりません。ここでは先に、進捗管理を経たアクションによってどのようなメリットが得られるのか見てみましょう。

進捗管理によって得られるメリット

代表的なメリットについていくつか記載します。現在のプロジェクト・業務で活かせる内容があるか参考にしてみてください。

スケジュールや計画に対する進み具合を把握

もっとも直接的に得られるメリットの一つです。事前の計画から取り組んでいる内容が乖離していないか、スケジュールどおりに進んでいるかがわかります。遅れが発生している場合は体制や方法を見直すか、計画自体を変更することを検討しましょう。

問題やリスクの早期発見

定性的なメリットです。順調そうに進んでいるプロジェクトでも、隠れた問題や将来のリスクが途中で見つかることが少なくありません。タイムリーな進捗管理を行うことで、それらに早く気づくことができ、大きな問題となる前に対処できます。

チームメンバーのパフォーマンスの最大化

見落とされがちなものが「メンバーごとのパフォーマンス」です。プロジェクト全体の状況把握のためには、それぞれのメンバーがどの作業をどれだけ進めているか、という情報が必要不可欠です。
これにより、メンバーごとの得意・不得意や調子の良し悪しがわかります。そのうえで体制を見直したりアサインする業務を変更したりすることで、チーム全体としてパフォーマンスが発揮しやすい状態が実現できます。

進捗管理の具体的な進め方

実際にどのように進捗管理を実現していくべきかを順を追って説明します。記載する方法は、筆者が過去に様々なプロジェクトに取り組んだ経験からベストプラクティスをまとめたものです。具体的なプロセスを理解することで、自身のチームでも取り組むことができそうかイメージしてみてください。

1. 取り組みの目的についてチームで認識合わせをする

当然ですが進捗管理は管理者1人ではできません。各メンバーから日々の進捗報告を受けて、それらをもとに管理者がチーム全体の進捗状況を把握する必要があります。ポイントとして後述しますが、「進捗の報告」は業務に取り組むメンバーからすると一見メリットが少なく、成果に直接つながらない作業が増えたと思われてしまいがちです。そのため、取り組む前には必ずチーム全員で「なぜ取り組む必要があるのか」「それによってどんなメリットがあるのか」を明確にして合意形成をしましょう。

2. プロジェクト/業務の計画を精緻化する

進捗管理は「現状」と「計画」を比較しながら進めていくため、立てた計画が最低限精緻化されていて必要な情報を含んでいる必要があります。計画を作成する際のポイントは主に以下です。

最終的なゴールは明確になっているか

そのプロジェクトを通じて達成したいゴールを明確にしてください。この際、定量的な指標に落とし込まれていることが大切です。目標の抽象度が高いと具体的なアクションや施策に落とし込むのが難しくなるためです。一般的なゴールの指標としては「売上」「利益率」「削減コスト」などがありますが、プロジェクトの内容に合わせて確認してください。
(悪いゴール)「売上を増加させる」
(良いゴール)「現在の営業人数を変えずに、2年以内に売上を1,000万円増額する」

人員・リソースは正しく見積もられているか

「人員」はプロジェクトに参加するメンバーです。単純な人数だけでなく、役割、工数(割ける時間)、担当するタスクの概要を整理します。工数の詳細を知りたい方は「工数管理とは|プロジェクト管理における重要性と効果」も参考にしてみてください。
合わせて「予算」も確認しておきましょう。余剰予算の有無を含めて把握しておくことが重要です。プロジェクトの体制や手法の調整の際には、取れる手段を左右する要素の一つになります。

期限とマイルストーンは妥当か

プロジェクトの期限は、全体の期限だけではなく、マイルストーン(チェックポイントとなる中間目標)も決めておきましょう。プロジェクトの内容・規模にもよりますが、マイルストーンの単位は最長でも3ヶ月、短ければ2週間を目安に設置すると管理がしやすいです。また、マイルストーンにも結果を定量的に判断できる要素を含めるようにしてください。

タスクは具体化されているか

具体的に取り組むこと、タスクについても明らかにしておきましょう。単純にタスクと言ってもその粒度は様々です。例えば「新製品を開発する」という最も大きなタスクを細かくしていくと、「コンセプトを考える」「競合の調査をする」などの構成要素に分解できます。
計画段階での細かさの目安としては「そのタスクに要する期間が1〜2週間」がお勧めです。細かすぎるとタスクが増えすぎて管理が煩雑になりますし、粗すぎると進捗状況が計画どおりか判断が難しくなるという問題が発生します。
上記の要素をもとに「ガントチャート」を作成すると、計画をわかりやすく可視化でき、チーム内や上層部にも共有が簡単になります。ガントチャートについて説明している記事を参考に作成することも検討してみてください。

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ガントチャートのイメージ画像です

3. 役割分担を決める

チームメンバーを管理者と作業者(実際に作業を進めるメンバー)とで分類します。基本的には「管理者」を1名決めれば問題ありません。大切なことは管理者を必ず1名にすることです。

管理者の役割と決定時のポイント

「管理者」は「進捗管理における責任者」です。管理者はプロジェクトのリーダーや責任者である必要はありませんが、一般的にはリーダーが兼務する場合が多いです。
プロジェクトの規模が大きくなると、チームリーダーとは別に進捗管理を専門に行うPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)としてアサインする場合もあります。目安として5名以上が関わるプロジェクトであれば、PMOを専任で立てることをオススメします。
具体的な機能は「進捗状況の取りまとめ」と「振り返りの進行役」です。各メンバーから進捗状況の報告をうけて、それらをガントチャートなどに実績として取りまとめていきます。振り返りの場においても主体的に状況の分析を行います。

作業者が進捗管理においてやるべきこと

管理者以外の各メンバーは「自分の担当業務についての報告」が担うべき役割になります。報告の頻度は短い場合は「毎日1回」、長くても「1週間に1回」のスパンで実施しましょう。詳細は後述しますが「毎日1回」の報告を推奨します。

4. 進捗管理を実施し、報告と取りまとめを継続する

上記の3ステップが完了したら、進行管理をスタートしていきましょう。

業務終了時に作業者から進捗状況の報告を受ける

全作業者から、毎日業務が終了するタイミングで作業進捗の報告をしてもらいます。報告の際、報告書など形式張った形でまとめる必要はありません。メールやチャットなどでも結構ですので、最低でも以下の要素がわかるようにしてください。

  • 実施した作業内容…計画のどこに該当する作業か明確にする。
  • 進捗度…%(パーセント)で表現する。感覚値でもOK。
  • コメント…業務上の懸念やリスク、心配事を記載する。

一般的にはあまり認識されていませんが、3つ目の「コメント」は大切な要素になります。定性的な項目ですが、プロジェクト進捗全体のリスクや計画乖離にいち早く気づくうえで役立ちます。一言だけでもよいので書いてもらうようにしましょう。

管理者が受けた報告を取りまとめる

各作業者から受けた報告は管理者が取りまとめましょう。よくある方法は計画時に作成したガントチャートに対して実績値を入力していく形です。
注意点として、取りまとめは管理者が対応しましょう。手間がかかる作業ではありますが、そうすることで肌感覚として全体の進捗状況を把握できます。取りまとめは1週間に1回の実施で問題ありませんが、作業者からの報告には必ず毎日目を通すようにしましょう。

5. 振り返りと計画・体制の改善を行う

管理者が取りまとめたチーム全体の進捗状況をもとに振り返りを実施します。振り返りの頻度は週1回程度がベストです。もしプロジェクトチームの定例会議があればその場を活用するのが良いでしょう。
振り返りの際には以下の観点をチーム全員で確認します。

  • 進捗状況…計画どおりのスケジュールで進行しているか。遅れが無いか。
  • リスクや懸念…今後の作業スケジュールに影響があるリスクが無いか。
  • 今後の予定…次の1週間に取り組む作業内容の確認。

振り返りの場では各メンバーから個別に報告を受けるようにしても良いですし、人数が多い場合や時間が限られている場合は、管理者の報告にとどめ、特筆事項だけ担当者から共有してもらうようにしましょう。

進捗状況に遅れや懸念が見つかった場合は対応策を検討します。避けるべきは、担当者を個人攻撃することや「もっと頑張る」「残業時間を増やして対応する」などの気持ちややる気に頼った方法です。多少の遅れなら挽回できるかもしれませんが、本質的な改善にならず、どこかで破綻します。改善の観点としては大きく以下の2つです。

プロジェクト計画そのものを変更する

プロジェクト進行上、致命的な認識の齟齬や想定業務の漏れが見つかった場合は、積極的に計画変更を検討してください。
計画の変更と聞くと一般的には「スケジュールの延期」を想像しますが、「対応しない(捨てる)業務を決める」ことで同じスケジュールのままプロジェクトを完了する方法もあります。忘れがちな観点なので、ぜひ検討してみてください。

プロジェクト進行の方法を変更する

こちらはかなり多くの要素を含みます。例えば以下のような方法があります。

  • 担当者の入れ替え・配置換え
  • メンバーの増員
  • 対応方法の変更
  • 対応する順序の入れ替え
  • 利用するツールの変更

軽微な遅れなら少しの工夫で調整できることが少なくありません。最適な手段は業務内容によって大きく変わりますので、チーム内で相談しながら決めましょう。

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進捗管理を成功させるためのポイント

進捗管理でもっとも多い失敗は「始めてみたけど継続できなかった」というパターンです。以下では、継続するためのヒントと進捗管理を効果的に活かすポイントを記載します。

取り組みはじめは報告の手間を最小限に

いざ進捗管理を始めるにあたって作業者の方が感じるのは「なぜ業務と関係ない作業に時間を使わなくてはいけないのか」ということです。対応として報告の頻度を減らすことも考えられますが、習慣化しづらくなってしまうため、可能な限り1日1回の報告は継続してもらいつつ報告内容の最小化を目指しましょう。
最低限必要な要素としてご紹介した「作業内容」「進捗度」「コメント」の3つだけを報告してもらう形が最もミニマムな方法です。それぞれ箇条書きで報告してもらうだけであれば5分程度で対応できます。

また、これは管理者向けのポイントになりますが、管理者は上層部に対してもプロジェクト状況を定期的に報告する場合があるかと思います。その場合、報告書やレポートのフォーマットは自分たちが使っている進捗管理のフォーマットをそのまま用いて報告するよう合意しておくことをオススメします。それによって、別途、報告書を作成する手間が削減できます。

作業者もメリットを享受できるように

進行管理はマネージャーや管理者にとっては大変嬉しい仕組みですが、現場の作業者やメンバーは「手を抜いていると思われるのでは」「監視したいだけなのでは」と感じることが少なくありません。作業者やメンバーに快く協力してもらうためのポイントは、取り組みの最初に行う必要性の認識合わせです。最終的な目的は「プロジェクトの成功と成果の最大化」であることを伝えつつ、作業者個々人にとっても、負荷が高い作業環境を避け、作業効率化を最大化するためであることを明確にしましょう。

改善のアクションは細かく、早く

報告や振り返りの頻度を見て「こんなに頻繁にやる必要があるのか」と感じた方もいるかと思います。この理由は「早期に問題や遅れに気づき、素早く対応するため」です。
問題が小さいうちに対応した方が対処するコストは少なくて済みます。当たり前に思えますが実践しようとするとなかなか難しいポイントの一つです。管理者だけでなくチーム全体で共通の意識を持つようにしてください。

おまけ|進捗管理にツールを利用する

今回の記事では進捗管理の大まかな進め方をご紹介しましたが、実際に進行する際には、excelや進捗管理のためのサービスを利用するのが一般的です。プロジェクト管理ツールやプロセスの管理ツールはいくつも提供されていますので、自社に合うものを探せるとベストです。

弊社で提供しているプロセスマネジメントツール「octpath」は、あらゆる業務をフロー形式で管理できるサービスです。進捗状況をフロー単位に確認できるだけでなく、アラートや分岐設定などの機能により進捗管理自体を不要にします。詳細はサービスサイトをご覧ください。
サービスサイト: https://octpath.com/

octpathのサービス納品プロセスに関わるイメージ画像です
octpathのサービス画像

まとめ

進捗管理は業種や業界、業務内容に関わらず、実施することで大きな効果をもたらしてくれます。成功させるためには継続することと、得られた結果から改善のアクションに移していくことが鍵になります。
取り組む場合、最初は負荷がかからず、小さく始められる方法でスタートしてみてください。

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