工数管理とは、プロジェクトやタスクにかかる作業量(工数)を管理することで、現場メンバーのタスクを管理するリーダーやマネージャーにとって非常に重要な業務の1つです。この記事では、工数管理の実施を検討している管理者の方を対象に、特にプロジェクト形式の業務における工数管理の重要性と具体的な取り組みの方法についてご説明します。

工数管理とは何なのか

そもそも「工数」とは

工数とは「ある作業の開始から終了までにかかる作業量」を意味する言葉で、ある業務を終えるまでにかかる時間×必要な人数の式で導き出すことができます。

単位はプロジェクトの性質に合わせて人時や人日、人月などを用いて表し、1人月(いちにんげつ)は、1人が1ヶ月かけて作業する量を示します。例えば、あるプロジェクトを完了するまでに40人月が必要とされている場合、そのプロジェクトを5ヶ月で終えるためには、40人月÷5ヶ月=8より、8人の作業者が必要だと分かります。

あらためて、工数管理とは

上記を踏まえて、工数管理とは「特定の業務やプロジェクトにおける工数を管理すること」です。具体的には、“そのプロジェクトを終了するまでに誰が何時間作業すべきか”や、“現在、誰がどのくらいの稼働をしているのか”等、必要な作業工数とメンバーの稼働状況を管理することを指します。実行主体の多くは、業務全体を把握している管理者・マネージャーになることが大半です。

工数管理が必要な業務の特徴

工数管理はどんな業務でも効果を発揮しますが、特に工数管理の効果が得られやすい業務には以下のような特徴があります。

  • 複数名でひとつの業務に取り組む
    複数名で業務を分担している場合、各メンバーの状況や業務の状況が見えづらくなります。工数管理をすることが業務の見える化に繋がり、円滑な業務進行に役立ちます。
  • 同時並行で業務が進む
    複数の業務が同時に進行している場合も同様に、業務の進捗状況が見えなくなりがちですが、工数管理を取り入れることで業務の結果を定量的に評価することができます。
  • 取り組むメンバーの役職・役割がバラバラ
    例えば単純作業を繰り返す作業担当チームと、専門職のメンバー、マネージャーでは、いち業務にかかる工数が大きく異なります。したがって作業時間や担当者の人数のみで取り組みや進捗を評価することができません。「工数」という単位に直すことで業務ボリュームを正確に把握でき、役職や役割の異なるメンバーが同時に業務を進行していても、正確に進捗状況を管理することができます。

工数管理の具体的な効果

プロジェクト管理において工数管理を行うことで、主に以下3つの効果が得られます。

スムーズなプロジェクト進行につながる

プロジェクト形式で進行していく業務では、あらかじめ決まった予算・納期の中で複数名で作業を分担するため、実際にかかった費用や個別の作業進捗の把握が曖昧になりがちです。プロジェクト内の工数管理を徹底することで適切な予実管理に繋がり、プロジェクト全体をスムーズに進行できるようになります。

得られたデータを業務の振り返りや分析に活用できる

工数管理を行う中で「どの業務に」「誰が」「どのくらい」工数をかけているのかが分かるようになり、業務の結果をデータとして蓄積していくことができます。そのデータを活用することで、業務のボトルネックや改善が必要な箇所が明らかになり、業務改善に繋げることができます。

現場作業の生産性向上

上記と関連しますが、工数管理は各作業担当者の生産性の向上にも繋がります。例えば月給30万円で働いている従業員が、1人月かけていた業務を0.8人月で終えられるようになった場合、0.2人月分の効率化により6万円削減できたことになります。同様に5名分の作業を効率化できれば、総額150万円の出費が120万円に抑えられ、30万円もの費用削減になります。これを1年に換算すると、360万円のコストが削減できます。
このような形で、発生している工数から定量的にコストを算出できるため、現場の作業担当者の生産性向上に取り組みやすくなります。

工数管理によって業務改善を実現するまでの流れ

工数管理を始めてから、業務改善の効果が出るまでの具体的な流れをご紹介します。大きくは、以下の5つのステップで進めます。

  1. プロジェクトの開始・メンバーのアサイン
  2. 工数を記録しながら対象業務を進める
  3. 計画と実績の振り返り
  4. 振り返りの結果から、体制や計画を見直す
  5. 2~4の流れを繰り返す

①プロジェクトの開始・メンバーのアサイン

決められた期日と予算の中を確認した上で業務工数の算出、メンバーの配置を行い、プロジェクトを開始します。

例えば、期日が半年後のプロジェクトに対して6名アサインする計画を立てたとします。しかしメンバーの現在の業務状況を確認してみたところ、6名それぞれ80%の稼働が可能であると分かりました。すると、6人月-(6×0.8人月)=1.2となり1.2人月分の稼働が不足してしまうため、このままではプロジェクトの完成が遅れてしまうことが分かります。
そのため、新規メンバーの追加、アサインしたメンバーの稼働状況の調整、プロジェクト自体の工数の見直しを行うなどして、半年で終えられるよう再度計画を練り直す必要があると分かります。

工数を記録しながら対象業務を進める

各業務の担当者と連携し、自身の作業工数を記録しながら業務を進めてもらいます。工数の記録には一般的に、工数管理ツールもしくはExcelを使用します。

記録の頻度はプロジェクトの内容やチームの規模次第ですが、日次か週次で実施するのが一般的です。メンバーからは日報や週報のような形で業務の最後に報告してもらい、マネージャーが取りまとめる方法もあります。抑えるべき要素は「どの業務に」「どれだけの時間がかかったか」の2要素です。習慣化するために、最初はメンバーの負担にならない形ではじめてみましょう。

計画と実績の振り返り

記録した結果を元に、計画と実績の比較を行います。振り返りの頻度としては週次〜月次が現実的ですが、プロジェクトの期間次第で大きく変動するので、ご自身の業務に合わせて検討してみてください。特にプロジェクトや業務が始まったばかりのタイミングほど、細かい頻度で振り返ることをオススメします。

予実を比較する場合は「想定よりも少ない工数で対応できている部分」「想定以上に工数がかかってしまっている部分」のいずれか、差が出ている部分を見つけましょう。

振り返りの結果から、体制や計画を見直す

振り返りの結果、プロジェクト開始時の想定とのずれを見つけたら、工数と担当者の見直しを行います。工数管理を継続的に実施することで、計画と実態の乖離にすぐに気づくことができます。

見直しの際、担当者個人の生産性と作業量は分けて確認しましょう。担当者のやり方や能力が要因で必要以上に時間がかかっている場合には、個人の生産性の見直しが必要です。反対に個人の生産性に問題がないときには、一部の作業者に業務が集中し作業が逼迫している場合があります。この場合はメンバー全員の配置とタスクを見直し、タスクを平等に割り振る必要があります。

上記での調整が難しい場合は、計画そのものを見直しましょう。

2~4の流れを繰り返す

実際に工数管理を開始してから業務が改善されるまでには一定の期間を要します。少し時間はかかりますが、工数の見直しと改善を繰り返すことで、プロジェクトの作業工数やメンバー配置が最適化されていき、少しずつ業務全体が改善されていきます。

工数管理業務において意識すべきポイント

現場担当者にも工数管理の重要性を理解してもらう

現場の作業担当者は、自身の工数を管理されることに抵抗を持ちやすい立場です。管理者からの指示に従って工数を報告し、その結果に対して指摘を受けるだけではやらされ感を抱きかねません。また、自身の業務の非効率さが明白になるという点から、個人の業務詳細が見えること自体を望まない社員も多く存在します。

始めは効果を感じづらい工数管理ですが、継続することによって作業負荷の軽減や体制の改善など、現場でもメリットを実感できるようになります。管理者目線だけでなく現場社員の気持ちを汲みながら、工数管理に一緒に取り組んでいくことが大切です。

工数管理の結果だけでなく過程も評価する

前述の通り工数管理では、作業終了のタイミングで、かかった時間と成果物を担当者から報告してもらうのが一般的です。しかし現場では日々トラブルが起きていたり、独自の工夫をしながら作業していたり、管理者の知らない事情が様々あります。最終的な結果だけでなくそこに至るまでの過程を理解した上で、工数の妥当性を判断することが重要です。定量的な情報だけでなく、定性的な情報にも目を向けるようにしましょう。

工数管理とあわせて業務の修正を繰り返す

工数管理の流れでもご説明したように、工数管理は結果の振り返りと修正を繰り返していくことで業務が改善されていきます。時間をかけてデータを集めれば集めるほど、より精度の高い工数管理が可能になるので、根気強くPDCAを回し続けていくことが重要です。PDCAサイクルについて解説した記事も参考にしてください。

おわりに

工数管理は組織の業務改善のためにもプロジェクト成功のためにも重要な業務です。すでに進行している業務の中でも、工数管理を取り入れることで業務を効率化できる箇所が必ず見つけられるはずです。まずは無理のない範囲でチャレンジしてみてください。

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