本記事では、事務作業で使われる「業務マニュアル」について、サンプルテンプレートを用いてご紹介しています。
業務マニュアルは一般的なマニュアルとは異なる注意点や作成時のポイントがありますので、これらの要素を踏まえた上で業務マニュアル作成の参考にしてください。

業務マニュアルについてのおさらい

業務マニュアルとは何か

業務マニュアルは社内で発生している作業の手順を時系列にまとめたものです。作業手順書と呼ばれることもあります。業務工程や内容によって記載項目は変わりますが、一般的には「業務工程」「作業の具体的な手順」「各手順の担当者」の3点が分かるよう作成します。

業務マニュアルのサンプル画像です
業務マニュアルのサンプルイメージ

業務マニュアルを作成する目的

マニュアル作成の目的は、業務品質の安定と向上です。
決まったメンバーが同じ作業を担当していると、業務は無意識のうちに属人化します。作業の具体的な手順を文面に残しておくことで、作業者ごとのばらつきを防ぎ、マニュアルを見れば誰でも同じクオリティで作業を進められるようになります。日々の業務進行の場面でも、引き継ぎの場面でも役立ちます。

もう少し抽象度高く業務のフロー全体を把握したい場合には、フローチャートを作成するのがおすすめです。フローチャートの作り方について説明した記事もありますので、参考にしてみてください。

事務マニュアルの特徴と作成時のポイント

一般的なマニュアルと事務作業でのマニュアルの違いと、違いを踏まえた作成時のポイントについてご説明します。

この記事における事務作業の定義

事務作業と言えども様々な業務がありますが、本記事では主に書類の作成や整理に関わる業務、実作業が伴う業務のことを指しています。企業によっては庶務の方が対応されるもので、例えば以下のような業務です。

  • 各種書類の作成
  • ファイリング
  • 郵便物の発送、受け取り
  • 伝票整理
  • 備品発注、整理

反対に一般的なマニュアルは、工場での点検作業やサーバーのシステム監視、入社時の対応手順など、業種業界を問わず幅広い業務を対象としています。

どちらも業務マニュアルであることには変わりありませんが、業務の特徴に合わせて適切なマニュアルの形も異なりますので、今回の記事では事務に合ったマニュアルをご紹介しています。汎用的な業務マニュアル(作業手順書)の作成方法について記載している記事もありますので、参考にしてください。

事務マニュアルの特徴と作成時のポイント

事務作業でのみ注意すべき箇所を、マニュアルの表記にも反映する必要があります。主な特徴と、注意点は以下です。

期限や開始日に注意を払う

事務作業の中には、発生タイミングや期日が決まっている業務も多く存在します。例えば月次の経費精算や、更新日の決まっている契約書の送付などです。業務マニュアル内で期日や開始日についても記載しておくと、遅れや抜け漏れの防止に繋がります。

手作業や移動が発生することを考慮する

事務作業の中では、紙の書類をまとめたり、ペンやホチキスなどの現物の備品を扱ったりするケースも多く見受けられます。実際に手を動かす業務や移動が発生することを前提に、位置や手順、時間について細かく記載できると、より親切なマニュアルになります。

ミスなく、効率的に作業するための内容を記入する

一般的にマニュアルはクオリティを統一するために作成されますが、事務作業の場合にはクオリティの差はあまり生じないかと思います。したがって、業務品質を高めるというより、ミスなく効率的に業務を進行するために必要な観点を重点的に記入することが大切です。

配置や収納自体を分かりやすく工夫する

マニュアルの内容とは外れてしまいますが、作業で用いる書類や備品の保管方法自体も工夫しておくと、マニュアルへの記入が楽になる上に読者も理解しやすくなります。例えば倉庫内のある棚に保管されている備品を取りに行く場合、保管場所について詳細に言葉でマニュアルに記載するのではなく、棚に目印としてテープを貼っておくなどです。

事務業務マニュアルの作成手順

作成手順自体は、事務作業でもその他の業務でも同様です。大きくは以下の5ステップで作成します。

  1. 作業を洗い出す
  2. マニュアルの構成を定める
  3. 骨子に従って作業内容を記入する
  4. 完成した手順書を共有し、フィードバックをもらう
  5. フィードバックをもとに内容を更新する

今回は、過去実際に筆者が行なっていた「請求書の送付作業」を例にご説明します。excelのサンプルテンプレートも作成いたしましたので、ご自由にダウンロードしてお使いください。記事後半のボタンからもダウンロード可能です。

業務マニュアルのサンプルイメージです

1.作業を洗い出す

まずは作業に関わる情報を洗い出します。作業手順のほか、使用しているドキュメントやツール、対応のパターンなども合わせて確認しておきます。マニュアルは最終的にexcel等にまとめますが、はじめはメモに洗い出してから整理すると、作業の粒度を揃えやすくなるのでおすすめです。

作業の洗い出しは5ステップの中で最も時間がかかるかと思います。ここで網羅的に作業を洗い出せるかどうかがマニュアルの完成度に影響する、大切な工程ですので、細部まで丁寧に洗い出しを行なってください。時系列順に業務フローを確認し、抽象度の高いレベルで洗い出してからタスクに分解すると、抜け漏れの防止に繋がります

2.マニュアルの構成を定める

次に、マニュアルの骨子を整えます。洗い出した情報をもとに、設置する項目や、どの粒度の情報まで記入すべきか、を検討します。サンプルシートの3-4行目に該当する部分です。

業務マニュアルの構成部分を示した画像です

ここでは何の要素を項目として設けるかがポイントになります。「作業の順番」「作業名」「手順」などの基本情報のほか、事務作業では以下の項目が必要になることも多くあります。作業内容に合わせて取捨選択してください。

  • 各作業で使用するツール・書類名
  • 備品の保管場所
  • 書類や物品の送付先
  • 作業の開始日・終了日

また、今回のサンプルで設けたように確認箇所を「チェック項目」として切り分けると、作業のミスや抜け漏れの防止に繋がります。

チェック項目のサンプル画像です

3.骨子にしたがって作業内容を記入する

次に、洗い出した業務を骨子に合わせて記入していきます。全ての手順の記入が済んだらマニュアルの完成です。

作業内容記入箇所のサンプル画像です

先述したように、保管場所や書類の名称などの細かな情報も具体的に記入しましょう。今回のサンプルのように、必要に応じて画像を挿入するとより分かりやすくなります。

ステップ1、2での情報整理や項目の精査が十分であれば、このフェーズでは構成に合わせて手順を記入するだけです。記入しづらい場合には前ステップでつまづいている可能性がありますので、作業の粒度と構成を見直しましょう。

4.完成したマニュアルを共有し、フィードバックをもらう

マニュアルが完成したら、まずは現在の作業担当者に共有し、作業内容に齟齬がないかを確認します。次に後任担当者や周囲の社員など、その作業を担当したことのないメンバーにも共有しフィードバックを回収します。誰でも同じ作業ができるかを確認するためです。分かりづらい表現がないか、伝えたい内容が齟齬なく伝わっているか等、このマニュアルを読んで同じ作業ができるかを基準として確認してもらいましょう。

5.フィードバックをもとに内容を更新、を繰り返す

フィードバックをもとにマニュアルの内容を更新し、再度確認してもらいます。誰もが理解しやすいマニュアルになったら、完成です。

また、事務業務マニュアルの作成にはoctpathもおすすめです。

マニュアル作成時のポイント

事務でのマニュアルに限らず、マニュアルの作成と効果的な運用に繋がるポイントです。

現場の業務を実際に見に行く

複数名で作業を進めている場合には、自身が担当している作業だけでなく一連のフローに関わっているメンバー全員の作業を洗い出す必要があります。シートなどに記入して情報収集する方法もありますが、認識の齟齬をなくすため、担当メンバーの様子を実際に目で見て確認することをおすすめします。業務ヒアリングの方法をご説明している記事も確認してみてください。

読者の視点で記載する

作業手順書は現在の作業担当者以外のメンバーも読者になりえます。したがって、作業手順をまったく知らないメンバーでも理解できるよう、正確に分かりやすく書き記しておく必要があります。最初は丁寧すぎるくらい具体的に記載し、不要な箇所を削っていくと丁度良いかと思います。

定期的に内容を確認し修正する

マニュアルの内容が古くなり形骸化すると、業務の属人化に繋がります。マニュアルに常に正確な内容を記載しておくため、業務に変更があれば都度更新しましょう。業務フローの変更だけでなく、細かな手順や配置の変更でも反映することがポイントです。業務内容によりますが、最低でも半年に1度は見直しの機会を設定しておくと安心です。

事務業務マニュアルのサンプルダウンロード

今回ご紹介したテンプレートは以下よりダウンロードしていただけます。ご自由にご活用ください。

事務向けマニュアルのサンプルイメージです

おわりに|マニュアルを使ってそのまま業務管理

octpathのサービス納品プロセスに関わるイメージ画像です

弊社が提供しているプロセスマネジメントツール「octpath」は、作業手順を用いてそのまま業務管理ができるツールです。ステップごとに必要な手順やチェックリストを挿入できるため、必要な手順だけを確認できます。また、条件分岐や未チェック時のアラートを自動で実行することで、ミスや作業漏れを防止します。
今回ご紹介した事務作業の管理にもお使いいただけます。無料トライアルも受付中ですので、ぜひ詳細をご確認ください。

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