業務フローを作成することは、属人化を防ぎ、業務を効率化するために非常に有用な手段です。この記事では弊社のフロー作成ツール「octpath」を利用して、フロー作成の手順とポイントについて解説していますので、ぜひ参考に取り組んでみてください。

おさらい|フロー作成のメリット

業務を単体ではなく一つのフローとして把握することには、通常の業務管理と比較して以下のようなメリットがあります。

業務を標準化できる

当然のことではありますが、フロー作成の過程で業務の流れを可視化・標準化することが可能になります。標準化とは誰でも同じ品質で業務に取り組めるよう作業手順や工程を統一することで、主に以下のようなメリットをもたらします。

  • 業務品質の安定
  • 生産性の向上
  • メンバーのスキル向上
  • 組織独自の優位性の確立
  • 属人化の解消

業務の標準化のイメージがつかない場合は標準化のメリットについて説明している記事もご確認ください。

業務同士の繋がりが明らかになり、相互理解が深まる

フロー作成によって業務同士の繋がりが見えるようになり、各業務が誰のどの業務に影響しているのかが明らかになります。それぞれの責任範囲を明確化できるのと同時に、関わるメンバーが業務の全体感を意識して取り組めるようになります。

業務上のボトルネックの特定に繋がる

業務を一つの流れとして把握することで、業務フロー全体におけるボトルネックを見つけやすくなります。ボトルネックとは業務フロー全体のうち、進行の遅れ・停滞をもたらす部分を指します。例えば、10個の連続したタスクがあるなかで、途中の1箇所の処理能力や作業スピードが遅く、その部分が原因となり、以降の流れ全体が遅れてしまうような場合を言います。

ボトルネックの意味を図解した画像です

また、ボトルネックはあるタスクにあるとは限りません。ケースによってはタスク間の連携方法やコミュニケーションに問題がある場合もあります。フローとして捉えることで、タスクごとではなく繋がりにも焦点を当てやすくなり、より正確な課題点を見つけ出すことが可能になります。

フロー作成の手段

以下のいずれかの方法でフローを作成することが一般的です。

  • 紙やノートに手書きで作成する
  • Power Pointで作成する
  • Excelで作成する
  • フロー作成に特化したサービスを利用する

個人で利用する場合やフロー作成が急務な場合には、紙やPowerPointなど既存のツールを利用しても構いませんが、基本的にはフロー作成ツールを利用することを強くおすすめします。ツールを利用することには以下のような利点があります。

  • 初心者でも簡単に、綺麗なフロー図を作成できる
  • サービスにアクセスすれば誰でもリアルタイムに閲覧・編集が可能
  • 保管や管理が可能
  • サービスによっては担当者や期限などの関連情報も登録できる
octpathのフロー図について表した画像です。
フロー作成ツール「octpath」のサービス画面

ツールを利用する際には、具体的なフロー作成ツールについて紹介している記事を参考にご覧ください。

フロー作成のステップと手順

今回は例として、弊社で提供しているフロー作成ツール「octpath」の画面を用いて、既存の業務をフローとして作成する方法について解説します。基本的な流れは紙やPowerPointなど別の媒体を利用される場合も共通ですので、参考に取り組んでみてください。

1. 目的・課題の確認

まずはフロー作成を行う前に、取り組みの目的や現状の課題感を整理します。実際に業務を担当しているメンバーにも参加してもらいながら、ミスの有無や課題感、理想的な状態等について認識合わせをしてください。以下はフローの作成によって解決しやすい課題の一例です。

フローチャートを作成する目的・課題の確認
フローの作成によって解決可能な主な課題

2. 業務詳細の把握

対象業務の実態について確認します。フロー作成者が業務担当者である場合は不要なケースもありますが、少しでも把握できていない作業があれば取り組むことをおすすめします。

「ヒアリング」と「資料の確認」のいずれか、もしくは両方を行いながら業務内容のキャッチアップを行います。メリット、デメリットやチーム・業務の状況に応じて適切な手段が変わるため、都度組み合わせながら対応してください。

👂 ヒアリング

業務担当者に対して直接的に情報収集を行う方法です。時間と手間がかかってしまう点がデメリットではありますが、業務を進める上での所感を具体的に把握できること、取り組みの難易度が低いことがメリットになります。
ヒアリングの中でも以下の3つの方法に分けられるので、対象業務の規模や状況に合わせて検討してみてください。

  • 立会調査…現場に赴き、実際に作業を目で見て確認する
  • 口頭確認…担当者から口頭で説明をうける
  • 業務調査票…担当者に調査票を記入してもらい書面で確認する

業務ヒアリングの基本や具体的な方法をまとめた記事もありますので、実際にヒアリングを行う際は参考にしてみてください。

🗂 資料の確認

業務のマニュアルや手順書など、業務の関連情報が記されたドキュメントを確認する方法です。ヒアリングの前に確認しておくと業務把握の効率が上がりますが、内容が更新されていないケースや誤っているケースもある点に留意した上で活用してください。

  • 作業マニュアル
  • 作業手順書
  • 作業者の個人的なメモ
  • レクチャー資料

3. 発生する作業やタスクを洗い出す

一連のフローの中で発生するタスクを洗い出します。思いつき次第タスクを追加していき、まずはひたすら縦に並べます。例えば以下は、入社手続きに関わる業務を洗い出している過程です。

octpathで入社対応業務を洗い出した場合のイメージ画像です。
入社対応に関わる業務を洗い出しているイメージ

ツールを利用しない場合やいきなりフロー形式で表すことに不安がある場合は、テキストベースでメモ帳等に箇条書きでタスクを洗い出してみてからタスクを作成しても構いません。

ここで重要なのは、一つ一つの粒度や抜け漏れ・ダブリを気にしないことです。洗い出しを行っていく中で「そういえばこのステップもあったな」と気付きやすくなります。同時に、以下もポイントとして意識しながら進めてください。

  • 作業の始点を決め打ちで設定する
  • 抜け漏れを防ぐため、時系列で思い出してみる
  • 各ステップについて詳細は記載せず、タイトルだけで内容がわかるように記入する
  • 粒度は迷ったら大きく(抽象度高く)プロットする
  • 作業の順番も後から入れ替えられるので気にせずに登録をする

4. フローの精緻化

業務の洗い出しが完了したら、順序や粒度を整え、内容を精緻化していきます。

タスクの並べ替え
洗い出したタスクについて、日頃の取り組み方を思い出しながら大まかに並べ替えを行います。後から整理できるので、この段階で精緻に整える必要はありません。

タスクの統廃合
タスク全体を確認しながら、タスク同士の統合や不要なタスクの削除を行います。以下の観点を意識するとタスクを整理しやすくなります。

  • 担当者が異なるタスクは分ける
  • 期限実施タイミングが異なるタスクは分ける
  • 所要時間が長いタスクは途中で分ける
  • 反対に分けることで作業効率が下がるタスクは結合する

以下では、先ほど洗い出したタスクをさらに細分化しています。「研修」を実施先によって「配属先での研修」と「全社オリエンテーション」に分け、後続タスクは部署ごとに作成し直しています。

octpathでタスクの統廃合を行なった際のイメージ画像です。
タスク分割後のイメージ

タスクの再並べ替え
タスクの統廃合を終えたら、取り組みやすい流れにタスクを並べ替え、最終化を行います。この段階ではタスクの実施タイミングも確認し、分岐や同時並行も考慮しながら並べ替えを行います。

octpathのフロー図について表した画像です。

5. 内容のチェック

フローが完成したら、実際の業務に取り組んでいるメンバーのチェックを依頼しましょう。指摘事項がなくなれば完成です。

フロー作成時のポイント

最初は大きな粒度(高い抽象度)からフローを組み立てる

最初にフローを記載する場合は各ステップを大きな粒度で括るようにしてみましょう。大きな粒度で全体の流れを描いてから、必要に応じてそれぞれのステップを分解して細かい作業に分けていきます。慣れてくると、最初からイメージした粒度で各ステップを作成できますが、最初から細かく書き出してしまうとステップに抜け漏れが発生する場合もありますので、抽象度が高い状態から具体に落としていくことをおすすめします。

業務全体を把握しているメンバーにフロー作成を依頼する

フロー作成時には、現状のタスクを並べるだけでなく、どのように整理すれば効率的かを考えて業務を設計していく必要があります。業務全体について正しく理解できていなければ、最適なフローを作成することはできないため、全体感を把握できているメンバーにフローの作成を依頼しましょう。企業によっては実際の業務担当者とは別にフローの作成担当者を配置しているケースもあります。

フローの運用・管理の方法をあらかじめ決めておく

業務をフローとして作成することの目的と合わせて、一度作成したフローをどう管理するのかもあらかじめ決めておきましょう。フロー作成後に更新されず形骸化してしまうことを防ぐためです。例えば更新のタイミング、更新担当者を決めておくことをおすすめします。

初めから完璧なフローを作ろうとしない

ある程度業務を整理した上でフロー化することが理想的ではありますが、初めから完璧なフローを作ることを目指さず、あくまでも繰り返し改善し続けることを前提に取り組みましょう。作成したフローに則って実際に業務を進めていく中で、更なる改善点が見えてくるためです。
一つ上の項目とも関連しますが、定期的にフロー自体を見直すタイミングを設けておくと、形骸化を防ぐことができ改善のサイクルを作ることができます。

おまけ|octpathでフローを作成

今回は、弊社で提供しているサービスoctpathの画面をサンプルとして利用してフロー作成方法をご紹介しました。octpathは業務をフロー形式で登録し、そのまま業務管理ができるサービスです。マニュアルやチェックリストの登録も可能で、煩雑な管理コストを削減できます。ぜひサービスサイトより詳細をご確認ください。
サービスサイト: https://octpath.com/

octpathのサービス納品プロセスに関わるイメージ画像です

おわりに

フローの作成は、業務に関わるメンバー全員に業務の全体感を理解してもらうために非常に有用な手段です。コツやポイントを抑えながらぜひ取り組んでみてください。

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