ワークフローシステム、ワークフローアプリとは主に、社内で発生する稟議承認プロセスを電子化し、効率的に管理するためのシステムです。ワークフローシステムは組織体制や業務オペレーションに直結するため、導入前の業務整理からフロー選定まで工夫しながら進める必要があります。弊社でも『octpath』を提供している観点からワークフローシステムについて解説します。

ワークフローシステムとは?

ワークフローシステムとは社内で発生する稟議や承認などのプロセスを電子化して管理するシステムのことで、主に稟議の承認や各種申請フローの管理に用いられます。ワークフローアプリと言われることもあります。

ワークフローシステムの概要図
ワークフローシステムの概要図

従来、稟議承認・申請に関する手続きは紙の書類と印鑑を用いて行われていましたが、フロー管理をシステムに置き換えることでペーパーレス化や業務効率化を実現できます。海外では、ワークフローはビジネスのプロセスそのものを指しますが、日本においては、稟議の承認・決済プロセスを指していると考えて問題ありません。

ワークフローシステムが活用できる業務例

ひと口にワークフローシステムと言っても、管理対象は様々です。すべてを列挙するのは難しいですが、以下が代表的なものになります。

  • 経費・交通費・交際費精算
  • 物品・機器購入申請
  • 休暇・有給申請
  • 勤怠管理
  • 捺印が必要な申請・承認フロー

冒頭で申し上げたとおり、基本的には稟議プロセスを管理するもののため、承認・決済が発生する意思決定プロセスにおいては、いずれのツールでも管理が可能と考えて問題ありません。

ワークフローシステムを活用するメリット

改めて、ワークフローシステムを導入する際のメリットをご紹介します。こちらも自社・自チームが期待している内容に即しているか確認してみてください。

複雑なフローを見える化できる

特に企業規模が大きいと複数の部署の承認を得る必要があったり、申請内容によって分岐が生じたりと、フローが複雑化しがちです。ワークフローシステムを用いることであらゆる業務の流れを可視化することができ、業務上のミスや非効率な業務の削減に繋がります。

リアルタイムに状況把握できる

紙を使った承認では、申請内容や承認の進捗状況を、資料を持っている本人しか把握することができません。システムを導入することで複数名が同時に情報を閲覧できるようになり、誰でもリアルタイムに申請の状況を確認することができます。それにより、どこで稟議が止まっているのか等をオープンにすることができます。

チェック事項やルールを整理でき、ミスや抜け漏れを防げる

例えば申請時に必要な項目が抜けていたり、承認時に確認すべき観点を見逃してしまったりすることはないでしょうか?ワークフローシステムは申請時に必要な項目や確認項目を事前に登録できるため、記載漏れや確認不足を防ぐことができます。また、万が一差し戻しが生じた際にも、システム上で簡単に修正できます。

書類の管理や分析が容易になる

すべての情報をシステム上で管理できることで情報の検索性が上がり、分析や過去分の確認が容易になります。いつ、誰がどんな申請を行ったのか、いちいち紙のファイルを確認せずともすぐに確認できるようになります。

場所による制約を受けづらくなる

クラウド型のワークフローシステムを活用すれば、PCやスマートフォンからいつでも申請や承認が行えるようになります。申請や決済押印のために出社する、等の対応が不要になり時間や場所による制約を受けづらくなります。

ワークフローシステムの基本的な機能

ワークフローシステムは前述のとおり、紙の稟議書では実施できない様々な機能があります。大まかにどのような機能があるかを理解いただいた上で、具体的なシステムを選定いただくとより効率的に検討が進められますので、そもそもワークフローシステムがどのようなものなのかの把握と合わせて参考にしてみてください。

ワークフローのプロセス定義

ワークフローは申請から承認・決済までのフローをプロセスとして設計します。利用するシステムによって設定できるフローの柔軟性が異なりますので注意しましょう。特に自社の規模やケースに応じて、どれだけ柔軟な分岐設定や、却下・再申請等の設定ができるかを見極めることが重要です。

申請フォームの設計

ワークフローの起点は申請から始まります。申請にあたっては、基本的な入力項目の設定が可能です。また、ツールによっては各項目ごとの入力条件やフォーマットを指定できるため、申請者のミスや不備を減らすうえで効果を発揮できます。

入力項目の自動チェック

ワークフローシステムの場合、入力項目の正しさのチェックを行えることが多いです。例えば、以下のようなチェック機能が搭載されています。

  • 必須入力項目に抜け漏れがないか
  • メールアドレスや番号など所定のフォーマットで入力されているか
  • 数値が既定値以上になっていないか

入力項目は、データとして取り扱われるため、設計したプロセスでの分岐なども入力されたデータを用いて、自動で判断させることが可能な場合もあります。

承認・決済機能

必須となる機能ですが、承認・決済もワークフローシステムによって仕組みがまちまちです。基本的にはプロセスの定義と合わせて各承認・決済のタイミングで誰がどのような条件で決済が可能なのか?を設定できます。これは、承認者が不在時の代理承認や、複数の承認者がいる場合の承認条件の設定などを含みます。
また、紙の稟議書と異なり、組織の階層グループ単位での設定も可能となるため、「部長クラスの承認が必要」という場合にも事前に「部長グループ」を作成して複数メンバーを登録しておくことで、都度、個別に承認者を設定することが不要になります。

他ツール、システムとの連携

SaaS型のワークフローシステムでは他サービスとの連携機能を兼ね備えているケースが多々あります。例えば、もっともベーシックなものだと、申請・承認・決済など特定のアクションが発生した場合に、SlackやTeamsなどのチャットツールに通知してくれるようなものがあります。検討時に必須の機能となることは多くありませんが、業務効率を押し上げてくれることも多いので、自社で利用しているツールと連携が可能か、ぜひ見てみましょう。

運用管理

ワークフローは常に様々な申請が飛び交い、承認者・決済者は同時並行で大量に対応する必要があります。そのため、往々にして承認しなければならない申請が溜まってしまいますが、ワークフローシステムを活用することで、自分に関連した申請を一覧化することができます。申請者の視点では「自分が申請したワークフローの決済がどこまで進んでいるか?」が確認でき、承認・決済者は「自分が承認・決済すべきものはどれか?優先度が高いものはどれか?」が俯瞰的に確認可能となります。

組織管理

組織規模が多い場合に重宝する機能の一つですが、ワークフローシステムでは、特定の権限をまとめてグループとして管理することができます。例えば部長決済のワークフローについて、都度、種類ごとに担当部長を個別に設定していると、組織変更や人員の入れ替えが発生した場合に対応が煩雑になってしまいます。そこで、部長が5人いる場合は5人をまとめて「部長グループ」と設定し、部長承認が必要なワークフローに設定しておけば、部長が人事異動となった場合に個別のワークフローは変更せず「部長グループ」のみ変更すれば良いということになります。また、変更を一瞬で反映できるのも、ワークフローシステムの大きなメリットです。

複数デバイスからの利用

ワークフローシステムは多くが、SaaS・クラウドサービスとして提供されています。オンラインでシステムが利用できる最大のメリットとしては、時間・場所に制約を受けずに様々なデバイスからアクセスが可能となることです。通常、PC、スマホ、タブレットから利用可能なサービスがほとんどになります。場合によってはスマートフォン・タブレット向けのアプリケーションも提供されています。

リマインド、各種お知らせ機能

もっとも重要な機能のひとつですが、申請から決済までの流れがスムーズに進むようにシステム内またはメール・チャット等で通知をしてくれる機能が搭載されています。通知のタイミングは設定可能なことがほとんどですが、以下が代表的なタイミングです。

  • 新規にワークフローが申請された場合
  • 承認・決済・却下がされた場合
  • 申請中のワークフローが途中で止まってしまっている場合
  • 現在、自分が承認しなければいけない申請数の情報

ワークフローシステムのおすすめ6選

今回は、おすすめのワークフローシステムを厳選して6つ紹介します。上からおすすめ順となっています。また、選定の観点としては以下を考慮しています。

  • 誰でも簡単に操作できるか
  • スムーズに利用を開始できるか
  • 機能に対して料金が安いか
  • 機能性から、業務改善に繋がることが十分に期待できるか

企業規模や組織体制、ITリテラシーの高さによって良し悪しは異なります。あくまでも上記の観点で選んだシステムであることをご了承ください。

バクラク申請

サービスサイト
https://bakuraku.jp/workflow

サービス概要
バクラクは、AI-OCRを用いたクラウド型のワークフローシステムです。経費精算、請求書、電子帳簿保存などもシリーズとして展開されています。

おすすめポイント
AIが請求書を自動でデータ化した後、データがサービス内に保存されるため、仕訳や請求書の管理に関わる業務自体を削減し効率化することが可能です。また、チャットアプリでの承認も可能で、承認者側の負担も軽減できます。

料金
料金は開示されていないため、お問合せにてご確認ください。

kickflow

サービスサイト
https://kickflow.com/

サービス概要
他のサービスとの連携や自動化と、組織管理に関する機能の充実性を特徴としているワークフローシステムです。

kickflowのイメージ画像です

おすすめポイント
APIを公開していることやWebhookの利用などによる、他のツールとの連携に注力しているため、申請・承認業務の前後に発生する別のツールでの作業と紐付けて管理することができます。また、稟議の実施にあたって必要不可欠となる、組織図や組織ツリーの作成などの組織管理に関わる機能も充実しています。

料金
プランはスタンダードとエンタープライズの二種類がありますが、具体的な金額は開示されていないため、お問合せにてご確認ください。

ジョブカンワークフロー

サービスサイト
https://wf.jobcan.ne.jp/

サービス概要
ジョブカンは主にバックオフィスを対象としたクラウドサービスを複数展開していますが、そのうちの1つがジョブカンワークフローです。導入社数が1万社を超えており、ワークフローシステムでは最も多く導入されているという実績があります。

ジョブカンのサービスイメージです。
申請後の確認画面

おすすめポイント
筆者が触ったワークフローシステムの中では最もシンプルで分かりやすい画面構成でした。申請者・承認者どちらからしても分かりやすく作られていて、進捗状況をひと目で確認することができます。また、ワークフローに特化したサービスのため、承認の条件付けや編集、権限設定が柔軟であることも魅力です。

料金
中・小規模の企業であれば一律で1ユーザーにつき月額300円から利用でき、初期費用やサポート費用も一切かかりません。大企業の場合はお問合せが必要です。30日間の無料トライアルが可能ですので、まずは試験利用してみてください。

承認TIME

サービスサイト
https://shonintime.sbi-bs.co.jp/

サービス概要
社内文書の申請・決裁・保管業務の電子化を実現できるワークフローシステムです。1アカウントにつき月額300円から利用できる点がポイントです。

おすすめポイント
中小企業を対象に、シンプルで簡単に使い始められるという点にフォーカスして開発されています。これまで紙でワークフローを運用していた方、クラウドサービスの利用経験がない方でも使いやすいため、IT企業以外の方々でも利用しやすいことがポイントです。

料金
1ユーザー300円、最低10ユーザーからの契約のため、月額3,000円からご利用いただけます。初期費用はありませんが、オプション機能があるとの記載があるため、具体的な利用料金についてはお問い合わせください。

クラウドERP freee

サービスサイト
https://www.freee.co.jp/cloud-erp/ac/workflow/

サービス概要
クラウド会計ソフトで有名なfreeeが提供しているクラウドERPの中に、ワークフロー管理が組み込まれています。ワークフローのみの導入はできず、ERPを導入していただいた後に一部の機能としてご利用いただけます。

freeeトップページの画像です

おすすめポイント
バックオフィス業務のサポートが手厚いシステムのため、人事部や経理部で発生する他の業務と連携して管理することができます。稟議で必要な資料や分析データ・証憑を簡単に参照できます。また、slackとの連携が可能で、1クリックで簡単に承認できることもポイントです。

料金
ERPは社内の基盤となるシステムということから見積もりが必要なため、料金はすべてお問合せから確認してください。サイト内のフォームより直接ご連絡いただけます。

collaboflow

サービスサイト
https://www.collabo-style.co.jp/

サービス概要
ワークフローに特化したサービスで、クラウド版とパッケージ版の両方があります。申請内容に合わせた自動分岐やデータ連携、kintone・LINEWORKS等の他サービスとの連携も可能です。

collaboflowのサービスイメージです

おすすめポイント
collaboflowの特徴は画像の通り、excelで作成したフォームをそのまま変換できる機能です。現在excelを使用して稟議書を作成している場合は同じ形式のままシステム化できるため、ITサービスを使ったことのないメンバーでも抵抗なく利用できるかと思います。

料金
クラウド版では一律、1ユーザーあたり月額500円で利用できます。ただ、最低利用期間2ヶ月、最低利用人数は5ユーザーという制限があります。企業規模が大きい場合にはパッケージ版が推奨されているので、詳細は企業ホームページからお問合せください。

参考|プロセスマネジメントツール「octpath」

今回の記事では申請承認を必要とする一般的なワークフローシステムを紹介しましたが、稟議・承認に関わらない通常業務をフロー形式で管理できるサービスも存在します。弊社が提供している「octpath」もそのひとつで、業務をフロー形式で可視化し、そのまま業務管理ができるツールです。
サービスサイト: https://octpath.com/

サービスの概要
業務をフロー形式で可視化し、そのまま業務の管理ができるプロセスマネジメントツールです。各ステップに対して手順やチェックリスト、記録欄などの登録も可能です。

octpathのフロー図について表した画像です。

おすすめポイント
例えば入社対応や契約手続き、受注や納品プロセスなどのような通常業務を、フロー形式で管理することができます。属人化を解消してミスや漏れを防ぐだけでなく、教育や引き継ぎにかかるコストも削減することができます。

料金
1ユーザーあたり月額1,650円の1プランでのみご提供しています。無料トライアルも可能です。

octpath以外の業務フロー管理ツールについては、BPMツールに関する記事でご紹介しています。合わせてご覧ください。

ワークフローシステムの導入手順

ワークフローシステムを導入する場合の基本的な手順について記載します。各ステップの詳細なポイントは前述の内容も合わせて確認してください。また、導入する企業の規模や背景によっても最適解は異なりますので、以下は比較的細かい・丁寧な手順を踏んだ場合、という温度感で参考にしてみてください。

1. 現状の把握

現在のワークフロー・稟議の運用方法やどのような種類の稟議があるのかについて確認を実施します。ここで、全体像を把握するとともに、課題や問題点の洗い出しができると良いです。利用規模が複数部署に及ぶ場合、現状把握の方法としてヒアリングが有効になるので、業務ヒアリングの基本についてまとめた記事も参考にしてみてください。

2. 目的・ゴール等の設定

こちらは最も重要なステップとなるので、必ず実施してください。具体的な検討を始める前に、ワークフローシステムを導入する目的と理想的な状態、解決したい課題などについて整理を行ってください。繰り返しになりますが、きれいなスライドやドキュメントにまとまっている必要はありません。一行でも良いで必ず言語化するようにしましょう。

【例】
■導入の目的
紙の稟議書を廃止し、クラウド型のワークフローシステムを導入することで以下を実現する。
・オフィス以外の場所からも申請・承認の対応ができるようにする
・ワークフローシステムの導入と合わせて稟議プロセスを再設計・効率化する
・特に承認・決済までの時間を短縮化し申請から承認までの時間を短くする

■導入のゴール
・全社員がワークフローシステムを利用できている環境を整える
・申請から承認までにかかる期間を平均で30%短縮する

■主な課題
・現在の稟議について形骸化しているものが存在している
・一部の承認プロセスにおいて必要な権限のメンバーの承認が得られていない
・決済された申請についてその後の結果や成果の報告まで織り込まれていない

目的やゴールを整理する際には、As-Is・To-Beの観点で考えると整理しやすいです。As-Is・To-Beの具体的な考え方やテンプレートを紹介している記事も参考にしてください。

Asis Tobeのイメージ画像です
As-Is・To-Beによる考え方のイメージ

3. システムに対する要件の整理

実際に検討を開始する前に要件について洗い出しを行います。例えば、以下のような観点で要件を整理しておくと検討がスムーズになります。

  • 導入予定時期
  • 利用する環境(PC、スマホ)
  • 予算
  • 必要な機能

4. ワークフローシステムの検討

具体的なツールを検討します。横断的にツールを確認したい場合は比較サイトの利用も有効です。ただし、考えなしに一括資料請求してしまうと、確認のコストも高く、営業等のアプローチも増えてしまうため、可能な範囲で絞り込みを行うことをおすすめします。検討を行う上ではいくつか方法がありますが、以下のような手順で絞り込むと効率的です。絞り込みのシステム数は目安としてください。

  1. インターネット上や公式サイト、まとめサイトでの情報収集(候補数目安: 10)
  2. 各ツールの資料請求(候補数目安: 5)
  3. 営業担当から説明を受ける(候補数:目安 3)
  4. トライアルや試験的な利用による最終判断(候補数目安: 1)

5. ワークフローシステムの評価

評価にあたっては、最初に設定した目的や要件に合致しているかどうかを確認してください。ここでは定量的な評価だけでなく「使い勝手」や「わかりやすさ」など定量的な要素も合わせて確認することを強くおすすめします。機能表として要件を満たしていても、使い勝手が悪いと導入に失敗してしまうケースが少なくありません。

6. 部分的な導入

導入成功のポイントは小さく初めて広げていくことです。一部のチームや部署から実際の業務に合わせて運用していくと良いでしょう。また、少し細かくステップをお伝えしておくと、以下のような形で進めると良いです。

a. 試験導入部署の決定
決定のための要素は色々ありますが、「ツールの導入に対して比較的前向きであるチーム」を選ぶようにしましょう。必要なフィードバックや協力が得やすくなります。

b. レクチャーの実施
システムの利用方法は丁寧に説明します。このとき、対象者全員に説明する方法も有効ですが、導入推進のリーダーとなるメンバーを立てて依頼して、同時に利用メンバーのフォローアップをお願いしておくとスムーズに利用が進みやすくなります。

c. コンティンジェンシープランの設計
コンティンジェンシープランとは、予期せぬ事態が発生した際の対応方法について事前にまとめた計画書のことです。万が一、ワークフローシステムを用いた運用がうまくいかないときのためのバックアッププランを用意しておきましょう。もっともオススメの方法は「従来の方法に戻す」ことです。
検討時はコンティンジェンシープランについて説明している記事も参考にしてください。

d. 利用開始とフォローアップ
実際に試験導入を開始したらフォローアップできる体制を整えておきましょう。最低限「いつでも質問できる先を用意しておく」ことが有効です。

e. 評価
実際に導入を開始して、当初目的としていた成果や目標が達成されているかどうかを確認します。同時に、今後の全社展開に向けてポイントとなりそうな部分や課題についてもチェックしましょう。

7. 本格的な導入を進める

部分的に利用を開始して、問題ないことが確認できたら徐々に全社展開に向けて進めていきます。この際も可能な限り段階的に利用部署を広げていくことをオススメします。部分導入を繰り返しながら、結果的に全社に導入されている状態が理想的です。

ワークフローシステムの選定・導入時のポイント

ワークフローシステムの導入時は、以下の点に留意してください。ワークフローシステムと一口にいっても世の中には多くのサービスが存在するため、全ての選択肢を完璧に比較・検討するのは現実的ではありません。ここでは、観点をシャープにして、自社にとってより正しいツールを導入するためのポイントを記載します。

導入の目的とゴールを明確にしておく

もっとも重要かつ当たり前のポイントですが、ワークフローシステムの選定や検討を始める前に、そもそもの検討の目的やゴールを明らかにしておきましょう。まとめ方として重厚長大なスライド資料にまとめる必要はないので、一言だけでも良いので、以下について答えるようにしておきましょう。

  • ワークフローシステムの導入によって達成したいことはなにか
  • ワークフローシステムの導入によって解決したい課題はなにか

また、上記は定義するだけでなく検討のステップバイステップで、本来の目的と解離していないか確認するために見返すことが重要です。

システムに求める要件を明らかにしておく

前項の導入目的が定義できたら、それを達成するために何がワークフローシステムに求められるのかを明確にしましょう。

  • どのような機能が必要になるか
  • 予算はいくらか
  • 対象となるワークフローシステムの難易度
  • データの管理・保管に関しての要件

検討の初期段階であれば、どのような機能があるのか?などは、なかなか肌感が掴みづらいと思います。その場合は解決したい課題・ゴールを詳細化しておくことがおすすめです。システム検討時は各営業担当の方に課題や状況をお伝えした上で、どのような利用方法や機能が紹介されるかを元に見極めていくことが有効です。ただ、この場合も本記事に記載されているような基本情報は抑えた上で臨むようにしましょう。

単純な費用対効果だけにとらわれない

陥りがちなミスとして、費用対効果を意識しすぎることが挙げられます。もちろん、ワークフローシステムの検討・導入においての費用対効果は非常に重要なポイントです。企業としての意思決定である以上、なんとなくの決定、導入は許されません。ただし、あまりにも費用対効果に囚われて「安いから」という理由で意思決定しまうと、全体的な使い勝手や副次的な効果を失ってしまう可能性があります。費用対効果は必ず見るべきですが、定性的に得られるであろう効果や、ツール全体を通じた使い勝手、最終的な目標に到達することが可能そうかどうか、など、複数の観点から確認・精査をしましょう。

現在の運用方法について誰よりも詳しくなる

ワークフローシステムの検討を主担当として進める場合、現在の運用方法については誰よりも詳しくなるようにしましょう。理想的には、自分が関わっている部分での利用状況だけでなく全社的、包括的な把握が必要となります。現状のキャッチアップを行う上では、各部署のメンバーへのヒアリングが有効になりますので、具体的な方法を知りたい場合は、業務ヒアリングの基本についてまとめた記事も参考にしてみてください。最終的には以下の項目が把握できていれば理想的です。

  • どのような種類の稟議・申請があるか
  • 稟議ごとの決済・承認プロセスがどのようになっているか
  • 利用者観点での課題や改善したい点にどのようなものがあるか

どの立場からも使いやすいシステムを選ぶ

サービスをうまく定着させるためには、実際にサービスを利用する現場担当者が使いこなせることが肝です。特にワークフローシステムは申請者・承認者という立場の異なるメンバーが利用するため、誰にとっても使いやすいものを選ぶ必要があります。実際にシステムを使用するメンバーにもトライアルに参加してもらい、感触を確かめてから導入しましょう。選定に関わってもらうことで、ツール導入への納得感を得やすいという効果もあります。

必ず比較検討・トライアルする

ワークフローを管理できるという大きな機能は同じでも、構成や使い方にはサービスごとに差異があります。自社にとって必要な機能条件を明らかにした上で、複数のサービスを比較検討してから導入を決めましょう。特によくある失敗例として、とりあえず最も安いサービスを導入したものの、業務にフィットせず結局運用できなかったというケースがあります。今はほとんどのサービスでトライアル期間を設けていますので、一度具体的な機能まで確認してから判断することをおすすめします。

導入をきっかけに業務プロセスを再設計する

業務フローが煩雑な状態でそのままシステムを導入しては、業務改善効果が半減してしまいます。システム導入をきっかけとして既存の業務プロセスを見直し、最も効率的に運用できる形にフローを設計し直してからシステムを導入しましょう。こちらはやや難易度の高い作業にはなりますが、長期的に安定して運用するためには、事前準備として非常に重要なポイントです。サービスによっては提供元が導入サポートを行っている場合もありますので、相談してみましょう。

導入は小さく初めて大きく広げていく

重要なポイントの一つです。ワークフローシステムに関わらず、システム導入でもっとも重要なのは小さく初めて、徐々に広げていくことです。もちろん、ワークフローの性質上、稟議に関連するメンバー(申請者、承認者)はまとめて利用を開始する必要がありますが、可能であれば特定の部署・チームから利用を開始することを推奨します。一部の業務から広げていく、という考え方もありますが、導入に影響を受けやすいのは利用するメンバーの人数になるので、人数が絞れるかどうか?の観点で限定的にスタートを切ることが重要です。

おわりに

ワークフローシステムは社内のオペレーションに直接影響をあたえるものですので、自社の業務に適したサービスを正しく導入できれば、大幅な効率化が見込めます。無料で試用できるサービスがほとんどですので、興味が湧いたものはぜひお試しください。

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