進捗管理の見える化は、タスクの進捗状況をチーム内で共有する際に有効な手法です。個々の進捗を互いにチェックすることで、抜け漏れを未然に防いだり、必要に応じてフォローに入ったりできるため、業務全体の進行がスムーズになります。
この記事では、進捗管理を見える化する方法や必要な理由、おすすめツールをご紹介します。
進捗管理の見える化とは
進捗管理の見える化は、各メンバーの作業状況を一目で把握できる状態にし、どの作業がどこまで進んでいるかをチーム全体で共有する管理方法を指します。まずは進捗管理の見える化が必要な理由とメリットについてご紹介します。
進捗管理の見える化が必要な理由
業務進捗が見えない状態では、誰がどの作業に取り組んでいるのか、どこまで進んでいるのか、いつまでに完了するのかなどの把握が困難です。一般的に「業務」とは細かい作業が連なって形成されるものであり、一つの作業だけで完成する仕事はほとんどありません。メンバーによって取り組む作業が異なる場合、進捗管理が見える化されていなければ作業の遅れや抜け漏れに気づきにくく、業務全体の進行に影響を及ぼすおそれがあります。
進捗管理を見える化すると、業務全体の進捗状況を把握しつつ、メンバーごと(作業ごと)の進捗状況の確認も可能になります。個々の進捗が把握できれば、負荷がかかりすぎているメンバーの負担を減らしたり、スケジュールを調整して余裕を持たせたりするなどのフォローが可能です。さらに、進捗状況をリアルタイムに共有できるようになることで、情報伝達や意思疎通に要する時間・手間などのコミュニケーションコストの削減、トラブルや遅れの未然防止にもつながります。
進捗管理を見える化するメリット
進捗管理を見える化するメリットには主に以下が挙げられます。
- 業務の進捗を一目で確認でき、確認連絡や報告の手間を削減できる
- メンバーのスケジュール意識が高まる
- 個人の仕事量を把握し、適切に作業を分担できる
- 納期遅れや作業漏れ、トラブルの発生を未然に回避できる
- コミュニケーションコストが下がる
進捗管理を見える化すると、各メンバーに割り当てられた作業がどこまで進んでいるかを一目で把握できるようになります。メンバーの進捗をチーム全体で共有することで、作業の遅れが生じているメンバーをフォローしたり、個々のパフォーマンスから適切な作業分担をスムーズに検討したりできます。
また、業務の進捗を自然とメンバーの目につく状態にしておくことで、「このタスクは○日までに完了させなければならない」「納期に間に合わせるには○日から次の作業に入る必要がある」など、メンバーのスケジュール意識の向上にもつながります。
進捗管理を見える化する方法
進捗管理を見える化するには、タスクやプロジェクトの進捗状況をメンバー全員が共有できる環境をつくる必要があります。ここでは、進捗管理を見える化する具体的な方法を3つご紹介します。
カンバン方式で管理する
カンバン方式とはトヨタ自動車が開発した生産管理方法で、製造業に限らずあらゆる業界・業種で発生するプロジェクトの進捗管理に応用できます。カンバン方式の進捗管理では、ホワイトボードを「作業前」「作業中」「作業後」などのステータスで区切り、進捗状況に合わせてそれぞれの区域に作業内容を書いたカンバン(メモや付箋)を貼り付けていきます。どの作業が未着手なのか、いま進行している作業は何か、どの作業が終わっているのかを視覚的にわかりやすく把握できることがポイントです。
従来のホワイトボードを使ったかんばんは、コストをかけずに手軽に取り組める「見える化」の方法の一つですが、進捗状況を段階ごとに可視化できるのみで、作業の工数や優先度までは把握できず、またリアルタイムに進捗管理ができないというデメリットがありました。現在はかんばん方式で利用できるツールも提供されており、担当者や期限もかんばんごとに管理できます。
ガントチャートを作成する
ガントチャートとはプロジェクトの工程管理に用いられる表で、縦軸にタスク名や担当者名、横軸に作業期間を記載し、タスクごとの進捗を棒グラフで表します。全体の作業工程を俯瞰的に把握でき、作業の開始日と終了日、担当者、作業期間などを一目で確認できます。
ガントチャートの概要と、テンプレートを紹介している記事も参考にしてください。
ガントチャートはエクセルを使うことで比較的簡単に作成できますが、手間をかけたくない場合はインターネット上で配布されているテンプレートを利用するのもおすすめです。しかし、カンバン方式による進捗管理と同様に、ガントチャートだけではタスクの優先度や重要度を把握しづらいデメリットがあります。ガントチャートによる進捗管理は、各個人の進捗状況を把握するというよりも、プロジェクト全体のスケジュールを俯瞰して見たい場合に向いているでしょう。
進捗管理用のクラウドサービスを活用する
アナログな方法でも進捗管理を見える化することはできますが、全体のスケジュールを把握できてもタスクごとの進捗状況は確認しづらい、進捗が変化してもチーム内ですぐに共有されないなどの課題があります。このような課題はクラウドツールの導入によって解消でき、業務全体の進行を確認しながらメンバーごとの進捗状況やパフォーマンスまでリアルタイムで把握できます。
進捗管理を見える化する目的は、単に作業の進み具合を俯瞰的にチェックするだけではありません。個々の進捗状況も把握してパフォーマンスが落ちている部分を早期に見つけ、それが全体の業務進行の妨げになったり納期遅れなどのトラブルに発展したりする前に手を加えることに意味があります。クラウドツールによる進捗管理であれば、各メンバーの進捗状況がチーム全体でリアルタイムで共有されるため、ネックとなっている作業を効率化する方法を話し合ったり、作業負担が大きいメンバーを手が空いている他のメンバーがフォローしたりすることができます。具体的なツールは後半でご紹介しています。
進捗管理がうまくいかない原因
進捗管理の見える化に取り組んでも、進捗状況をうまく管理できていないと感じる場合は、以下のような原因があると考えられます。
タスクの優先順位が明確になっていない
進捗管理の見える化を始める前段階として、まずは「タスクの洗い出し」と「優先順位付け」を行う必要があります。「Aの作業が終わらなければBの作業に取りかかれない」など、それぞれのタスクは相互依存の関係にあるものが多いため、優先順位を明確にしておかなければ「待ち」の時間が発生し、業務進行の効率が悪くなってしまいます。
タスクの整理ができていない状態で見える化に取り組んでも、それは正確な進捗管理とはいえません。進捗管理がうまくいかない場合は、そもそも進捗管理する対象のタスクが漏れなく抽出できているか、優先度の高い作業が明確になっているか、最適な業務フローになっているかなどをまずは確認しましょう。
メンバーが進捗状況を更新していない
正確な進捗管理を行うためには、メンバーが進捗状況を常に最新のステータスに更新していることが条件です。進捗状況の更新漏れが起こると、他のメンバーが次の作業を始められず、業務全体の進行が滞ってしまう可能性があります。特にアナログな管理方法では更新を忘れていても気づけないことが多く、進捗管理を見える化しているにもかかわらず個々に進捗状況を確認しなければならない状態になるかもしれません。
一方で、多くのクラウドツールには、設定した期日が近づいたり遅れが生じたりすると通知してくれるリマインド機能があります。担当者だけでなく他の関係者にもリマインドされるよう設定でき、チーム全体で進捗状況の更新・確認漏れを防げます。しかし、ツールの操作に手間がかかると後回しにされてしまいがちなため、ツール導入の際はあらかじめトライアルやデモで操作性を確かめておくことが大切です。
チーム内で進捗状況が共有されていない
進捗管理の見える化においては、各メンバーの進捗状況がリアルタイムで反映され、チーム内で共有できていることが重要です。進捗状況が共有されていなければ、どの作業がどこまで進んでいるのかわからず、遅れやミスが生じていてもすぐに気づくことはできません。一部のマネージャー層だけでなく、チーム内のすべてのメンバーで共有することが大切です。
進捗管理に取り組む際は、進捗状況が最新のものであることに加え、メンバー全員が進捗を確認できる体制を整える必要があります。進捗共有をスムーズに進めるには、個々の進捗やパフォーマンスをリアルタイムで把握できるクラウドツールが有効です。オフィス以外の離れた場所にいても、パソコンやタブレットなどの電子端末からアクセス可能なため、いつでもどこでも最新の進捗状況を確認することができます。
進捗管理に役立つおすすめツール
進捗管理を見える化するにはクラウドツールの活用が有効です。ここでは、進捗管理に役立つおすすめツールを3つピックアップしてご紹介します。いずれも日本語対応しています。
より詳しく知りたい方は、進捗管理ツールをまとめてご紹介している記事をご覧ください。
Jira
サービスサイト:Jira
Jiraはもともとソフトウェア開発に使用されていた進捗管理ツールで、大規模かつ複雑なプロジェクトの一元管理が可能です。メンバーの作業状況をチーム全体で共有したり、リアルタイムのインサイトでチームの状況を詳細に把握したりできます。あらゆる用途に対応したテンプレートが事前に設定されているため、利用者が一から設計する必要はなく、すぐにプロジェクトを始められます。
プラン | 料金 | ユーザー数 |
Free | ¥0(無料) | 10人まで |
Standard | ¥920/月/人 | 35,000人まで |
Premium | ¥1,810/月/人 | 35,000人まで |
Enterprise | 問い合わせ(年間請求) | 35,000人まで |
octpath
サービスサイト:octpath
octpathは弊社が提供しているプロセスマネジメントツールで、業務をフロー形式で登録し、そのまま業務管理まで行えます。入社対応や契約手続きといった定型業務の管理に向いており、フローの抜け漏れやミスの防止、属人化の解消などに有効です。メンバーが抱えている業務や工数が見える化されるため、個々の忙しさをリアルタイムで把握でき、最適な業務分担にも役立てられます。
プラン | 料金 |
スタンダード | 1ユーザーにつき¥1,500/月 |
ビジネス | Coming Soon |
Asana
サービスサイト:Asana
Asanaは弊社でも利用している進捗管理ツールで、日常的に発生する細かいタスクの管理に向いています。仕事の進捗状況をリアルタイムで把握できるレポート機能では、複数のチームやプロジェクトの進捗を横断して確認することが可能で、問題が起こる前にリスクを発見したり、必要なアクションをとったりすることができます。
プラン | 料金 | ユーザー数 |
Basic | ¥0(無料) | 15人まで |
Premiun | ¥1,200/月/人(年間払い) | 上限なし |
Business | ¥2,700/月/人(年間払い) | 上限なし |
Enterprise | 問い合わせ | 上限なし |
おわりに
進捗管理の見える化とは、業務全体の進行やメンバー個々の進捗状況を誰もが確認・共有できる状態にすることです。進捗管理における「更新漏れが起きても気づきにくい」「リアルタイムで情報共有できない」などの問題点は、クラウドツールを導入することですべて解消できます。進捗管理がうまくいかない場合は、ツールの導入も検討してみてください。