「シックスシグマ」は、品質管理のための手法のひとつです。今回の記事では、シックスシグマの言葉の意味と大まかな流れについてご紹介します。

シックスシグマとは

シックスシグマ(Six sigma)とは、1980年代にアメリカのモトローラという企業が開発した品質管理のための手法で、一言でいうと「同じプロセスを100万回繰り返した場合に、エラーの起こる回数を3,4回に抑える」ための活動です。もとは製造業の製造部門で生まれた手法ですが、今はそれ以外の業種の中で、営業部や総務部の業務品質の管理や、組織経営に用いられることもあります。

また、今回の記事ではご紹介しませんが、近年アメリカでは、シックスシグマにさらにトヨタ生産方式を合体した「リーンシックスシグマ」という手法も用いられています。それほどグローバルで評価されている手法のひとつです。

言葉の由来

シックスシグマは、統計学の考え方をもとに命名されました。
統計学には“計測結果のばらつきは一定の法則で発生する”とされる、正規分布という考え方があります。この考え方を適用すると、不良品が製造される割合をシグマのレベルに合わせて導くことができます。例えば、±1σのレベルであれば、製造した全商品のうち68.26%が正規品となり、残りの31.74%、不良品が生まれることになります。

正規分布のイメージ図

このように表した場合、±6σ(シックスシグマ)では、製造した製品全体のうち99.73%が正規品、不良品は全体のわずか0.27%となります。この「100万個の製品を製造した場合に不良品が3,4個生まれる」割合を、モトローラが製造時の目標として設定したことから、この製造方法が有名になりました。

取り組みの目的

名前の由来からも分かる通り、シックスシグマの目的は「業務品質を安定させること」ですが、最終的な大目的は「顧客満足度の向上」です。

製品やサービスを大量生産・販売している企業では、機械や人手の都合により品質に一定のばらつきが生まれてしまうものです。しかし、業務の品質は製品に対する評価だけでなく企業の評価にも繋がるため、出来る限りミスやエラーを減らすことで、さらなる品質の向上に取り組むことが大切です。シックスシグマはそのための手法として取り入れられています。

シックスシグマでは、顧客の声(VOC=Voice of the Customer)を取り入れることがひとつのポイントになります。詳細は記事後半の「取り組みのおおまかな流れ」でご説明します。

ビジネスシーンでの活用例

シックスシグマは主にアマゾンやフォード、ダイソンなど海外の大手企業で取り入れられていましたが、日本でもソニーや東芝、LIXILなど、様々な企業が取り入れています。シックスシグマのイメージがつきやすいよう、ビジネスシーンでの取り組みの例をご紹介します。

例1: ECサイトでの製品の発送ミス

あるECサイトでは、顧客から注文の入った製品を手作業で梱包、発送するプロセスがありましたが、色やサイズの間違いによるクレームが日々発生していました。そこで業務プロセスを見直したところ、メンバーの作業が属人化していたことが原因だと分かり、解決策としてマニュアルを作成。結果、作業手順やチェック観点が整い、ミスの削減に繋がりました。

例2: お問合せ対応の遅れ

顧客からのお問合せがあった場合に2営業日以内に返信することを原則としていたものの、返信に5日以上かかっているケースが10件中1件の割合で起きていました。マネージャーが原因を分析した結果、お問合せ対応をしているメンバーが他の業務も複数担当していることからリソース不足であったため、チーム編成を変更し、顧客対応のスピードを改善しました。

先述した通り、シックスシグマの目的は顧客満足度の向上のため、ビジネスサイドの利用例が目立ちますが、実際には人事や総務などバックオフィスでも使用することができます。次章以降に説明する流れとポイントを確認し、自身の担当業務に適用できそうか検討してみてください。

取り組みのおおまかな流れ

シックスシグマの導入方法には、DMAIC、DMADV、DFACEなど様々な手法がありますが、今回は最も主流とされているDMAICについてご紹介します。

DMAICは、Define→Measure→Analyze→Improve→Controlの頭文字をとった言葉で、言葉の通り以下の流れに沿って取り組むフレームワークです。

DMAICの流れ

フェーズごとの流れについてご説明します。

1.Define(定義)

まずは、シックスシグマで解決すべき課題を定義します。ここで設定する課題の質が施策のインパクトに直結するため、何を解決したら成功と言えるのか、なるべく具体的に定義しましょう。課題の定義が難しい場合には、業務改善に取り組む際の目標設定のポイントを紹介している記事も、参考にしてみてください。

シックスシグマでは、顧客満足度の向上という目的に沿って、顧客が不満に感じている箇所を課題として扱います。そのため定義のフェーズでは、顧客に対するヒアリングやアンケートを行うことで課題を明確化するのが一般的です。例えば、サービスのエラーが頻繁に発生して困っている、仕様が分かりづらい、などです。

2.Measure(測定)

次に、課題について正確に理解するためのデータ収集を行います。自身の業務に対する感覚や顧客の意見などの主観的な情報は、しばしば実態と異なるため、定量的な情報として回収することが重要です。例えば「エラーが頻繁に発生している」という顧客の意見があった際に、どの業務プロセスの中で、月に何回エラーが発生しているのか、エラーが発生してから修正されるまでに何分かかっているのか、などを計測します。

3.Analyze(分析)

Analyzeのフェーズでは、収集したデータを元に課題の原因を分析します。実際には、ひとつの課題には複数の要因が隠れていることがほとんどです。したがって、根本原因を探るのはもちろん、どの原因が最も解決した際のインパクトが大きいか/解決しやすいか、などいくつかの軸で検討し、解決可能な事柄を選ぶ必要があります。

また、もし業務プロセスが可視化されていない場合には、プロセスの可視化から取り組むのがおすすめです。複数のステップが連続して業務が成り立っている場合には、プロセス全体のうちどの箇所で課題が発生しているのかを把握しづらいためです。プロセス可視化の手法として一般的であるフロー図作業手順書の作成方法を解説した記事もありますので、それぞれ参考にしてみて下さい。

4.Improve(改善)

課題を明確化できたら、課題解決のための施策を決定します。ここでも原因の分析と同様、複数案を出し、実現可能性やリソースを踏まえて取り組みやすいものを検討し、実行します。改善施策を出すための方法について解説している記事も、ご確認ください。

一般的には、マニュアルの整備やプロセスの変更、チームの再編成などの施策がありますが、シックスシグマを取り入れる業務によって適切な施策は様々です。解決すべき課題の解決に最も効果的な施策を選択することが重要です。

5.Control(管理)

最後に、改善施策が実現できたのかの確認、その後の効果測定を行います。施策の内容によりますが、プロセスを丸ごと変更したりチームを再編成した場合には、結果が出るまでに一定の期間が必要です。効果を確認できるまで、継続的に評価を行いましょう。

また、施策を1回実行するだけでは効果を最大化することはできません。1.Defineで定義した目標が達成できたのかを確認した後、その結果をもとに目標と施策をブラッシュアップし、改善のための取り組みを繰り返し実行し続けることが大切です。

シックスシグマの効果が出やすい業務の特徴

シックスシグマは、取り組みの性質上、以下のような業務の場合に効果が出やすい方法です。自身の担当業務が該当するか確認し、検討してみてください。

  • 業務の流れや作業内容が決まっている、定型業務である
  • 業務の発生ボリュームが大きい・製品の発注量が多い
  • 発生頻度が高く、定常的に発生する業務である
  • ミスやエラーが許されない業務である
  • 業務担当者が複数名いて、属人的に取り組まれている

まとめ

シックスシグマの概要について理解していただけたでしょうか。ミスやエラーは企業とサービスのイメージに直結します。作業ミスにお悩みの方は、ぜひトライしてください。また、シックスシグマは専門のコンサルタントがいたり、ライセンスができているほど、本格的に取り組む場合には専門的な知識が必要になります。自身で取り組むのが難しい場合には、専門家に相談することも検討してみてください。

シックスシグマの他にも、業務改善の施策は複数あります。業務改善のカテゴリから、自社に合った施策を探してみてください!

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