ビジネスプロセスにおけるフローチャート(業務フロー図)では、複数部署の同時作業や並行作業を正しく「並列処理」として可視化することが重要です。
本記事では、システム設計用ではなく「ビジネス業務におけるフローチャートの並列処理の書き方」を分かりやすく解説します。
この記事の要点まとめ
- 並列の基本の書き方:条件分岐記号(菱形)は使わず、1つのタスクから複数本の矢印をそのまま分岐させて記述します。
- NGな書き方:並列処理に条件分岐記号を使うと、単なる「分岐」なのか「同時並行」なのか区別がつきにくくなり、フローチャートの見やすさが低下します。
- 条件分岐を伴う並列処理:「100万円以上は課長・部長の並列承認」のように条件と並列が混ざる場合も、まず条件でグループを分解してから並列矢印を繋ぎます。
- 2026年最新の業務可視化トレンド:手動描画の作図ソフトにとどまらず、AI(生成AI・プロセス自動生成AI)やBPM(ビジネスプロセスママネジメント)ツールと連携し、並列タスクのボトルネック検出やタスク同期の自動化を行う運用が標準です。
業務フローを可視化する際は、無理に並列化せず「本当に同時並行すべきか」「単に作業順序が曖昧なだけではないか」を整理することが、業務改善の第一歩です。
業務フローの作成・可視化には 業務フロー作成・業務改善ツール「octpath」 の利用がおすすめです。
この記事の目次
- この記事の要点まとめ
- フローチャートにおける並列の書き方
- 注意!並列処理の表現に条件分岐記号は利用しない
- フローチャートで並列を記載する際のポイント
- フローチャートでの並列処理に関するよくある質問(FAQ)
- Q1. フローチャートにおける「並列処理」とは何ですか?
- Q2. 並列処理の表現に「条件分岐記号(菱形)」を使ってはいけない理由は何ですか?
- Q3. 並列で進めたタスクが合流する場合、どのように記述すればよいですか?
- Q4. 並列処理の分岐数(枝分かれさせるタスク数)に制限はありますか?
- Q5. 「条件分岐」と「並列処理」が同時に発生する場合はどう書きますか?
- Q6. 業務フロー作成時に「むやみに並列処理にしない方がよい」と言われるのはなぜですか?
- Q7. システム用のフローチャートとビジネス用のフローチャートで並列の書き方は違いますか?
- Q8. 並列タスクの処理時間が大幅に異なる場合はどう表現すればよいですか?
- Q9. AIや最新の業務改善ツールを使うと、フローチャートの並列処理作成はどう変わりますか?
- Q10. 並列処理のフローチャートを手軽に作成・管理できるおすすめのツールはありますか?
- 最後に
フローチャートにおける並列の書き方
並列は「複数のタスクを同時並行で進行する」ケースを表します。例えば入社手続きを進めるにあたって、人事部・配属先・情報システム部がそれぞれに準備を進める場合など、部署やチームを跨いで作業をする必要があるケースや、複数ある業務のうちどこから進めても良いような業務の前後関係が曖昧なケースも表現することができます。
フローチャートにおける並列処理は、通常のフローチャートで用いられる矢印を一つのタスクから複数本繋げることで表現します。
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上記の例では、以下のような業務フローをフローチャートとして表しています。
【想定業務】
・中途社員の入社が確定した後の手続き業務を想定
・人事部、配属先である営業部、情報システム部がそれぞれ準備を行う
・各部署の業務が終了してから始めるべきタスクがある
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注意!並列処理の表現に条件分岐記号は利用しない
並列処理の表現とよく混同されるのが条件分岐です。分岐は「特定の条件に従って処理が2種類以上のパターンに分かれる作業」のことで、フローチャートで表現する際には以下のような専用の記号を用います。

実際にフローチャートの分岐を用いる場合は、以下のような形で作成します。ユーザの購入回数を分岐条件として、後続の作業を分岐しています。

業務が2軸に分かれるということは共通しているため、並列処理の表現にも分岐記号を用いることができると考えられがちですが、並列処理を条件分岐記号を用いて表すことはできません。分岐器号を用いることで分岐と同時並行のの区別が難しくなり、見やすさが低減してしまうためです。ご紹介したように、並列処理を行う場合はあくまでも矢印とタスクを繋ぎ合わせることで表現することが望ましいです。
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条件分岐を伴う並列処理の表し方
少し特殊な例として、条件分岐を伴う並列処理が必要なケースがあります。例えば以下の例です。
【想定業務】
・予算どりに関わる申請業務
・申請金額によって、後続の対応方法が変わる
・1万円以上であれば必ず課長承認を行う
・100万円以上の場合は、課長と部長による承認が必要
“100万円以上”という条件は“1万円以上”という条件にも内包されるため、100万円以上の場合は「課長承認」と「部長承認」のタスクが並列で進行します。対して“1万円以上100万円未満”の場合は「課長承認」のタスクのみ実行するため、対応が分岐することが分かります。
誤った記載として、通常の条件分岐の方法に則ると、条件分岐記号を用いて以下のように表すことができます。

ただし、先述したように条件分岐と並行処理を混同してしまう可能性があるため、上図の表現方法は適切ではありません。今回の業務では、以下のように表すことが理想的です。

分岐条件を「1万円以上100万円未満」と「100万円以上」の二つのケースに分解した上で、100万円以上の軸の先に並列処理を作成します。この場合、申請金額に応じて条件分岐が行われ、100万円以上の場合のみ並列処理が発生することとなります。
少し複雑に感じられるかと思いますが、原則として分岐記号は利用しないことを意識してください。また、分岐のイメージがつかない場合はフローチャートの分岐について解説している記事も参考にしてみてください。
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フローチャートで並列を記載する際のポイント
業務実態をそのまま表現することを意識する
今回は2-3個分のタスクが並列で進行する例のみご紹介しましたが、フローチャートにおいて並列処理が可能なタスク数に制限はありません。また、並列処理のルートの階層下に、さらに並列処理を追加することも可能です。フローチャートを作成する際は可能な限り実際の業務フローをそのまま表現することを意識して、必要に応じて並列処理を利用してください。
本当に並列で処理すべきか確認する
今回の記事では並列処理について紹介しているものの、並列処理はあくまでも本当に必要な場面でのみ利用することをおすすめします。複数のタスクを同時に進行すると進捗管理がしづらくなってしまったり、担当者が曖昧になってしまったりする可能性が高まるためです。また、所要時間が明らかに異なるタスクを並列で処理してしまうことで、所要時間の長いタスクの完了を待つ必要があり、後続作業の開始が遅れてしまうことも考えられます。
業務フローを可視化するタイミングで、各タスクに前後関係を持たせることができないか、改めて検討してみてください。
フローチャートでの並列処理に関するよくある質問(FAQ)
Q1. フローチャートにおける「並列処理」とは何ですか?
複数のタスクやプロセスを同時に並行して進める状態を表します。 例えば「人事部・営業部・総務部が同時に入社準備を進める」など、部署を跨いで作業を行ったり、作業の前後関係がないタスクを整理したりする際に使います。
Q2. 並列処理の表現に「条件分岐記号(菱形)」を使ってはいけない理由は何ですか?
「どちらか一方を行う分岐」と「両方を同時に行う並列」の区別がつかなくなるためです。 分岐記号を使うと読み手に誤解を与え、業務フローの正確性が損なわれます。並列処理は菱形を使わず、タスクから直接複数本の矢印を伸ばして表現します。
Q3. 並列で進めたタスクが合流する場合、どのように記述すればよいですか?
並列して進めた複数のタスクから伸ばした矢印を、合流先の「1つのタスク」に集約させます。 これにより「すべての並列タスクが完了してから次のタスクへ進む」という業務ロジックを正確に表現できます。
Q4. 並列処理の分岐数(枝分かれさせるタスク数)に制限はありますか?
制限はありません。 3つ以上のタスクや部署が同時に動く場合でも、必要な分だけ矢印を伸ばして並列で記述できます。ただし、線が交差して見づらくならないよう配置を工夫する必要があります。
Q5. 「条件分岐」と「並列処理」が同時に発生する場合はどう書きますか?
まず条件分岐(菱形など)で分岐条件を整理し、その分岐先に並列処理の矢印を配置します。 例えば「100万円以上」の条件分岐の先に、「課長承認」と「部長承認」の並列タスクを繋げることで混同を防げます。
Q6. 業務フロー作成時に「むやみに並列処理にしない方がよい」と言われるのはなぜですか?
並列処理が増えると進捗管理が煩雑になり、担当者の責任があいまいになりやすいためです。 また、片方の作業が早く終わってもう片方を待つ「手空き時間」が発生しやすくなります。事前に「本当に前後関係をつけられないか」を検討することが推奨されます。
Q7. システム用のフローチャートとビジネス用のフローチャートで並列の書き方は違いますか?
基本的な考え方は同じですが、ビジネス用ではSwimlane(スイムレーン/部門ごとの帯)を併用するのが一般的です。 誰がどの並列タスクを担当するのかを明確にするため、部門や役割ごとにレーンを分けて矢印を伸ばします。
Q8. 並列タスクの処理時間が大幅に異なる場合はどう表現すればよいですか?
記述上は並列で問題ありませんが、注記の記載やBPMツールの活用が有効です。 完了タイミングがずれることで後続タスクに遅延が生じるリスクがあるため、所要時間や待ち時間の条件を明確にしておくことが望ましいです。
Q9. AIや最新の業務改善ツールを使うと、フローチャートの並列処理作成はどう変わりますか?
テキストで業務手順を入力するだけで、AIが自動で並列タスクと条件分岐を判別してフロー図を生成できます。 手動で作図する手間を削減し、並列タスクの同期漏れやボトルネックの検出まで自動で行えます。
Q10. 並列処理のフローチャートを手軽に作成・管理できるおすすめのツールはありますか?
業務プロセス管理・標準化に特化した「octpath」などのBPMツールがおすすめです。 フローチャートの描画だけでなく、タスクの進捗管理や動的なフロー運用をスムーズに行えます。
最後に
ビジネスシーンでは、複数の部署やチームが同時に作業をする必要がある場面も多々あります。正確な業務フローの可視化のため、ぜひ記事を参考にフローチャートの可視化に取り組んでみてください。
また、フローチャートをクラウドで簡単に作成できるツールについて紹介している記事もありますので、合わせて検討してみてください。
