業務改善提案書の作成にはいくつかポイントがあります。本記事では業務改善提案書としてA4用紙1枚程度に収まるような提案書サマリーの作成方法をご紹介します。

業務改善提案書とは

業務改善提案書を作成する目的

業務改善提案書はその名の通り、社内における特定の業務について具体的な改善提案を行うためのドキュメントになります。様々なケースがありますが、最初に作成するのはA4一枚程度のサマリ/レジュメの形式が一般的です。業務改善の目的や背景、具体施策を簡単に取りまとめることで、改善の必要性を共有し、アクションに移すための意思決定を取り付けることがゴールとなります。

業務改善提案書が活用できる業種や業界は

業種・業界に関わらず様々な場面での利用が可能です。部署についてもフロントオフィス、バックオフィス関係なく活用できます。今回ご紹介する業務改善提案書のフォーマットは様々な企業でご利用いただけるように汎用的な項目にしておりますので、ご参考いただければ幸いです。もちろん、ご自身の業務や職種に合わせてカスタマイズいただくことも可能です。

業務改善提案書はいつ・だれが書くのか

業務改善の理想的な形としては、実際に現場で業務に従事しているメンバーからの声が起点となることです。もちろん、マネージャーや管理者からのトップダウンでスタートするケースもありますが、対象の業務を誰よりも理解している現場メンバーからの発案の方が実現可能性も高く、効果的な場合が多いです。提案書自体も可能な限り発案者が起票することをおすすめします。

業務改善提案書のサンプル

業務改善提案書のサンプルは以下の通りになります。サンプルは雛形としてもご活用いただけるようにダウンロード可能です。

業務改善提案書のサンプル画像です。
業務改善提案書 サンプル

上記のとおり、最初の提案書はサマリー版としてA4の用紙1〜2枚程度に収まると理想的です。詳細なポイントは後述しますが、まずは簡潔に全体の概要をまとめることで打ち手やメリットについて明確に伝えます。良い提案は冗長な説明をしなくても伝わるものです。

業務改善提案書に記載する項目

サンプルで記載されている項目について順番に解説します。もっとも重要な項目は「想定されるメリット・効果」です。

基本情報とタイトル

最上段に記載する共通部分です。少なくとも提案した日付と提案者がわかるようにしましょう。提案先に直接提出せず、特定の窓口などを介する場合は左上の部分に提出先や担当者名を記載すると良いです。今回、タイトル部分は汎用的な内容として例示していますが、ここである程度提案内容が理解できる形で記載しても構いません。例えば、「配送プロセスの標準化による業務改善のご提案」のように、内容をタイトルにすることで、読み手が前提の認識を持ったうえで読み進めることができます。

「業務改善の全体概要」

今回提案する業務改善の内容全体をサマリーとして記載します。多く書きすぎる必要はありませんが、5W1Hを抑えることで簡潔に全体像が伝わります。

  • When: いつから、どのくらいの期間着手するのか
  • Where: 業務改善対象の業務や範囲
  • Who: どの部署やメンバーが対象となるのか
  • What: 対象となる業務の内容
  • Why: 業務改善に着手する背景
  • How: 業務改善のアプローチ

「現状」

現在の具体的な業務内容や実態を記載します。読み手が対象の業務について理解が深くない場合は、業務内容や作業について丁寧に記載してください。また、可能な限り定量的に記載することがポイントです。例えば、業務の発生件数、担当人数、工数、期間などです。定量的に書くことで認識を齟齬なく持ってもらえます。

「問題点」

対象の業務で発生している問題や課題を記載します。こちらも定量的な表現を心がけます。例えば、「ミスが発生している」ではなく「ミスがx%発生している」などです。もし、問題や課題を定量的に記載できない場合は、現状の分析が不足している可能性があります。現状分析も含んだ改善提案である場合意外は、事前に問題点を定量化できるようにしましょう。

「解決策・打ち手」

ここでは、具体的な業務改善のアプローチを記載します。最初に解決策の全体感を記載しつつ、段階的に取り組む場合は時系列順に実施内容を記載していきます。重要な点としては、問題点を解決できるイメージを読み手に持ってもらうことです。後述する「想定されるメリット・効果」と、前項の「問題点」の連動性が明確に理解できるような形で記載しましょう。

「想定されるメリット・効果」

もっとも重要なパートです。必須の要素は「問題が解決されること」を明記することです。提案書を作成している間に主題を忘れてしまい、手前で記載した問題点と解離したメリットを記載してしまうケースが意外とありますので注意してください。また、メリットや効果についても可能な限り定量的に記載しましょう。もちろん、予測のため見積もりが難しいケースもありますが、「XXの場合はXX%の改善が見込める」など仮説でも良いので数値化すると具体的なイメージを持つことができます。

「必要な予算・リソース」

当該プロジェクトを実施するうえでどれだけの費用やコストが発生するのかを記載します。また、物品の購入やサービスの発注など実費として意識しやすいコストだけでなく、「プロジェクトに従事するメンバー」の工数も立派なコストなので、忘れずに記載しましょう。こちらも精緻な見積もりが難しければ概算でもよいです。特に大きな企業の場合、必要な予算によって承認のための経路や期間が変わる場合があるため、事前に見立てることでスムーズな案件着手が可能となります。

「期間」

業務プロジェクト全体でかかる想定期間を記載します。もし丁寧に説明する場合であれば、プロジェクトの段階ごとにそれぞれどのくらいのスケジュールで進めていくのかを記載するとよいでしょう。

「リスク」

忘れられがちですが、プロジェクトにおけるリスクを記載します。「スケジュール以内に完了できない」なども該当しますが、自明なものは記載する必要はありません。意識するべきなのは、ダウンサイドのリスクです。つまり、そのリスクによって大きなマイナスが発生するような可能性があれば予め明記します。また、もう一歩踏み込む場合はそのリスクを回避または軽減するためのアプローチや予備策も記載できると理想的です。

良い業務改善提案書をつくるポイント

誰が読むのか「読み手」を考える

もっとも重要なポイントになります。必ず最初に「その提案書は誰が読むのか」、また読んだ結果「どのような状態になって欲しいのか」を考えるようにしましょう。例えば、対象の業務について深い理解がある上司なのか、業務の細かい内容は把握していない経営層なのかによって記載すべき詳しさが変わってきます。

取り組むのに値する課題であることを伝える

あらゆる施策の効果を最大化するためには、解くべき問の質を上げることが重要です。その業務改善においてアプローチしようとしている課題が、企業や組織にとって重要なものであることが明確に伝わるように工夫しましょう。

数字を使って定量的に記載する

金額や発生率、工数など定量的に表現できる要素は多くあります。提案内容の効果を齟齬なく正しく伝えるためにも極力定量的な表現を心がけましょう。また、効果など結果の要素は精緻な見積もりが難しいかと思います。その場合も「試算」の形式で記載する形で問題ありません。過程している数値が正しくなければ、そこに対してのフィードバックも受けることができて、施策全体の成功率や制度が上がります。

客観的に記載する

理想的な業務改善提案書は現場のメンバーから発案されたものであることはすでに述べた通りです。ただ、その場合のデメリットとしては、業務について詳しすぎるあまり客観的な視点が抜け落ちてしまう可能性があります。記載する場合は誰が見ても同じ認識・印象を得られるように意識して書いていきましょう。

網羅的に記載する

今回ご紹介した業務改善提案書はサマリー版なので、すべての情報を完璧に網羅することは難しいでしょう。それぞれの要素の記載は簡潔でも、ポイントを抑えていることが重要になります。前述のとおり全体の項目を抑えていただければ、最低限の網羅性が担保できるかと思います。

ゴールを明確にする

業務改善を通じて得られるメリットや効果は実施可否を判断する上でもっとも重要なポイントになります。背景や問題点、アプローチの内容は最終的な効果を得るための前提の項目となります。いずれの内容を記載する場合も常に最終的な改善のビジョンを意識しましょう。

業務改善提案のアプローチについて

いざ業務改善提案を行おうと思っても具体的なアプローチが思いつかないケースが多いかと思います。ここでは、具体的にどのような業務改善の案があるのか、簡単にご紹介します。

業務の定型化・標準化による効率化

業務の方法や取り組む流れをある決まった形に整理して、チームで取り組み方を統一します。一見、定型化、標準化が難しい業務に思えても、冷静に見てみると同じやり方に統一できる場合が少なくありません。定型化、標準化が可能かどうかを判断する要素には以下があります。

  • 繰り返し発生している業務か
  • 業務の流れをマニュアル化することができるか

業務を定型化、標準化することで、安定した業務品質を実現できるだけでなく、メンバーの増加や入れ替わりなど担当者が変わった場合でも、素早く同じクオリティで業務を実施できるようになります。また、業務の流れが明確になるため、進捗状況の管理も容易になり、ミスや抜け漏れの防止に繋がります。

ムダ・ムリ・ムラを発見して改善策を考案

業務の非効率さを生み出す指標で、3Mと呼ばれる場合もあります。言葉のままですが、「ムダ」は不要な作業や過剰なリソース、「ムリ」は作業量とリソースの不一致、「ムラ」は作業量やリソースの不安定さを表します。課題発見のために以下の観点で現在の業務を確認しみてください。

  • ムダ: 不要な作業・人員を過剰に投下している・設備やツールが活用できていない
  • ムリ: 作業量の超過・人員不足、短納期・過剰な品質
  • ムラ: 作業量の不安定さ・作業人員の不安定さ

この指標は実際の業務効率化を考えるうえでも役立ちますが、現状分析をする際に、どこに改善できるポイントが存在するかを見極める上でも有用な考え方です。

ECRSを用いた業務効率化

ECRSは業務改善に取り組む際に用いられるフレームワークです。業務を見直すための以下4つの観点の頭文字を合わせたもので、「イーシーアールエス」または「イクルス」と読みます。

ECRSの内容と流れのサンプルイメージ
ECRSの概要と流れ
  1. Eliminate(排除): 業務やプロセスをなくす
  2. Combine(結合) : 別々の作業を同時に処理する、ひとつにまとめる
  3. Rearrange(再配置): プロセスや担当者を入れ替える
  4. Simplify(簡素化): 手順やプロセスを簡単なものに変える

並び順の、E→C→R→Sは改善効果の大きい順に並んでいます。この流れで業務の見直しを行うことで、効率的に業務改善に取り組むことができます。
ECRSを通じた業務改善の具体的な方法と流れをまとめた記事がありますので、ぜひ参考にしてみてください。

業務マニュアルを整備して作業内容を明確化

業務マニュアルのサンプルイメージ
業務マニュアルサンプル

業務マニュアルの作成も、業務効率化に役立てることができます。マニュアルを作成することで業務の属人化を防ぐだけでなく、作成の過程で、どのような作業プロセスが理想的な手順なのかを考えることに繋がるので、業務の平準化、業務品質の安定も期待できます。
マニュアル作成は、事前準備や作成した後のメンテナンスのポイントになります。詳細はマニュアル作成のコツとポイントをまとめた記事で紹介していますので、合わせて確認してみてください。

さいごに

業務改善提案書の書き方とポイントについてご理解いただけましたでしょうか。テンプレートと合わせて、ぜひご自身の業務改善活動にお役立ていただければ幸いです。また、業務改善そのものの進め方やさらに詳細な手法の例については、業務効率化への取り組み方と手法・ツール25選を紹介した記事を参考にしてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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