見える化の概要は理解していても、具体的な効果や手順が分からないという方も多いのではないでしょうか。見える化の対象業務は生産ラインから開発業務まで多岐に渡ります。今回はビジネスにおける「見える化」の使い方に限定して、目的から実際の取り組み方までご説明します。

見える化とは

言葉の定義

見える化とは、その名の通り「本来見えていなかったものを、見える状態にすること」を言います。ビジネスシーンではさらに意味を限定して「業務の進行状況や営業実績などの対象物を、特定の目的に合わせて、見える状態にすること」を指します。

例えば、日々の業務フローや個別のスキル状況など、目に見えづらい定性的な情報を対象に「業務を見える化する」「スキルを見える化する」といったように使用します。

注意!見える化はゴールではない

見える化は、業務改善を実現するためのファーストステップです。見える化によって得られたデータをもとに、何某かの施策に取り組むことで、業務が改善されます。見える化そのものがゴールにならないよう注意してください。

見える化と可視化の違い

見える化とほぼ同じ意味で使われる言葉に「可視化」があります。可視化について解説している記事でも言及していますが、両者に厳密な定義の違いはありません。両者とも、見えていなかったものを見えるようにするという取り組みを指します。
ただ、実際の利用シーンでは以下のように使い分けられます。

  • 「見える化」…抽象的・定性的な情報を明らかにする場合に使用
     例)業務の見える化、スキルの見える化
  • 「可視化」…定量的・具体的な情報を、目的に合わせて整える場合に使用
     例)メンバーの稼働時間を可視化する、営業成績を可視化する

どちらを使っても間違いではありませんので、参考程度に確認してみてください。

見える化によって得られる効果

見える化は様々な場面で取り入れられていますが、具体的にどのような点が業務改善につながるのでしょうか。具体的な業務の例と合わせて、代表的なメリットを3つご紹介します。

課題を早期に発見・対処できる

顧客のサービスに対する評価や従業員のモチベーションなどの定性的な情報は、目で見て確認することができないため、変化に気づきづらくなります。定量化が難しい情報は他にも、業務の流れやメンバー同士のコミュニケーション、業務の生産性などビシネスのあらゆる場面に存在します。それらの情報を見える化して継続的に管理しておくことで、小さな変化を適切に捉えられるようになる結果、問題の早期発見・予防管理に繋がります。

また、即座に問題に気付けるというだけでなく、発生しうる問題に対する解決策も事前に洗い出しやすくなることによって、問題の解決スピードを早めることができるという点もメリットになります。

属人化を防ぐことができる

特定の社員が長期間同じ業務を担当していると、作業内容が属人化しがちです。属人化は、担当者以外がミスに気づけない、従業員の評価が適切に行えない、十分な引継ぎが行えない、クオリティに差が出る等、企業にとって多くのデメリットをもたらします。各メンバーが担当している業務のプロセスや手順を日頃から常に見える化しておくことは、属人化を防ぐために非常に有益なポイントです。

コスト削減に繋がる

定型化されている業務の中にも実はムダが隠れています。まずは現状を定量的なデータとして見える化しムダを排除することで、作業の手間はもちろん、人件費や使用しているツール・システムの必要性の見直しにも繋がり、コストの削減が実現できます。

見える化の効果が出やすい業務の特徴

以上のメリットを踏まえて、見える化に取り組んだ場合に効果が出やすい業務の特徴をまとめました。

複数名で作業を分担している

複数名で業務を分担していると業務内容の確認や進捗管理が曖昧になるので、チームメンバーそれぞれの状況を把握するためには、見える化が有効な手法になります。また、フローや、人と人の間で発生する業務の見直しができることもポイントです。チーム全体で業務の見える化に取り組むことで、個人の見直しだけでは気がつかない改善点に目を向けることができます。

現場のトラブルやミスが減らない

業務のトラブルやミスが現場で頻発している場合、管理者の立場からは見えない部分に問題が隠れている可能性が高いです。同じように作業をしているように見えていても、現場メンバーは小さな修正やイレギュラーな対応に追われていたりします。業務を見える化し、まずは現場のどこで問題が生じやすいのか把握するだけでも、トラブルやミスを減らすための第一歩になります。

一人あたりの業務量が多くメンバーの負荷が高い

作業を担当しているメンバーに対して、業務量がオーバーしまうケースが多くあります。また、その場合も予算や人員の問題からリソースが増やすのが難しい場合がほとんどかと思います。見える化によって「重要度や緊急度が低い業務を見つける」「非効率なやり方になっている部分を見つける」といった形で状況を改善できます。

業務改善を実現するための5つのステップ

最後に、実際に見える化に取り組むためのステップを解説します。前述の通り見える化の目的やメリットは多岐に渡りますが、ここでは業務改善を目的とした場合を想定して簡単にご紹介いたします。ざっくりまとめると以下の5ステップで進めます。

見える化のステップをまとめた画像です。

1.見える化した後のゴール状態を明確にする

見える化はひとつの手段であり、ゴールではありません。何を目的として見える化に取り組むのかを明確にし、関係者同士で共通認識を持っておくことが重要です。

見える化は1度実施したら終わりではなく、継続的に改善を繰り返していく必要があります。その上で効果を高めるためには、より具体的な目標を掲げることがポイントです。例えば「チームの働き方を改善したい」というよりも「3ヶ月後までに、チーム内での残業をゼロにする」というように期限と定量指標を設置することで、現状から目標までの距離が見えやすくなります。

2.見える化の対象を定める

次に、目標達成のために実際に見える化する要素を定めます。見える化に取り組む前の段階では、目標達成に対してインパクトの大きい指標を見つけることが難しいため、まずは関係のある指標を網羅的に洗い出しておくと良いでしょう。

例えば残業時間を減らすためには、個人の生産性を明らかにするために「メンバーそれぞれの業務内容」「労働時間」を見える化の対象に定め、工数管理をすることが考えられます。しかし、メンバーの生産性以外にも業務進行に関係のある情報は複数あります。「作業ごとの対応時間」「月ごとの案件発生数」「イレギュラー対応の発生タイミング」などです。
このように、関連性の高い情報は一旦洗い出しの対象とします。

3.必要な情報を回収する

洗い出した必要な情報を、網羅的に収集します。情報収集する際のポイントは、現場メンバーの負担を増やさない工夫をすることです。情報の記録・報告を行うと日々の業務にプラスして時間がかかるため、メンバーにとっては負担が大きくなります。フロー図やスキルマップを用いた高度な管理をする前に、自動で記録できるツールを導入したり、業務日報の内容を変更したり、日々の業務をなるべく圧迫しない形で進めていきましょう。

4.収集した結果を確認し、改善施策を検討する

3.の結果、必要な情報が定量的なデータとしてまとめられているこのフェーズが「見える化」が実現されている状態と言えます。見える化された情報を確認した上で、改善すべき箇所を定め、目標達成のための次のアクションにつなげましょう。
ここでは、改善すべき箇所の特定がポイントになります。どこの要素を改善するのかによって得られる結果は大きく変わります。目標達成に対してもっともインパクトの大きいものを選択することが重要です。

5.見える化した要素を定期的に確認・更新する

見える化したデータを活用するためには、常に最新の情報が見える化されている必要があります。一度見える化した時点で満足してしまうケースがよくありますが、それでは十分な効果を引き出すことはできません。常に最新情報が見える化されるよう、定期的に確認・更新作業を行いましょう。

その上でポイントとなるのは、見える化した情報を更新するための振り返り機会をあらかじめ設置しておくことです。更新頻度は見える化の対象によっても異なりますが、特に取り組み始めた初期は、細かく確認できると良いでしょう。

見える化に取り組む際のポイント

見える化に取り組む際におさえておくべきポイントは以下です。

見える化した後の理想状態を明確にしておく

先述したように見える化は、業務を改善するための途中経過に過ぎません。見える化に取り組む前に、その取り組みによって何を実現したいのか、ゴールを明確にしておきましょう。見える化ができた段階で満足しないよう注意してください。

自社の業務に合った方法を検討する

見える化といってもフロー図や手順書の作成、ツール導入など様々な手法があります。取り組みの過程においても、担当者自らが進行する場合もあれば外部のコンサルタントに依頼することもあります。自社の状況に合わせて、最も取り組みやすい形を検討しましょう。

取り組みについて現場メンバーと共通認識を取る

業務を正確に見える化するためには業務詳細まで明らかにする必要があり、現場メンバーの協力が不可欠です。関係するメンバーに協力してもらえるよう、取り組みの目的やゴールを正しく伝えておきましょう。特に人員整理が目的の場合には、自分がリストラされることを避けたいという意識から非協力的になりがちなので、伝え方や進め方に工夫が必要です。

プロセス自体にも目を向ける

見える化は、ミスの発生量などの定量的な結果や一つひとつの業務が対象となることが多くありますが、業務プロセス自体を見える化することも重要です。業務プロセスは一度固定化すると変更しづらいため、現状の業務内容に合わないまま運用されているケースがあるためです。業務プロセスの見える化には、フローチャートの作成がおすすめです。

外部の専門家の力を借りることも検討する

業務に課題を感じているが自社のみで取り組むのが難しい場合には、外部のコンサルタントに依頼することもおすすめです。例えば、以下のようなケースです。

  • 自社のリソースが不足していて着手できない
  • 社内に適するスキルを持った人材がおらず、業務改善の推進役がいない
  • そもそも何から始めたら良いのか検討もつかない

費用と効果を加味して、検討してみてください。また、業務改善コンサルティングの依頼の流れや事業者選定の方法についてまとめている記事も合わせてご確認ください。

【参考】見える化のホワイトペーパー

業務の見える化に関する詳細を具体的に解説しているホワイトペーパーを無料でご提供しています。業務の見える化・標準化の必要性や手順、取り組みのポイントを記載していますので、見える化への取り組みをご検討の際はぜひご確認ください。

おわりに|見える化に取り組んだあとは

見える化が実現できたあとは整えた業務の管理にも目を向ける必要があります。整えた業務プロセス・手順に沿って問題なく作業が進行しているかを確認できる体制を作りましょう。
弊社が提供している「octpath」は、見える化した後の業務プロセスやマニュアルを登録することで、そのままタスク管理ツールとしてもお使いいただけます。また、ツールに業務を登録する流れを通して見える化していただくケースもあります。詳細はサイトよりご確認ください。
サービスサイト: https://octpath.com/

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