ロードマップ(roadmap)とは「道路地図」や「計画表」などを意味する言葉です。ビジネスにおいては新たなプロジェクトを計画する際に活用されることが多く、ロードマップを示すことでプロジェクトに携わるチームメンバー全員の認識を統一できます。

この記事では、ロードマップを作成する目的や作り方の手順、作成時に注意すべきポイントについて解説します。

ロードマップとは

ロードマップとは、プロジェクトを完遂するまでの道のりを時系列で示した工程表をいいます。プロジェクトの目標(ゴール)を示し、そこにたどり着くまでの道筋を大まかにまとめたものです。プロジェクトの立ち上げ時にロードマップがあると、最終的な目標を達成するまでの全体像を俯瞰的に確認でき、いつまでに何を達成すべきなのか一目で把握できるようになります。

ロードマップの種類

ロードマップの種類として「プロジェクトロードマップ」と「プロダクトロードマップ」があります。一般的に「ロードマップ」といえば、プロジェクトロードマップを指すことが多いでしょう。これはその名の通りプロジェクト全体の工程表で、目標達成に向けた計画や方針を示すものです。

一方、プロダクトロードマップは製品を開発・改良する際に活用されるもので、製品の機能や優先順位、リリース予定などを時系列でまとめた工程表です。ロードマップによって製品のビジョンや今後の戦略を具体化し、ステークホルダー(利害関係者)に提示します。

マイルストーンとの違い

ビジネスにおけるマイルストーンとは、プロジェクトの過程で設定する「中間目標地点」のことです。ロードマップがプロジェクト全体の工程を指すのに対し、マイルストーンはプロジェクトの要所で設定する中間目標を指します。長期的なプロジェクトのロードマップを作成する際にはマイルストーンを用いることが多く、中間目標を設けることでスケジュール管理をしやすくなる、定期的に進捗状況を確認できるなどのメリットがあります。

フローチャートとの違い

フローチャートとは、一連のステップやプロセスを図式化したものです。プロセスの流れをシンボル(四角やひし形など)と矢印で表して、視覚的にわかりやすくするのが特徴です。ビジネスに限らず、教育や工学、プログラミングなどさまざまな分野で活用されており、ロードマップを作成する際にも用いることができます。つまり、フローチャートはロードマップを作成する手段の一つということです。

フローチャートの種類や作り方については以下の記事で詳しく解説しています。
本記事とあわせて参考にしてみてください。
関連記事:フローチャートの作り方 – 完全ガイド

ロードマップを作成する目的

ロードマップを作成する目的として以下の3点が挙げられます。

プロジェクトの目標を明確にする

ロードマップはプロジェクトの開始から終了までの過程を表すもので、最終的なゴール(目標)を必ず設定します。つまり、ロードマップの作成によってプロジェクトの目標を明確にすることができます。はじめから目標が明確化されていれば、チーム内で認識のズレが生じず、全員が一丸となって計画を進めていけるでしょう。メンバーのモチベーションを高めるためにも、ロードマップによって目標達成までの道のりを示しておくことが大切です。

プロジェクトの計画を把握する

ロードマップを作成することで、プロジェクト全体の計画を一目で確認できます。最終的な目標に向かってどう進行していくのか、どのようなマイルストーン(中間目標)が設定されているかなど、プロジェクトの過程を時系列で把握できるようになります。

ただし、ロードマップはあくまで大まかな工程表であり、綿密なものではありません。実際にプロジェクトの計画を立てる際には、ロードマップとは別に、詳細な計画書を用意する必要があるでしょう。この点でも、ロードマップを作っていればそれを参考にして、プロジェクトの具体的なスケジュールを立てやすくなります。

プロジェクトの情報を共有する

プロジェクトに関わる人から賛同を得ることもロードマップの目的の一つです。一般的にプロジェクトは複数のメンバーが関わってくるもので、異なる部署のメンバーと進めていくことも多いでしょう。このときロードマップがあれば、プロジェクトの全体像やスケジュールを関係者と共有しやすくなり、全員の認識を統一することができます。また、プロジェクトの情報を社内外で共有することで、ステークホルダーからの信頼を得られるメリットもあります。

ロードマップの作成ステップ

ここからは、ロードマップの具体的な作り方を5つのステップで紹介します。

【STEP1】目標と期限を設定する

ロードマップを作成する際にまず行うのが目標設定です。最終的に何を目指すのか、長期・短期にかかわらずプロジェクトには必ず目標(ゴール)があるはずです。ロードマップはその目標を達成するまでの過程を表したものであり、目標が曖昧なままではプロジェクトの途中で見直しが必要になる可能性があります。

目標設定とあわせて、その目標を達成する期限も明確に定めておきます。目標達成に必要な期間は、ギリギリで設定するよりも、なるべく余裕を持たせるのが望ましいでしょう。ロードマップ上では大まかな設定となりますが、その期日で実現可能かどうかはよく考える必要があります。

【STEP2】マイルストーンを設定する

次に、プロジェクトの中間目標地点であるマイルストーンを設定します。プロジェクト期間が長期に及ぶ場合、マイルストーンを設定していれば主要なフェーズの概要が明確化し、スケジュール管理も容易になります。

ただし、マイルストーンを設定するのはあくまで重要なフェーズのみです。プロジェクトによって必要なマイルストーンは異なりますが、あまり多く設定しすぎると進捗がわかりづらくなり、管理も複雑化します。マイルストーンの数にこだわる必要はなく、そのプロジェクトの過程で重要なフェーズを考慮するのがポイントです。

【STEP3】現状を分析し問題点を明らかにする

目標とマイルストーンの設定が終わったら、現在の状況を把握・分析していきます。たとえば、プロジェクトの予算やメンバーのリソースをもとに、人数や構成、タスクの割り当てなどを確認します。このとき、精度の高い現状分析をおこなうために、客観的な数値で把握しておくのがポイントです。

そして、現状分析の結果から、プロジェクトの進行を阻害する要因や想定されるリスクを洗い出していきます。実際にロードマップとしてまとめる前に、現時点で起こり得る問題点を明らかにし、その解決策を考えておく必要があります。人数やタスクの割り当ては的確か、計画に矛盾点はないか、実現可能な期日が設定されているかなど、チーム内で意見交換をしながら課題を見つけ、対策を練っておきましょう。

【STEP4】工程を時系列でまとめる

設定した目標とマイルストーン、プロジェクト全体の工程を時系列でまとめていきます。

ロードマップを作成する際は、フローチャートやガントチャートを活用します。シンボルと矢印を用いるフローチャートは視覚的にわかりやすいのが特徴です。一方、ガントチャートは棒グラフを用いて時間とタスクを管理するもので、プロジェクトのスケジュールや進捗状況を一目で把握できます。プロジェクトごとに最適なフォーマットを用いることで、誰が見てもわかりやすい精度の高いロードマップを作れます。

【STEP5】関係者と共有する

作成したロードマップをプロジェクトの関係者と共有します。ロードマップを共有し関係者からの賛同を得ることで、プロジェクト計画がスムーズに進みやすくなります。また、プロジェクトに関わる一人ひとりが、ロードマップによって目標や工程をしっかりと認識することで、主体性を持ってプロジェクトの進行に尽力してくれることが期待できます。

ロードマップを作るときの注意点

ロードマップを作るときに注意したいポイントを以下にまとめました。
これらのポイントを意識すると、より効果的なロードマップを作成できるようになります。

タスクやスケジュールを細かく設定しない

ロードマップはプロジェクト全体を大まかに把握するためのもので、タスクやスケジュールを細かく設定する必要はありません。プロジェクトの進行には多くのタスクが発生しますが、それらをすべてロードマップに書いてしまうと、プロジェクトの全体像を掴みにくくなります。タスクを振り分けし、主要なタスクのみ落とし込むのがポイントです。

また、長期にわたるプロジェクトの場合は、数か月単位でスケジュールを設定します。ロードマップの作成段階で決めたスケジュールは、実際にプロジェクトが始まると多少のズレが生じてくることも想定されます。詳細なスケジュールは別途用意するため、ロードマップ上に細かい期日を落とし込む必要はありません。

定性的な表現は避ける

ロードマップを作成するときは、可能な限り定性的な表現を使わないように注意する必要があります。定性的な表現は具体性や客観性に欠け、人によって受け取り方が異なる場合があります。認識のズレを防ぐためにも、目標や評価は数値化し、誰もが同じ認識を持てるようにしなければなりません。

また、定量的な表現を用いると目指すべき目標が明確になるため、目標達成に向けて主体的に行動しやすくなる、モチベーションが向上するなどのメリットもあります。

おわりに

ロードマップとは、プロジェクト全体の流れを俯瞰できるツールです。あくまでプロジェクト全体の方向性を示すもので、詳細な工程表である必要はありません。プロジェクトの目標は明確に定めますが、そこにたどり着くまでのタスクやスケジュールは細かく設定しすぎないことがポイントです。

ロードマップがあれば、プロジェクトの全体像を社内外で共有でき、どのような計画が組まれているか一目で把握できます。
本記事で紹介した作成ステップを参考に、プロジェクトの関係者全員の認識を統一できる効果的なロードマップを作ってみてください。

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