議事録とは一言でいうと「会議の記録」であり、会議で議論した内容や取り決めた事項をまとめた文書のことです。しかし、会議の内容をそのまま書き起こすだけでは要点がわかりづらく、読み手が理解するまでに時間がかかってしまいます。関係者とのスムーズな情報共有を図るためには、誰が読んでもわかりやすい議事録を作ることが重要です。

この記事では、議事録の書き方で押さえておくべきポイントを紹介します。事前準備や会議メモの取り方についても解説していますので、議事録の書き方に悩んでいる方は参考にしてみてください。

議事録を作成する目的

議事録を作る主な目的は「備忘録」と「情報共有」です。後から参照するための備忘録としての役割と、決定事項や今後の課題などを関係者と共有する役割を担っています。

会議内容をまとめた議事録がなければ、議論の内容や決定事項などの記録が残らず、参加者同士で「言った・言わない」の論争になることもあります。会議に参加していない人への情報共有はもちろん、会議に参加していても時間が経つと議論の内容を忘れたり認識の違いが起きたりするため、客観的な文書として議事録を残しておく必要があるのです。

議事録がわかりづらくなる要因

議事録とは会議内容を記録した文書のことですが、参加者が発言した内容をそのまま書いていけばよいということはありません。議事録の目的である情報共有を図るためには、誰が読んでも理解できるものを作る必要があります。

しかし、会議の内容をうまくまとめられず、議事録作りに苦手意識を持っている人も少なくないでしょう。わかりづらい議事録になってしまうのは、以下のような要因があると考えられます。

文字起こしになっている

議事録は簡潔にまとめるのが基本です。参加者の発言を文字起こしするだけでは非常に冗長的になり、何が要点なのかわかりづらくなってしまいます。会議内容をわかりやすくまとめるためには、議事録を書く本人が会議の趣旨をしっかりと理解していることが重要です。この前提がなければ、要点を掴んだ文章を書くことはできません。

5W1Hを明確に示していない

5W1Hとは「When:いつ」「Where:どこで」「Who:だれが」「What:何を」「Why:なぜ」「How:どのように」の頭文字をとった言葉です。5W1Hが不明確な議事録はわかりづらいうえ、これらの要素が抜けていたり曖昧になっていたりすると、関係者への正確な情報伝達ができなくなるおそれもあります。

定量的な情報が抜けている

発言内容に出てきた数字(日時や数量、価格など)が抜けていると、具体性の乏しい議事録になってしまいます。議事録を書くときは不要な要素を省きますが、必要な情報まで省いてしまわないように注意しましょう。また、定量的な情報を入れる際は特に正確性を重視し、数字が間違っていないかしっかりと確認する必要があります。

【議事録の書き方】必要な項目と事前準備

ここからは議事録の書き方を紹介します。 まずは議事録に必要な項目と事前準備を押さえておきましょう。

議事録に記載する項目

議事録に決まった形式はありませんが、あらかじめ作成しておくとスムーズに書き進められます。社内にフォーマットがない場合は以下の基本項目を参考に、議事録用の形式を用意することをおすすめします。

  • 標題
  • 日時/場所
  • 参加者
  • 会議内容
  • 決定事項/To Do
  • 保留事項
  • 今後の課題
  • 次回の予定

議事録には標題や日時、参加者などの基本項目のほか、会議の決定事項やアクションプラン(To Do)、合意に至らなかった保留事項などを記載します。これらに加えて、議事録作成者の所見を書く場合もあります。

議事録を書く前の準備

議事録はなるべく早く提出し、会議終了後から24時間以内に関係者と共有できる状態にします。議事録の目的である情報共有をスピーディーに行うために、議事録を書き始める前には以下のような準備をしておくとよいでしょう。

過去の議事録に目を通す

実際に書き始める前に、これまでに作成された議事録に目を通しておきましょう。会議内容をまとめるうえで、過去の議事録は大いに参考になるはずです。このとき「わかりづらい」と感じる点があれば、自分が書くときに読みやすくなるよう改善する必要があります。また、言葉の表記や言い回しなどの社内ルールがある場合は、なるべくそれに従って書くようにしましょう。

構成を用意する

議事録を書く際は必要項目をまとめたフォーマットを用いるのがおすすめです。社内に規定の書式がある場合はそれを利用すべきですが、特に決められたものがなければ「議事録に記載する項目」をもとに構成を作っておくとよいでしょう。議事録に必要な項目はある程度決まっているため、一度構成を作っておけばその後も繰り返し使用できます。

【議事録の書き方】わかりやすく書くためのポイント

次に、わかりやすい議事録を書くためのポイントを紹介します。以下に挙げたポイントを意識すれば「議事録がわかりづらくなる要因」を解消し、誰が読んでもスムーズに理解できる質の高い議事録を作ることができます。

書き方を統一する

読みやすい議事録を作るためには、最初から最後まで書き方を統一することが重要です。一般的には「です・ます調」よりも「だ・である調」のほうが議事録に向いていますが、社内ルールがあればそれに従う必要があります。どちらにしても、1枚の議事録に異なる書き方が混在しないように、「です・ます調」であれば「です・ます調」、「だ・である調」であれば「だ・である調」で統一させましょう。

結論を先に書く

さまざまなビジネス文書に活用できるフレームワークに「PREP法」があります。これは「Point:結論」「Reason:理由」「Exampe:具体例」「Point:結論」の頭文字をとったもので、この順番に沿って書くと論理的な文章を作成できます。結論を最初に示すと「話し手が何を伝えたいのか」が明確になり、読み手の負担が軽減されます。議事録を書く際にも結論から書き始めることを意識しましょう。

不要な部分を削る

議事録を書くときは単なる書き起こしにならないよう、不要な部分はしっかりと削ることが重要です。話し手が同じ内容を繰り返している部分は重複しないように注意しましょう。しかし、簡潔にすることを意識しすぎると、5W1H(いつ/どこで/だれが/何を/なぜ/どのように)の要素まで削ってしまうことがあります。これを防ぐためには5W1Hを基準に、話の内容をそれぞれの要素に当てはめながら文章をまとめていきます。こうすることで、情報の抜け漏れがないわかりやすい文章を作成できます。

箇条書きで整理する

項目ごとに箇条書きを使うと余白ができて読みやすくなります。また、少ない文字数で要点がわかりやすいため、読み手の理解を早められるメリットもあります。箇条書きを用いる際は行頭を揃える、2行目以降の開始位置を揃えることできれいに整えられます。こうした読み手への配慮も、わかりやすい議事録を作るために欠かせないポイントです。

他の参加者に確認してもらう

作成した議事録は関係者に共有する前に、上司や同僚など他の参加者に目を通してもらいましょう。議事録の内容に誤りがないか、理解しづらい箇所がないかなど、自分以外の視点からも確認してもらえると安心です。このとき修正や改善が必要な箇所があればすぐに取り掛かりましょう。

基本的に議事録は24時間以内を目安に関係者と共有できる状態にしておきます。わかりやすく書くための工夫は必要ですが、他の人に確認してもらう時間をとるためにも、あまり完璧を求めすぎないことが大切です。

知っておきたい会議メモの取り方

議事録作成に欠かせないのが会議メモです。
効率的に会議メモを取るためのコツを紹介します。

必要な項目を確認しておく

メモを取るといっても、発言内容を一言一句書き取る必要はありません。すべてを書き取ろうとすると重要な箇所を聞き逃してしまうこともあります。これを防ぐためには、本記事で紹介した「議事録に記載する項目」を参考に、あらかじめ会議の目的や議論のポイントを確認しておくとよいでしょう。また、議事録を書くときと同様に、会議メモを取る際にもフォーマットを用意することをおすすめします。

5W1Hを意識する

メモを取るときから5W1H(いつ/どこで/だれが/何を/なぜ/どのように)を意識すると、その後の議事録作成を効率的に進められます。会議で発言する際に、誰もが5W1Hを明確にしてくれるとは限らず、主語が抜けていたり必要な情報を省いたりしていることがあります。メモを取る際にこれらの情報を補足しておくと、後から読み返したときもスムーズに理解できるはずです。

略語や記号を用いる

素早くメモを取るためには略語や記号を用いるのが有効です。例えば、決定事項は「決」、保留事項は「保」もしくは「ぺ」(ペンディング:保留)、担当者は「担」、具体例は「ex」、重要ポイントは「★」というように、後から読み返して自分がわかるような略語や記号を付けておきましょう。

曖昧な部分はカタカナで書く

会議で出てきた名前や場所の漢字がわからない場合や、うまく聞き取れなかった言葉がある場合には一旦カタカナで書いておきます。これらは議事録にまとめるときに調べればよいため、メモの時点では手を止めずに書き続けることがポイントです。曖昧な部分を「なんとなく」で適当に書かないようにしましょう。

おわりに

議事録は単なる文字起こしではなく、要点がわかるように整理された文書でなければなりません。メモを取る段階から議論のポイントや5W1Hを押さえておくと、効率よく議事録を作ることができます。過去の議事録に目を通したり、必要な項目をまとめたフォーマットを用意したりなどの事前準備も欠かせません。今回紹介した書き方のポイントも参考に、誰もがスムーズに理解できる質の高い議事録を目指しましょう。

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