コンセプトマップ(Concept Map)は日本語で「概念地図」と訳されるもので、知識やアイデアなどの概念を視覚的にわかりやすく整理できるツールです。コンセプトマップによって概念同士のつながりを見える化することで、コンセプトの全体像を一目で把握でき、メンバー全員の認識も統一されます。

この記事ではコンセプトマップの基礎知識とともに、作成するメリットや書き方の手順を紹介します。

コンセプトマップとは

コンセプトマップとは、知識やアイデア、プロセスなどの情報を並べ、相互の関連性を表現するものです。複数の要素をつなぎ合わせ、図として可視化できる状態にすることで、複雑な概念も理解しやすくなります。

コンセプトマップの特徴

コンセプトマップには「ノード」と「リンク」という2つの必要要素があります。

ノードとはコンセプト(概念)を示す図形のことで、長方形や楕円形の中にコンセプトを記載したものです。一方、リンクとはノード同士のつながりを示す線のことで、ノードとノードを結びつけて関連性を表します。図式化するコンセプトに、上から下、左から右などの方向性がある場合は、その流れを示すために矢印を用いることもあります。

マインドマップとの違い

コンセプトマップと類似する表現方法に「マインドマップ」があります。

マインドマップとは、思考を視覚的に書き出す表現方法のことです。メイントピックを中心に置き、それから連想されるキーワードが放射状に展開している構造が一般的です。

コンセプトマップとマインドマップはよく似た手法であるものの、活用するシーンや用途に違いがあります。一般的に、コンセプトマップは概念同士のつながりや情報をわかりやすく整理したいときに活用するもの、マインドマップは自分の考えやアイデアをどんどん展開していきたいときに活用するものです。また、コンセプトマップは教育現場やビジネスシーンで使われることが多い一方、マインドマップはビジネスでもプライベートでも活用されています。コンセプトマップのほうが形式的で、マインドマップのほうが自由度が高いといえるでしょう。

ビジネスでマインドマップを使う場合はツールを活用するのがおすすめです。以下の記事で多種多様なマインドマップツールをピックアップし、基本の機能や選び方のポイントとともに詳しく解説しています。

関連記事:マインドマップツール5選|ビジネスで使えるおすすめツールを紹介

コンセプトマップの種類

コンセプトマップの主な種類として「フローチャート」「スパイダーマップ」「階層マップ」「システムマップ」の4つが挙げられます。

フローチャート

フローチャートとは一連のプロセスを図式化したもので、矢印を使ってプロセスの流れを表現します。ビジネスにおいては業務プロセスや作業の流れを視覚的に表したいときに用いられることが多く、そのプロセスがどのような流れで進行するのか一目で把握できます。

以下の記事でフローチャートの代表的な種類や作成ステップを詳しく紹介しています。

関連記事:フローチャートの作り方 – 完全ガイド

スパイダーマップ

スパイダーマップとは主にブレーンストーミングに使われる表現方法で、中心に置いたメイントピックから放射状にサブトピックを配置します。マインドマップの一種であり、チームで共有するよりも自分の思考やアイデアを広げるために使うことが多く、紙やホワイトボードに手書きで表現します。

スパイダーマップをチームで共有したい場合は、共同編集やプレゼンテーション機能のあるツールを用いて作成するのがおすすめです。

階層マップ

階層マップとは、上から下への階層構造によってつながりを示す表現方法です。組織図によく見られる構造で、頂点に取締役会や代表取締役を置き、その下に営業部門や人事部門などの組織を配置するのが一般的です。

以下の記事では組織図テンプレートを無料で配布しているサイトと、エクセルやスプレッドシートで簡単に自作する方法を紹介しています。

関連記事:組織図テンプレート|無料で使えるサイトと簡単な作成方法を紹介

システムマップ

システムマップはフローチャートとスパイダーマップを組み合わせた構造で、各要素が互いにどう影響しているかを示す表現方法です。複数の要素が絡み合っている複雑なシステムも、システムマップを作ることでその全体像が見えるようになります。

コンセプトマップの活用シーン

コンセプトマップは多様な領域で用いられており、特に活用されているのが教育現場とビジネスシーンです。ここではビジネスにおけるコンセプトマップの活用シーンを紹介します。

プロジェクト計画

通常、プロジェクトが進行する過程では複数のタスクやプロセスを通過します。コンセプトマップによって各要素のつながりや流れを明確にすることで、プロジェクトにかかわるメンバー全員が同じ認識を持ち、チームワークの強化につながります。全体像が見えにくい複雑なプロジェクトも、細分化してマップにまとめることで把握しやすくなります。

ブレーンストーミング

ブレーンストーミング(ブレスト)とは、複数のメンバーが自分の考えやアイデアを自由に出し合う会議手法のことです。既存のアイデアを昇華したり、新たな発想の創造につなげたりする目的があります。概念同士のつながりを視覚的に表すコンセプトマップは、アイデア間の関係性がわかりやすく、ブレストを行うときにも効果的に活用できます。

社員教育

教育現場で広く用いられているコンセプトマップは、新入社員研修などの社員教育で活用するのもおすすめです。複数の概念が連なる複雑な構造がある場合、口頭で説明するだけでは齟齬(そご)が生まれやすくなります。コンセプトマップで図式化し、概念同士のつながりを視覚的に捉えられるように工夫しましょう。

また、新入社員が学びをアウトプットする際にも役立ちます。コンセプトマップで知識を整理しておくと、後から見返すときもスムーズに理解できるでしょう。

コンセプトマップを作るメリット

コンセプトマップを作成するメリットとして以下が挙げられます。

概念を体系的に理解できる

コンセプトマップを作ることで、知識やアイデアなどの概念が体系的に整理されます。マップにまとめて視覚的に表現すると、概念同士のつながりが明確になり、理解が促進するメリットがあります。また、関連する複数の概念を線でつないで広げていくことで、テーマとなる概念をより深く理解できるようになります。

思考やアイデアを整理できる

ノードとリンクを用いて概念同士の関連性を視覚的に表現することで、頭の中で思い描いていた思考やアイデアを順序立てて整理できます。コンセプトマップがあると、概念の全体像とそれぞれの要素のつながりを一目で把握でき、ビジネスの効率化につながります。また、概念を整理すると課題や問題点が見つかりやすくなり、この先ネックとなりそうな部分をプロジェクトが進行する前に改善できるメリットもあります。

複雑な情報を明確に伝達できる

多くの要素が絡み合うような複雑な概念も、コンセプトマップがあれば視覚的に捉えることができ、情報伝達がスムーズになります。新しいプロジェクトを始める際は、誤解が生じないようにメンバー全員で共通認識を持つことが重要です。コンセプトマップを示すことで概念が明確になり、人によって異なる認識を持つおそれがなくなります。

創造力が促進される

枠組みにとらわれず、思考やアイデアなどの関連する概念をどんどんつなぎ合わせていくことで、自分やチームの創造力が促進されるメリットもあります。概念に対する理解が深まるだけでなく、自由な発想によって新しいアイデアが生まれることも期待できます。

コンセプトマップの作成方法

コンセプトマップは3つのステップで簡単に作成できます。

メンバー同士で作成したい場合や、完成したマップをチームで共有したい場合は、はじめからオンラインツールを活用するのがおすすめです。

ここでは、コンセプトマップの基本的な作成方法を紹介します。

STEP1:テーマを決める

最初にコンセプトマップのテーマとなるメイントピックを決めます。

コンセプトマップを作る目的となるため、何を整理したいのか、何について情報共有したいのかを明確にすることが大切です。テーマが曖昧のまま作り始めると、概念同士の関連性にブレが生じてしまうため、マップ化する前に明確なテーマを設定しておく必要があります。

STEP2:関連する概念をリストアップする

次に、テーマに関連する概念をリストアップしていきます。

マインドマップで自分の思考やアイデアを広げたい場合には必要ありませんが、プロジェクト管理におけるタスク整理やプロセスの流れをまとめたい場合は、マップ化する前に主要なタスクやプロセスをリストアップしておくことをおすすめします。

STEP3:ノードとリンクを用いてマップを作成する

コンセプトマップにまとめる概念を書き出したら、ノード(概念を示す図形)を並べ、リンク(ノード同士を結ぶ線や矢印)を追加します。ノードとリンクを配置するときは、概念同士のつながりや階層を意識し、主要な概念の抜け漏れがないように注意しましょう。

全体像が完成したら、必要に応じてデザインやサイズの変更、色分けなどを行います。チームでコンセプトマップを共有する場合は、見やすくなるように全体のレイアウトを整えておきましょう。

おわりに

コンセプトマップとは、関連する概念同士を線で結び、相互の関係性を示す表現方法です。図式化することで視覚的にわかりやすくなり、教育現場やビジネスシーンなどで広く活用されています。ビジネスにおいては、コンセプトマップを示すことで概念の全体像や相互のつながりを一目で把握でき、メンバー全員の認識が統一されます。本記事で紹介したコンセプトマップの作成方法を参考に、情報を視覚的に整理する手法に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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