プロジェクトを進行していく上で、目標達成に向けて大小問わず必ず課題が発生します。今後発生しうる課題、現在発生している課題を一覧化し管理しておくことで、大きな問題の発生を防ぎ、正しく事業を推進することに繋がります。本記事では課題管理表の作成方法とポイントをご紹介しますので、ぜひ参考に取り組んでみてください。

課題管理の重要性

そもそも課題管理とは、プロジェクトの目標を達成するために解決すべき課題を見える化し、解決に向けて取り組むことを指します。プロジェクトの成功をゴールとし、課題のトラブル化の防止、発生してしまった課題の迅速な解決を目的として取り組みます。

プロジェクトに取り組む際にはプロジェクト計画書を作成するかと思いますが、実際にすべてが計画通りに進むことはほぼあり得ません。タスクの抜け漏れやメンバーの体調不良、関係先との調整などから必ずズレが発生します。課題管理を行い、プロジェクトにおいて発生している課題・今後発生しうる課題とそれぞれの対応状況をまとめておくことで、計画からずれてしまった場合でも大きな失敗を防ぐことができます。

課題管理表とは

課題管理表とは、プロジェクトの課題管理に用いられるシートです。生じている課題・今後生じうる課題と各課題に対する対応状況・結果などを一覧にして見える化することができます。いちページにまとめておくことでプロジェクトに関係するメンバー全員が閲覧でき、プロジェクトの現状や今後の状況についてチーム内で共通認識を持つことも可能になります。

課題管理表のサンプル画像です。
課題管理表のサンプル

今回の記事でもご紹介しているように、多くの企業ではExcelやGoogleスプレッドシートを用いて課題管理表を作成しています。ツールを用いて管理されることもあります。初めて課題管理を行う場合にはexcelでミニマムに始めてみましょう。

プロセスマネジメントツールoctpathで課題管理を行う。

課題管理表の作成と運用の方法

次に、課題管理表の作成方法についてご説明します。大きくまとめると、以下4つの流れで取り組んでいきます。

  1. 管理表の骨子を作成する
  2. 課題を思いつく限り記入する
  3. チームで共有し、各課題に対する対応と解決策を検討する
  4. 定期的に見返し、更新する

また、今回使用した課題管理表のサンプルテンプレートを、以下よりダウンロードいただけます。雛形としてそのままお使いください。

課題管理表のサンプルイメージです

1. 管理表の骨子を作成する

まずは、課題管理表の骨子を作成します。サンプルにある、以下の赤枠部分を定めます。

課題管理表の骨子部分
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サンプルには最低限の項目のみ記載しています。課題管理表として状況管理を適切に行うために、「課題」「ステータス」「解決策」の項目は必ず設けましょう。
その他に設けるべき項目はプロジェクトの規模や期間、内容によって異なります。サンプルにない項目では例えば以下のようなものが考えられます。

  • 記入者名: プロジェクトの関係者が多い場合に、誰が記入したのかを管理する
  • カテゴリ: 課題が多い場合に、フェーズや課題のジャンルなどで括る
  • 着手する時期: 長期的なプロジェクトの場合は、着手する時期を明確にしておく
  • 対応期限: いつまでに取り組むべきかが分かっている課題の期日管理に利用する
  • 重要度: 課題が多い場合に、着手すべき順番を明確にする

ここでどのような項目を設置するかが課題管理表の出来を左右します。取り組むプロジェクトに合わせて検討してみてください。

2. 課題を思いつく限り記入する

骨子が完成したら、枠に合わせて実際に課題を記入していきます。

課題管理表の課題記入欄の画像です。

課題管理においては、現在発生している課題を明確にし素早く解決すること、想定外の課題の発生を未然に防ぐことが重要です。既に発生している課題だけではなく今後発生しうる課題も思いつく限り全て記入しましょう。また、同時に課題の抜け漏れを減らすこともポイントです。課題の正しさ、粒度、ダブりの有無は気にせずに、考えられる課題をすべて記入しておくように意識しましょう。

3. チームで共有し、各課題に対する対応と解決策を検討する

次に、記入した課題に目を通し、それぞれの課題への対応を明確にします。課題を記入した時点でチーム内で共有し解決策を話し合えるとスムーズかと思います。

課題管理表のステータス・解決策記入欄の画像です。

課題への対応状況をステータスで表し、解決策の欄に施策の内容や実施結果を記入します。未着手の課題については、雑感や現時点での考えをメモしておくのもおすすめです。
課題解決に取り組んだ結果は振り返りに利用できるだけでなく、次回以降のプロジェクトの参考としても残すことができます。可能な限り具体的に記入しておきましょう。

課題・解決策を現時点でわかる範囲で一通り記入し、チーム全員に共有できれば、課題管理表はこの段階で完成です。

プロセスマネジメントツールoctpathで課題管理を行う。

4. 定期的に見返し、更新する

プロジェクト、課題の状況は日々変化します。適切なタイミングで対応できるよう繰り返し管理表を見返しましょう。プロジェクトの状況次第ですが、常に最新の状態を保てるように週次や隔週で確認することをおすすめします。
また、チーム全員のプロジェクトの状況に対する認識を揃えるため、もし可能であればミーティングや朝会のタイミングで読み返すことをおすすめします。

課題管理表を作成するときのポイント

チームメンバー全員に共有する

プロジェクトを成功に導くためにはメンバー全員の目線が揃っている必要があります。プロジェクトの状況を誰でも確認できるよう、プロジェクトに関わる全員が課題管理表を見られる状態にしておきましょう。特に実務に追われるメンバーは現在のプロジェクトの状況を俯瞰的に把握したり、今後起きうる問題に目を向けたりすることが立場上難しくなるため、共有が重要になります。

繰り返し確認し、更新し続ける

課題を書き起こすだけでは意味がありません。先述している通り、課題管理表は課題を解消したり未然に防ぐために用いられます。作成した管理表を定期的に見直し、プロジェクトの終了まで、最新化し続けられるよう心がけましょう。
特に、管理表を作成してから時間が経過するほどに更新を忘れてしまいがちです。毎ミーティングで見直す、確認日を事前に決めておくなどして、更新できる仕組みをつくっておくことがおすすめです。

課題の精度や粒度、網羅性は気にしすぎない

プロジェクトは複雑な要素が絡み合いながら進行するため、洗い出した課題が何と関連しているかが分からなかったり、似たような課題であっても実は全く別の要因があったりします。はじめから課題を正しく切り分けることは難しいため、記入する課題の精度や重複は気にせずに記入していきましょう。課題の洗い出しに漏れがあることを一番避けるべきです。

おわりに

課題管理表はプロジェクトを成功に導くために不可欠なツールです。既に進行しているプロジェクトでも活用することができるので、プロジェクトに取り組まれる場合にはぜひ、作成してみてください。

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