業務効率化に取り組もうと思っていても、具体的な進め方が分からないということはありませんか?本記事では、業務効率化に取り組む際の目標例について、弊社での取り組み事例を挙げてご紹介しています。正しい目標設定の方法について紹介している記事も合わせて参考にしてください。

おさらい|業務効率化とは

業務効率化とはその名の通り、業務の実行を効率化するための取り組みのことを指します。現在行われている業務から無駄な作業を取り除いたり非効率なプロセスを修正することで、「業務における費用対効果の改善」を目指します。

業務効率化の目的

業務効率化の目的は、端的に言うと「生産性の向上」です。企業として利益を上げ、従業員の負荷を減らすために取り組まれます。一般的には、現状の効果(サービス・製品の質)をキープしつつ、費用(人的コスト・原料・期間)を削減するというように、コストを削減する方向で取り組まれる場合が多いです。

業務効率化に取り組むメリット、効果

業務効率化の取り組みは、主に以下の効果をもたらします。

  • 人的コストの削減: 業務を担当する人数の削減、業務あたりの作業工数削減
  • 作業期間の短縮: 作業開始から完了までに必要な時間・期間が短くなる
  • ミスの削減: 対象業務における作業ミス、抜け漏れ遅れが減る
  • 業務品質の安定: 業務の対応やアウトプットが安定する
  • 従業員満足度向上: メンバーへの作業負荷が軽減され、働きやすい環境になる

業務効率化と一口にいっても得られる効果は様々です。業務効率化によって何を実現したいのか、取り組んだ後の理想状態を明確にしてから着手してください。

業務効率化に取り組む流れ

業務効率化は、ざっくり以下の4ステップで取り組みます。

業務効率化に取り組む流れのイメージ図です
業務効率化に取り組む流れ
  1. 現状の把握と業務選定…現状を見える化し、効率化する業務を選定する
  2. スコープ・目標・期間を決める…効率化を実行するための計画を立てる
  3. 業務効率化へ着手…計画をもとに実行する
  4. 振り返りと効果測定…取り組みの結果を振り返り、次の計画を立てる

最も重要なのは、上記の流れでは1,2に該当する「計画」部分です。ここで適切な課題の洗い出しと目標設定ができていなければ十分な効果が得られませんので、慎重に取り組むことが重要です。また、今回ご紹介している目標例はステップ2.で決定する項目です。1.から4.までの詳しい手順とポイントについては、業務効率化の手法とツールについて具体的に解説している記事を参考にしてください。

業務効率化の目標例

今回は、弊社が過去に取り組んだ事例と合わせて、業務効率化の目標例をご紹介します。いずれもコンサルティング・業務支援のプロジェクトとしてクライアント様と共同して実施したものになります。

ケース1: 大手メーカー企業様でのワークフロープロセス最適化

【取り組みの概要と背景】

国内の大手メーカー様のワークフローシステム(電子稟議システム)の最適化プロジェクトになります。従来利用してきたワークフローシステムが古くなり、新しいシステムへの切り替えを検討していました。しかし、過去のシステムでもワークフロープロセスをすべて電子化できていないうえに、正しい意思決定構造を反映していない、冗長で無駄の多い決裁プロセスとなっていました。そこで、旧システムの現状を可視化しムダや改善点を見つけ、正しい意思決定プロセスに組み換えた上で新システムを導入しました。

【設定した目標】

社内の全ワークフロープロセスをフローチャートに可視化して、改善した内容を新しいワークフローシステムに反映する

【目標設定のポイント】

こちらはプロジェクト開始前に定量的な目標設定が難しいものでした。というのも、担当者を含めて「どれだけの種類のワークフローが存在するのか」「それぞれがどのような経路になっているのか」を把握している方が一人も存在しなかったからです。古いワークフローシステムは保守期限切れで入れ替えることが決定していたので、プロセス最適化の取り組みでは「現状を完璧に明らかにする」ということを目標として取り組みました。

【結果】

関係者様へのヒアリングを重ねプロセスの可視化を実施しました。また、各承認ステップに要している時間を計算し、最適化したうえでどれだけのコスト削減を実現できたかをレポートにまとめ報告、全体として約20%無駄なプロセス削減を実現しました。

ケース2: 大手メディア企業様での納品ミス削減プロジェクト

【取り組みの概要と背景】

新規事業として立ち上げたプロダクトの納品プロセスでミスが定期的に発生している状況がありました。立ち上げて間もないこともあり納品プロセスの設計が甘い上に、一部外部のパートナー企業と連携しながら進める作業もあり、結果的にコミュニケーションミスや作業者の熟練度による遅延など様々な問題が発生していました。そこで、ミスや遅れを撲滅するために業務改善に取り組みました。

【設定した目標】

プロダクトの最終的な納品におけるミスや遅れを0%にする

【目標設定のポイント】

当然ながら納品プロセスにおいてミスや遅れは許されません。結果、目標設定は明確でした。改善プロジェクトの期間は、まず3ヶ月間で取り組み、その結果をもって継続するかどうかを判断する前提で進めました。

【結果】

3ヶ月の取り組みで、ミスは大幅に削減されましたが目標の0%という状態には届きませんでした。理由としては、クライアント企業様とパートナー企業様のコミュニケーションが効率的に進められず、マニュアルや新オペーレーションの現場装着に非常に時間がかかってしまったためです。業務改善のアプローチとしては、作業メンバーへのヒアリングを実施したうえで、作業手順書、管理台帳、マニュアル、コミュニケーションラインを整備することで改善を図りました。

ケース3: 大手証券会社様でのRPA導入によるコスト削減

【取り組みの概要と背景】

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用した事務作業の自動化プロジェクトになります。データの転記や入力、特定のメール送信作業など複数の単純作業が組み合わさった業務において自動化プロジェクトを推進しました。現場の業務分析から設計、開発、テスト、リリースまで一連の対応を実施しました。

【設定した目標】

費用対効果として年間40万円以上のコスト削減を実現する

【目標設定のポイント】

RPAの活用はコスト削減を目的とすることがほとんどです。RPA化における原価はソフトのライセンス代金となりますが、厳密にはRPAを作成する過程や、作成後の保守メンテナンスにもコストがかかるため、それも織り込んで費用対効果の目標値を算出しています。業務におけるコストの算出は、人月単価x工数で計算しました。

【結果】

約6ヶ月間のプロジェクトとして取り組み、RPAを用いて複数の業務を自動化しました。結果的には目標値を大幅に超えるコスト削減を実現できました。

業務効率化の目標設定のポイント

期間やリソースを考慮して、現実的な範囲で設定する

理想だけで目標を立てても、活用できず意味がありません。現状把握を丁寧に行い、期間やリソースを考慮して目標を設定してください。特に、現場メンバーが業務効率化に取り組む場合には日々の担当業務と兼務することになるので、担当業務を圧迫しないよう考慮して計画を立てる必要があります。プロジェクトの規模が大きい場合には、専門のチームや部署を組成するのもおすすめです。

マイルストーンを配置する

マイルストーンを配置することで、最終目標に到達するまでのタスクの節目が明らかになります。長期間かけて業務効率化に取り組む場合は、中間地点にマイルストーンを複数設置して目標とのズレを確認し、方向修正しながら進めてみてください。マイルストーンについて説明している記事も参考にしてください。

可能な限り定量的に、具体的に設定する

目標は、最終的な結果の良し悪しを判断したり、取り組みの中で現在地を確認するために使用します。達成状況を管理しやすいよう、可能な限り具体的に、定量的に設置してください。例えば“事務作業を効率化する”だけでは曖昧なので、“全社での紙の使用量を50%削減する”、“トラブルの発生量を月3回までに抑える”といったように設定します。

自社の状況に合わせた目標を立てる

業務の状況は企業ごとに様々なので、目標例をそのまま適用しても十分な効果は得られません。自社の業務にとって最も効率化すべき項目を検討し、自社に合った目標を立てられるよう意識してください。
自社のみで取り組むのが不安な場合やリソースが足りない場合は、外部の企業にサポートを依頼する方法もあります。自社にあった方法で取り組む方法を、ぜひ検討してみてください。

おわりに

業務効率化に限らず、目標設定は初歩的でありつつもとても大切な行程です。ご紹介した目標例を参考に、ぜひご自身でも取り組んでみてください。また、合わせて業務の見える化に関する資料と動画を無料で公開しています。ぜひご覧ください!

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