デシジョンツリー(Decision Tree)とは、意思決定の場面でとりうる選択肢と、その先で起こりうる結果を樹形図で整理し、確率と金額などの数値から「期待値」を算出して比較するフレームワークです。
日本語では「決定木」とも呼ばれます。新規事業への投資判断、ツール導入、価格設定、リスク対応など、正解がひとつに決まらない判断を論理的・客観的に行うために使います。

デシジョンツリーは3種類のノード(記号)だけで作成できます。自分で選べる判断を表す「意思決定ノード(□)」、自分ではコントロールできない不確実な事象と発生確率を表す「確率ノード(○)」、最終的な結果を表す「終点ノード(△)」です。作成は次の4ステップで進めます。

  • テーマ・ゴール・評価方法を決める
  • 始点に意思決定ノードを置く
  • 選択肢と起こりうる結果を確率付きで広げる
  • 終点まで展開し、期待値を計算して比較する

たとえば、成功確率60%で1,000万円の利益、失敗確率40%で200万円の損失が見込まれる施策の期待値は520万円です(0.6×1,000万円+0.4×−200万円)。
この計算によって、すべての選択肢を同じ物差しで比較できます。

2026年現在は、作図の手間も大きく減っています。
LucidchartやFigJamには、テキストで条件を入力するだけでツリー図を自動生成するAI機能があります。
ChatGPTなどの生成AIと連携すれば、対話の内容からそのまま図を作ることもできます。
ただし、確率や金額の根拠はAI任せにせず、実績データや市場調査をもとに人が検証してください。

なお、機械学習の分類・予測モデルとしての「決定木」とは用途が異なります。
本記事では、ビジネスの意思決定手法としてのデシジョンツリーについて、意味と目的、記号の使い方、自動化ツール導入を例にした作り方、作成に役立つツールまでを解説します。

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デシジョンツリーとは

言葉の意味

ディシジョンツリー(Decision Tree)とは、目標やゴールに向かう際にとりうる選択肢を洗い出し、それぞれを評価・比較した上で、実際に取り組む選択肢を決定するために用いるフレームワークです。
樹形図の形で洗い出すので「ツリー」という名前がついており、そのまま漢字で「決定木」と書かれることもあります。

デシジョンツリーのイメージ画像です
デシジョンツリーのサンプルイメージ

目的と用途

ディシジョンツリーを用いる目的は、ビジネスにおいて論理的に正しい意思決定をすることです。ビジネスを進める上では意思決定が必要な場面がありますが、主観や直感に任せて判断したり、なんとなく理由がないまま進めるのでは適切ではありません。
ディシジョンツリーでは、考えられる選択肢を洗い出した上で数値に基づいて比較・検討することができるため、論理的・客観的な判断に役立ちます。したがって、戦略の立案から分析、事業検証などさまざまな場面で役立てることができます。

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デシジョンツリーに用いられる記号

デシジョンツリーは一般的に「ノード」という要素を用いて作成されます。冒頭の図にあるような正方形と丸形のノードを用いて、それらを線で繋ぐことで分岐を表現します。以下では、それぞれの記号の意味と使い方をご紹介します。

意思決定ノード

意思決定者が判断できる事柄を表したものです。主に始点に用いられ、正方形で表します。デシジョンツリーの始点になるので、一つのツリーに対して必ず一つ使用します。

意思決定ノードの画像です

確率ノード・イベントノード

こちらは選択肢を表すノードです。意思決定ノードから伸びた線の分岐先に配置します。確率ノードから確率ノードに移動する場合もあり、個数に決まりはありません。

確率・イベントノードの画像です

終点ノード

デシジョンツリーの終点を示すノードで、左向きの正三角形で表します。これ以降にノードを置くこと・線を結ぶことは絶対にありません。ほとんどの場合、終点ノードの右側に結果を記入します。

終点ノードの画像です

上記3つを線で繋ぐだけで簡単に図を作成することができます。フローチャートなどと比べて、利用する記号の要素が少ないこともデシジョンツリーのポイントです。

デシジョンツリーの作成ステップ

デシジョンツリーの作成方法はとてもシンプルで、ざっくりまとめると4つのステップで取り組むことができます。今回は“業務効率化のために自動化ツールの導入を検討している場面”で使用したデシジョンツリーを例に、ツリーの作成方法をご説明します。

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1. テーマとゴールを明らかにする

基本的ですが、最も重要なステップです。デシジョンツリーを作り始める前に、検討内容とゴール、評価の方法について整理しましょう。いきなりツリー形式でまとめては遠回りとなり、修正に時間がかかってしまうためです。
特に重要なのは評価の方法です。デシジョンツリーでは全項目を数値的に評価しますが、用いる計算式は検討内容によって異なるため一概には決められません。デシジョンツリーのテーマに合わせて考えてみてください。例えば今回作成したデシジョンツリーでは、以下のように箇条書きでまとめてからスタートします。

  • テーマ: 業務効率化のために導入する自動化ツールを検討する
  • ゴール: 各ツールの費用対効果を明らかにする
  • 結果の求め方:
    • ツールの導入費用と見込みのコスト削減額、発生確率を洗い出し、導入費用に対する各ツールの評価額を求める
    • 導入効果は各ツールのサイトと口コミを参考に決定する

2. テーマを配置する

デシジョンツリー作成にあたっての大枠を確認できたら、実際にツリーの作成に入ります。はじめに、ツリーの始点として意思決定ノードを配置します。以下の画像の黄色枠の部分です。

ステップ2のイメージ画像です

意思決定ノードを配置したら、合わせて今回のテーマを記入しておきます。何について検討しているかが分かるよう、テーマは一言でまとめましょう。

3. 考えられる選択肢を並べていく

次に、2.で配置した意思決定ノードから選択肢を分けていきます。考えられる選択肢を網羅的に洗い出し、一つの選択肢に対して一つの確率ノードを配置していきます。

ステップ3のイメージ画像です

デシジョンツリーでは各選択肢を定量的に判断することで客観的な評価を可能にします。ざっくりでも構いませんので、どの選択肢に対しても数値ベースで評価をしましょう。今回のツリーではツールごとに効率化に対する期待値が異なるため、ツールの種類で分岐した後、導入後の見込みのコスト削減額(どのくらいのコスト削減が見込めるか)と、それぞれの発生確率を記入しています。検討内容によっては、5〜10段階に評価を分けて割り振りを行ったり、その他の観点で重み付けをしたりする方法もあります。

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4. 終着点にたどり着くまで掘り下げる

3.と同じ手順で結論に繋がるまでツリーを展開し続け、終着点にたどり着いたら、三角形の終点ノードを用いてデシジョンツリーをクローズします。

ステップ4のイメージ画像です

今回の例では、削減額と発生確率から期待値を算出し、発生したコストを差し引いた最終的な評価額を比較しました。ツールAがもっとも評価が高いので、最終的にツールAを導入することが決定します。
機能やイメージだけで導入するツールを検討することは難しいですが、このように評価額を算出することで、客観的に効率化の効果を測ることができます。

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デシジョンツリーを作成できるツール

デシジョンツリーは、自由に図式化できるサービスであればどんなツールでも作成することができます。ミニマムな形では、例えばPower PointやGoogleドキュメントの図式化機能でも作成できます。ただ個人的には、チームや部署のメンバーとディスカッションしながら作成でき、編集も簡単にできるよう、以下のようなクラウドサービスを利用することをおすすめします。

Figma

サービスサイト: https://www.figma.com/

Figmaのサイト画像です。

今回の記事ではFigmaを利用してツリーを作成しました。Figmaはデザインツールのため、分かりやすく綺麗に図を作成することができます。操作性がよく、複数名での作業もサクサク行えることが一番のポイントです。

Lucidchart

サービスサイト: https://www.lucidchart.com/pages/

Lucidchartのサイト画像です。

フロー図の作成に特化したサービスで、デシジョンツリー以外の図も作成できます。要素と線を選んで繋ぐだけでツリーを作成することができるため、繰り返しツリーを作成する必要のある場合や、サービスの操作に慣れていない方が作られる場合に便利かと思います。

デシジョンツリーに関するよくある質問(FAQ)

Q1. デシジョンツリーとは何ですか?

選択肢と起こりうる結果を樹形図で整理し、数値で比較する意思決定のフレームワークです。 各選択肢の発生確率と結果(利益・損失など)から期待値を求め、もっとも合理的な選択肢を判断します。主観や直感に頼らず、根拠のある意思決定ができます。

Q2. 「ディシジョンツリー」「決定木」とは違うものですか?

いいえ、同じものです。 英語の「Decision Tree」をカタカナにすると「デシジョンツリー」「ディシジョンツリー」の2通りの表記があり、日本語に訳すと「決定木」になります。どの呼び方でも意味は変わりません。

Q3. デシジョンツリーはどんな場面で使えますか?

結果が不確実で、複数の選択肢を比較する必要がある場面で使えます。 新規事業や設備への投資判断、業務ツールの導入検討、価格設定、採用計画、リスク対策の選定などが代表例です。関係者に判断の根拠を説明する資料としても役立ちます。

Q4. デシジョンツリーで使う記号の意味を教えてください。

基本は「意思決定ノード(□)」「確率ノード(○)」「終点ノード(△)」の3種類です。 意思決定ノードは自分で選べる判断、確率ノードは自分ではコントロールできない事象とその発生確率、終点ノードは最終的な結果を表します。これらを線でつなぐだけで図が完成します。

Q5. デシジョンツリーはどのような手順で作りますか?

4つのステップで作成できます。 ①テーマ・ゴール・評価方法を決める、②始点に意思決定ノードを置く、③選択肢と起こりうる結果を確率付きで広げる、④終点まで展開して期待値を計算・比較する、の順です。特に①で評価方法を決めておくと、作成途中の手戻りを防げます。

Q6. 期待値はどのように計算しますか?

「結果の金額×発生確率」を足し合わせて計算します。 たとえば成功確率60%で利益1,000万円、失敗確率40%で損失200万円なら、0.6×1,000万円+0.4×(−200万円)=520万円です。ここから導入費用などのコストを差し引き、選択肢ごとの最終的な評価額を比較します。

Q7. 確率や金額はどのように決めればよいですか?

過去の実績データ、市場調査、専門家の意見などをもとに見積もります。 正確な数値がなくても、根拠をメモしたうえで概算を置けば比較はできます。判断に迷う場合は、確率を変えて結果がどう変わるかを確認する「感度分析」を行うと、判断の確からしさを高められます。

Q8. ロジックツリーやフローチャートとは何が違いますか?

目的が異なります。 ロジックツリーは問題の原因や解決策を分解して整理する手法、フローチャートは業務や処理の流れを表す図です。デシジョンツリーは、選択肢ごとの結果を確率と数値で評価し、どれを選ぶべきかを決めることに特化しています。

Q9. 機械学習の「決定木」と同じものですか?

考え方は共通していますが、用途は別です。 機械学習の決定木は、データを条件で分岐させて分類や予測を行うアルゴリズムです。ビジネスで使うデシジョンツリーは、人が選択肢を比較して意思決定するための分析手法です。検索時は目的に合った情報かを確認しましょう。

Q10. デシジョンツリーはどのツールで作れますか?AIでも作成できますか?

図形を描けるツールなら何でも作成でき、AIによる自動生成もできます。 PowerPointやGoogleスライドでも作れますが、チームで共同編集するならLucidchartやFigJamなどのクラウドツールが便利です。これらのツールはテキストからツリー図を自動生成するAI機能を備えており、たたき台を短時間で作れます。

まとめ

デシジョンツリーの作成方法について、ご理解いただけましたでしょうか。今回ご紹介した例以外でも様々な場面で利用できますので、ぜひご自身の周りの検討事項に当てはめて利用してみてください。

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