コアコンピタンスとは、企業の中核となるビジネス上の強みのことを指します。この記事ではコアコンピタンスの言葉の意味と具体例、コアコンピタンスを判断する方法についてご紹介しています。ぜひ参考にしてください。

コアコンピタンスとは

言葉の定義

コアコンピタンス(core competence)とは、コア(core=核)とコンピタンス(competence=能力)の2つの英単語からなる言葉で、端的に言うとその企業が持つ圧倒的な強みを指します。経営の専門家であるゲイリー・ハメルとプラハラードが発表した論文の中では、以下のように定義されています。

「顧客に対して、他社には真似のできない自社ならではの価値を提供する、企業の中核的な力」

グロービス経営大学院-コア・コンピタンスとは

また論文の中では、以下の3つの要素を満たすと力である、としています。

  • 顧客に何らかの利益をもたらす自社能力
  • 競合相手に真似されにくい自社能力
  • 複数の商品・市場に推進できる自社能力

当然ではありますが、高い技術力を有していても、顧客が魅力を感じられない技術であれば価値がなく、コアコンピタンスとは言えません。あくまでも、ビジネスにおいて役立てられていることが重要です。

コアコンピタンスの重要性

言わずもがなですが、コアコンピタンスの理解と活用は事業・組織の成長に直結します。

ビジネスにおいてはあらゆる企業が常に競争に晒されており、事業拡大を目指すためには既存サービスに打ち勝ち、後追いしてくるサービスから逃げ続けなければなりません。自社と他社の違いを正しく認識し、自社の強みを生かした経営を行うことは、企業としての優位性を生み出します。反対に、自社のコアコンピタンスを理解せず経営を続けた結果、機会損失が生まれたり、せっかくの強みを潰してしまったりする可能性もあります。
自社ならではの良さを認識しコアコンピタンスとして活用することは、事業や組織としての成長に大きく貢献する重要な要素です。

ちなみに|混同しがちな「ケイパビリティ」とは

コアコンピタンスと並んで自社の強みを示す単語に、ケイパビリティ(capability)があります。厳密な違いではありませんが、一般的には以下のような使い方の違いがあります。

  • コアコンピタンス…バリューチェーンの特定の機能の強み。特定の技術力や製造能力など
  • ケイパビリティ…バリューチェーン全体に関わる組織的な強み。組織構造や業務プロセス

企業を継続的に発展させるためにはどちらもな重要な強みとなるので、両方を組み合わせて取り入れられる状態がベストです。コアコンピタンスを確立したのち、それを十分活用できるよう社内の体制を整えることでケイパビリティを生む、というのが綺麗な流れです。

コアコンピタンスを判断するための要素

コアコンピタンスは、以下の5つの要素で判断されます。一つずつ、具体的にご紹介します。

コアコンピタンスを判断する5つの要素をまとめた画像です。
コアコンピタンスを判断するための5つの要素

模倣可能性(Imitability)

「他社に真似できないか、コピーされる可能性はないか」
誰でも簡単に取り入れられる強みでは、他社から模倣されてしまい、強みを維持できない可能性があります。技術力の向上だけでなく仕組みや業務プロセス、教育方法に差異を作ることで、自社でのみ利用可能な形式を実現することができます。

移動可能性(Transferability)

「他のサービスや事業にも適用可能か」
移動可能性は、特定の商材に限らず複数のサービスや事業にも強みを適用できることを表します。例えば自動車の製造技術を用いてバイクや航空機を製造する、などです。複数事業を展開することで企業を拡大していくために必要な要素です。

代替可能性(Substitutability)

「自社のサービスでなければいけない理由があるか」
何かしらの優位性がなければ、顧客は他社サービスに乗り換えてしまう可能性があります。機能や提供スピード、価格、サポートの質などで、何か1つでも差異を作り、自社ならではのアピールポイントを明確にすることが重要です。

希少性(Scarcity)

「希少価値が高い強みか」
市場の中で希少な技術や人材、組織体制を持つことも強みになります。特定の技術を扱える日本で唯一の技術者がいる、自社の工場にしかない機器がある、などです。希少性が高ければ模倣可能性も低下させることができます。

耐久性(Durability)

「継続的に活用できるか」
市場で勝ち続けるためには、継続的に保持できる強みが必要です。ビジネスモデルや組織づくりの工夫を通して、市場の動きや人事異動による影響を極力受けない状態を作ることがポイントとなります。

コアコンピタンスの具体例

企業ごとのコアコンピタンスの具体例をご紹介します。どの企業も上記5つの判断要素を網羅しているので、確認しながら読んでみてください。

リクルートの「リボンモデル」

リクルートのコアコンピタンスは「リボンモデル」というビジネスモデルです。リボンモデルはユーザーとクライアントを結びつける概念で、名前の通り、以下のようなリボン型で表すことができます。

リクルートはこのリボンモデルをあらゆる業種業界に適用してビジネス化しています。例えば新卒採用を行う企業と就活生をマッチングするリクナビや、美容院と髪を切りたい顧客を繋ぐホットペッパービューティーなどです。このリボンモデルの活用に合わせてナレッジシェアや協働の仕組みづくりを徹底したことで、リクルートならではの文化が生まれ、模倣不可能な形が実現しました。

Google(Alphabet)の「検索エンジン」

Googleのコアコンピタンスは、言わずもがな「検索アルゴリズム」です。手動でwebページを登録するのが一般的であった時代に、コンピュータが自動でWebページを収集するロボット型の検索エンジンを開発しました。合わせて、評価の高いページを上位表示するランクシステムや、単語の使用数で信頼度を計測するシステムを導入することで、ユーザーにとって役立つ情報を上位表示できる、最も優れた検索エンジンとなりました。

また、Googleの持株会社であるAlphabetは、「検索エンジンによって得られたデータを活用することによる、複数事業の展開」をケイパビリティとしています。

Googleはいまや年齢や国籍を問わず全世界にユーザーを抱えているので、web上で行われる行動データからあらゆるユーザーの情報が手に入ります。それらの情報を集積・整理し、ユーザーのニーズや社会の動きを捉えることで、他事業の展開に役立てています。

ナイキの「デザイン」と「マーチャンダイジング」

スニーカーで有名なナイキ(NIKE)では、シューズが機能性に優れていることはもちろんのこと、それに加えて顧客のニーズに合わせた「デザイン性」と「マーチャンダイジング」をコアコンピタンスとしています。

ナイキは一つひとつのスニーカーの、デザインと履き心地への拘りが強いことで有名ですが、合わせて商品の仕入れや価格設定・陳列方法を計画するマーチャンダイジングにも力を注いでいます。製品とその提供プロセスに拘り続けた結果、製品にストーリー性が生まれ、唯一無二の圧倒的なブランド力を築き上げました。

おわりに

コアコンピタンスを作ることで、同業種の企業やサービスとも差異を生み出すことができます。製品、業務プロセス、組織構造など複数の観点から自社の状態を見直し、独自の強みを探してみてください。

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