オフショアとは、ビジネスシーンでは自社の業務を海外企業や子会社に委託することを指します。本記事ではオフショアの意味を中心に、取り組みの目的とオフショアが行われる業務例について紹介します。

オフショアの意味とは

まずは、オフショアの言葉の定義からご説明します。

本来の言葉の意味

オフショア(Off Shore)は「離れる」を意味するOffと「岸」という意味のShoreが組み合わさった英語で、直訳すると「沖から離れて」となります。その意味からビジネス以外では「陸風(陸から海に向かって吹く風)」と解釈されます。サーフィン等で用いられます。

ビジネスシーンでの意味

一方、ビジネスシーンでは「自社の業務を、人件費の安価な海外企業に委託すること」を指します。岸を離れるという意味の通り、日本の企業が海外の企業や子会社に対して業務を委託している状態です。詳細は後ほどご説明しますが、あくまでも本社は日本のまま、一部の単純作業や開発業務を海外の人材に委託することが多いです。
また、オフショアマーケット=海外市場といったように、単純に「海外の」という意味で使用することもあります。シーンに合わせて解釈してください。

参考|金融取引におけるオフショアの意味

オフショアは金融に関わる領域でも使われ、「海外と関わる」という特徴は共通しますが、具体的な言葉の意味は異なります。今回の記事では言及しませんが主に以下のような使い方がありますので、前述の内容と混同しないよう注意してください。

  • オフショア投資…香港やシンガポール、モルディブなど、個人に対する課税がなされない地域で行う投資のこと。日本の金融機関を使用し、円を取引通過とする。
  • オフショアファンド…ファンドの規制や税制が緩やかな地域に設立されるファンド
  • オフショア市場…外国企業や外国政府などの非居住者から調達した資金を他の非居住者に投資して運用する、非居住者間の金融取引が、国内金融市場の取引とは分別して行われる国際金融市場のこと

オフショアに類似している言葉との違い

オフショアに類似した言葉として、オンショアとニアショアについてもご説明します。本拠地は自国ですが、業務の委託先となる場所がそれぞれ異なります。以下の図が概略ですので、参考にしてください。

オフショア、オンショア、ニアショアの違いについて説明した画像です。
オフショア、オンショア、ニアショアの違い

オンショア(On Shore)

オンショアはオフショアの対義語にあたり、日本国内の企業に業務を委託することを指します。例えば東京都内に本社のある企業が、コールセンターや製品の製造工場を北海道や沖縄などの遠隔地に設置する場合です。コストの削減率ではオフショアに劣りますが、言葉や文化の違いがない分、比較的安定してリスクなく仕事を進められるのがポイントです。

ニアショア(Near Shore)

ニアショアはオンショアの中でも本社と距離の近い場所、なかでも地方都市にある企業に委託することを指します。東京と埼玉、大阪と京都くらいの距離で業務を連携するイメージです。工場で製造した製品を本社に送ったり、本社から工場の様子をチェックしに出向いたりする必要のある業務の場合に適しています。

オフショア・オンショア・ニアショアのどれが適しているかは、業務内容や難易度によって異なりますので、委託したい業務に合わせて検討してみてください。

アウトソーシングとオフショアの違い

業務を外部に委託するといえば、最近ではアウトソーシングが一般的になってきています。オフショアは海外への委託に限定しているのに対して、アウトソーシングは“国内外を問わず”、自社の業務を他社や外部のリソースに委託すること全般を指します。したがって、アウトソーシングの中にオフショア、オンショア、ニアショアが内包されています。
また、実際には委託される業務にも違いがあります。厳密な規定はありませんが、オフショアは開発や製造などマニュアル化できる作業の委託に使用されることが多い一方で、アウトソーシングは人事や経理など、専門性が必要な定型業務を委託する際に用いられる傾向があります。
アウトソーシングについてより詳しく知りたい場合には、アウトソーシングの詳細を解説した記事も参考にしてください。

オフショアに取り組む目的

オフショアは主に「コスト削減」と「人材不足の解消」のために導入されます。

コストを削減するため

オフショアを行うもっとも多い理由がコストカットです。特にアジア圏の国の多くは日本よりも低賃金なので、日本国内で同等の業務を委託するよりもオフショアの方が人件費を抑えることができます。また、土地代や建設費用も比較的安価なため、大規模な土地を安く借りて工場を建設することができます。
これらの理由から、工場の製造ラインや物流に関わるセンターの運営など、広大な土地と人手が必要な業務で特に利用されています。

人材不足を解消するため

日本では人材不足が問題ですが、なかでもエンジニアが圧倒的に不足しています。海外には学生時代から専門的にエンジニアリングを学んでいて即戦力として働けるエンジニアが多いため、優秀なIT人材を確保するためにオフショアが活用されます。

実際には、両者を合わせて「低賃金で優秀な人材を確保すること」が目的となってオフショアをしているケースも多く見受けられます。

オフショアが用いられる業務の例

オフショアは開発業務で取り入れられることが多いですが、料金形態や人材のスキルに合わせて、その他にもさまざまな業務に用いられています。国や地域によっても向き不向きがありますが、代表的な例としては以下のような業務があります。

  • システム・アプリ開発業務…開発業務の一部を委託
  • 深夜帯のサーバー監視業務…時差を利用して日本の深夜帯のサーバー監視を委託
  • 製造業などの工場での作業…製品製造ラインでの製造作業
  • 物流センターで発生する業務…製品の梱包や配送のための準備作業

オフショアで業務の委託先となる地域

オフショアで外注先となる場所は、アジア圏にとどまりません。業務内容や雇用形態によっては、ヨーロッパや大西洋などもオフショア先となります。

  • アジア〜太平洋〜アラブ…インド、中国、ベトナム、香港、シンガポール、マカオ
  • ヨーロッパ・地中海…ジャージー島、モナコ、ルクセンブルク
  • 大西洋付近…ヴァージン諸島、バハマ、パナマ、バミューダ

ちなみに|タックスヘイブンとオフショアの関係性

タックスヘイブン(Tax Haven)とは「課税が免除されている、もしくは著しく軽減されている国や地域」のことで、租税回避地や低価税地域とも呼ばれています。主にヨーロッパの植民地だった地域で、国の政策による特別金融区画を設けられており、税制面で優遇措置をとることで海外からの企業や投資などを呼び込んでいます。
そのような税の特典があることから、タックスヘイブンがオフショアの委託先となることも少なくありません。日本で同様のビジネスを行うよりも、課税分を抑えることができます。

オフショアの注意点

オフショアは海外の人材・企業と連携して業務を進める必要があるため、言葉の壁や文化の違いはどうしても発生してしまいます。特にビジネスシーンでは報連相の方法やビジネスマナーなどの細かい部分で差異が生まれる可能性があり、それらがのちに業務の大幅な遅れやトラブルを引き起こしかねません。
現地にも日本人スタッフを派遣する、週次でミーティングを行い情報をキャッチアップできる状態を構築しておく、などの工夫が肝となるので、オフショアを始める際には慎重に取り組んでいく必要があります。

おわりに

オフショアについてご理解いただけましたでしょうか。昨今ではオフショアに限らず、国内での業務委託やアウトソーシングもどんどん一般的になっています。自社の業務にもっとも合う形態は何なのかを検討して、業務効率化の手法としてぜひ取り入れてみてください!

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