プロジェクトを振り返る場として開催される「ポストモーテム会議」。単なる反省会ではなく、チーム全体の成長や組織の改善につなげるプロセスであり、次の成功に向けた大切なステップとなります。

この記事では、ポストモーテム会議の重要性や基本的な進め方、会議の効果を最大化するためのポイントについて詳しく解説します。

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ポストモーテム会議とは

ポストモーテム会議とは、プロジェクト終了後に開催する「振り返りの会議」です。プロジェクト全体を振り返り、うまくいった点・課題となった点を洗い出し、その背景や原因をチームで分析します。そして、そこから導き出した改善策を次回以降のプロジェクトに反映させ、業務の質を高めていくことがポストモーテム会議の目的です。

ポストモーテムの意味

ポストモーテム(Postmortem)は直訳すると「死後の」「事後の」を意味し、医療業界では「検死」を指す言葉です。ビジネスにおいては、プロジェクトやインシデント(事故が発生する一歩手前の状況)の後に行う「事後検証」を意味します。責任を追求するのではなく、失敗から得た学びをチーム全体で共有し、今後の取り組みに活かしていくことが重視されます。

ポストモーテム会議を行うタイミング

ポストモーテム会議が開催される状況としては、主に「プロジェクトの終了後」と「インシデントの対応後」の2つがあります。

プロジェクトにおけるポストモーテム会議は、プロジェクト終了後すぐ(数日以内)に開催します。長期にわたる大規模プロジェクトであれば、一定期間ごと・フェーズごとに中間ポストモーテムを実施することもあります。

一方、インシデントにおけるポストモーテム会議は、トラブルへの対応が一段落したタイミングで早めに実施し、発生原因や再発防止策などを整理・共有します。これにより、インシデントの発生リスクを低減するとともに、同様の問題が再発した際にも迅速かつ的確に対応できる体制が整います。

プレモーテム会議との違い

プレモーテム会議は、プロジェクトが始まる前にリスクを予測し、前もって対策を講じておくための会議です。「プロジェクトが失敗するとしたら何が原因となるか」という視点から、進行中に起こり得るあらゆるリスクや問題点を洗い出します。プロジェクト開始前から対策を立てておくことで、リスクの未然防止につながるとともに、万が一問題が発生しても迅速な対応によって被害を最小限に抑えることができます。

一方、ポストモーテム会議は、プロジェクト終了後に実施される振り返りの場であり、実際に起きた出来事をもとに原因を分析し、改善策を導き出すことを目的としています。このように、プレモーテム会議とポストモーテム会議には、開催する目的やタイミングに違いがあります。

プロジェクトにおけるポストモーテム会議の重要性

プロジェクトにおけるポストモーテム会議は、チームや組織がさらなる成長を遂げるための重要なプロセスです。プロジェクト全体を振り返り、実際に起きた出来事や経験から学ぶことで、同じ失敗を繰り返さず、より質の高いプロジェクト運営につなげられます。プロジェクトの継続的な成功を支える基盤となるため、ポストモーテム会議で得た学びをチームや組織で共有し、次の取り組みに活かしていくことが大切です。

また、プロジェクトに関わったメンバー全員が率直に意見を交わす場となるため、チーム内のコミュニケーションが活性化し、メンバー同士の相互理解や信頼関係の構築にも寄与します。これまでの努力や成果を称え合うなど、プロジェクト完了後の達成感を互いに共有することで、次のプロジェクトに向けてチームのモチベーションを高める効果も期待できます。

ポストモーテム会議の進め方

ポストモーテム会議を効果的に開催するには、事前準備から記録・共有までのプロセスを丁寧に行うことが重要です。ここでは、ポストモーテム会議の基本的な進め方を4つのステップで解説します。

【1】事前にアンケートを配布する

ポストモーテム会議の事前準備として、プロジェクトに携わったメンバーにアンケートを配布し、フィードバックを収集しておきましょう。アンケートは「うまくいったこと」「問題があったこと」「改善できること」などを自由記述で答えてもらう形式がおすすめです。

このプロセスは、各メンバーが自分自身で振り返るきっかけになるとともに、次のステップであるアジェンダの作成にも活用できます。あらかじめ意見を集めておくことで、会議で話し合うべきテーマが明確になり、議論の活性化につなげられます。

【2】会議のアジェンダを作成・共有する

事前にアジェンダを作成し、参加メンバーと共有しておくことで、会議の進行がスムーズになります。事前アンケートに基づき、振り返るべきテーマや議論の順序、時間配分などを明確にまとめておきましょう。

ポストモーテム会議を定期的に開催する組織では、専用のテンプレートを用意しておくのがおすすめです。毎回の会議準備がスムーズになるだけでなく、議論すべきポイントの漏れ漏れを防ぐこともできます。また、参加者全員が共通の視点で振り返りを行えるため、会議の質が向上する効果もあります。

【3】ポストモーテム会議を開催する

会議の進行役を決定し、ポストモーテム会議を開催します。個人の責任を追求する場ではないため、感情的にならず、事実ベースで議論を行うことが重要です。

また、参加者全員が意見を出しやすい雰囲気をつくることも大切なポイントです。質問の仕方を工夫するなどして発言を促し、メンバー全員が積極的に参加できるようサポートすることが求められます。

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【4】改善策を記録・共有する

ポストモーテム会議で話し合った内容は、記録として残し、チーム内で共有することが重要です。単なる振り返りで終わることなく、次のプロジェクトに活かせる形で整理しておきましょう。

ポストモーテム会議の議事録には、以下のような内容を含めると実用性が高まります。

  • 成功した点・課題点の要約
  • 発生した問題の概要とその原因
  • 改善に向けたアクションプラン
  • 各アクションの担当者
  • 優先度や対応期限などの実行計画

これらの内容をドキュメントにまとめ、関係者がいつでも閲覧できる状態にしておくのが理想です。社内のナレッジベースやプロジェクト管理ツールなどに保存することで、組織全体で閲覧・共有が可能となり、問題の再発防止や継続的な改善につなげられます。

ポストモーテム会議の効果を最大化するポイント

ポストモーテム会議を実施しても、それが形式的なものにとどまってしまっては本来の目的を果たすことはできません。ここでは、ポストモーテム会議の効果を高めるための具体的なポイントを紹介します。

責任追及ではなく「学び」を重視する

ポストモーテム会議では、プロジェクトの失敗や課題から学びを得て、次の取り組みに活かすことを重視します。決して責任追及の場ではなく、特定の人物を責めるような言動をするべきではありません。このような雰囲気があると、参加者の意見が出にくくなり、表面的な振り返りで終わってしまいます。

あらかじめポストモーテム会議の目的を参加者に周知するのはもちろん、会議当日も進行役が議論の方向性をコントロールし、事実に基づく建設的な意見交換ができるように働きかけることが大切です。

改善策は実行可能なレベルに落とし込む

改善に向けたアクションプランは、実行可能なレベルまで具体化しておくことが重要です。抽象的なプランでは、次のプロジェクトに活かされず、同じ問題を繰り返してしまうおそれがあります。

プランを確実に実行するには、各アクションに担当者を割り当て、優先度や対応期限も明確に設定しておくのが望ましいでしょう。これにより、責任の所在が明確になり、改善策が形だけで終わるのを防ぐことができます。

AIツールを活用して議事録作成を効率化する

会議内容を記録する際は、文字起こしや自動要約に対応したAIツールの活用がおすすめです。議事録の作成には時間と手間がかかり、内容の共有までに時間を要することもありますが、AIツールによってこのプロセスを自動化・効率化すれば、迅速かつ正確な情報共有が実現します。特に、会議中にリアルタイムで文字起こしができる機能があれば、重要なポイントを聞き逃したり、記録しそびれたりするリスクを大幅に減らせます。

文字起こし&AI議事録作成ツール「Texta」

texta

弊社が提供する「Texta」は、Web会議中の発言をリアルタイムで書き起こす「リアルタイム文字起こし」と、録音された音声データをテキスト化する「音声ファイル文字起こし」の両方に対応しているツールです。文字起こしされた内容は、AIが自動で項目分けや決定事項の抽出を行い、即座に議事録としてまとめてくれます。これらのデータはクラウド上に保存され、オンラインでの編集・共有が可能なため、チーム内での情報共有や会議後のフォローアップが効率化します。

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おわりに

ポストモーテム会議とは、プロジェクト終了後の「振り返りの場」です。成功点や課題の共有、原因分析を通じてプロセスを改善し、次のプロジェクトでより良い成果を出すことを目的としています。責任を追求したり反省を促したりするのではなく、過去の経験から得られる「学び」を重視することで、メンバーが安心して発言できる環境が整い、建設的な改善策を見つけやすくなります。

また、ポストモーテム会議を開催する際は、会議内容の記録が欠かせません。議事録の作成は手間がかかりますが、AIツールを活用すれば効率化でき、スムーズな情報共有が可能となります。ぜひ導入を検討してみてください。

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