新規プロジェクトの立ち上げに伴い、最初に開催するミーティングのことを「キックオフミーティング」といいます。プロジェクト全体の要件や仕様、目標、対応範囲、スケジュール、方向性、メンバーの役割などを確認・共有する場であり、チームの信頼関係を構築するうえでも重要な機会となります。
この記事ではキックオフミーティングの目的とともに、当日までに準備する資料や基本的な進め方について、わかりやすく解説します。
キックオフミーティングとは
キックオフミーティングとは、新しいプロジェクトを始動するにあたって最初に行うミーティングのことです。プロジェクトメンバーが顔を合わせ、これから始まるプロジェクトに向けて互いの認識をすり合わせる機会となります。
ビジネスシーンにおいては「キックオフミーティング」を省略して「キックオフ」と呼ぶことも多く、例えば「来月の頭にキックオフを開催する」「キックオフ開催にあたって資料を準備する」という表現をすることがあります。
ミーティングの参加者
キックオフミーティングはメンバーの顔合わせや認識統一のために行うものであるため、基本的にはプロジェクトに関わるすべてのメンバーが参加するのが望ましいでしょう。社内のメンバーだけで行う場合もあれば、社外の関係者(顧客や取引先などのステークホルダー)を交えて開催する場合もあります。キックオフはプロジェクトを開始するときに各人の認識をすり合わせる場であり、開始後も都度開催する通常のミーティングとは異なる性質を持っています。
ミーティングを行う方法
キックオフミーティングを行うには次のような方法があります。
- 対面
- Web会議システム
- チャットツール
社内のミーティングルームなどに集まる対面式のほか、Web会議システムを通じてオンライン上で顔を合わせる方法もあります。ただし、システムへの接続には制限があるため、少人数で開催するミーティングに向いている方法といえます。チャットツールを使ったミーティングでは顔を見ることができませんが、議論した内容を後から確認できる利点があります。
キックオフミーティングを開催する目的
キックオフミーティングを開催する目的は次のとおりです。
顔合わせ
キックオフミーティングにはプロジェクトチームの顔合わせをする目的があります。ビジネスにおいては社内・社外を含め、顔を知らないメンバーと一緒に仕事をすることも少なくありません。プロジェクトを始める前にメンバー同士で顔を合わせておくことで、互いに安心して仕事を進められるようになります。
方向性の共有
新規プロジェクトの方向性をチーム内で共有することも、キックオフミーティングを行う重要な目的の一つです。チームで足並みを揃えてプロジェクトを進行させるためには、はじめにメンバー全員の認識を合わせておく必要があります。方向性にずれが生じた状態でプロジェクトを始動しても良い成果をあげることはできないため、キックオフミーティングを利用して認識を統一させておくことが重要です。
疑問点の解消
キックオフミーティングはメンバーの疑問を解消する場でもあります。資料を用いて説明したり質疑応答の時間を十分に設けたりと、メンバーが感じている疑問を早めに解消できるよう努めましょう。このとき、資料の内容が不十分な場合には質疑応答に時間がかかりすぎることがあるため、よくある質問をQ&Aとしてまとめておくなど充実した資料を用意することが大切です。
モチベーション向上
キックオフミーティングには新しいプロジェクトを始めるにあたっての決起集会という性質もあります。プロジェクトに関わるメンバー同士で顔を合わせる機会を設け、全員の認識をすり合わせたり疑問を解消したりすることで、これから始動するプロジェクトに向けてメンバーのモチベーションを高める効果が期待できます。
キックオフミーティングまでに準備する資料
キックオフミーティングの開催にあたっては、事前に以下のような資料を準備しておく必要があります。チーム内の認識を統一するための重要なツールとなり、円滑にミーティングを進めることができます。
アジェンダ(議事日程)
キックオフに限らず、ミーティングを開催する際に必ず用意すべき資料がアジェンダ(議事日程)です。当該ミーティングに関する基本情報を簡潔にまとめたもので、会議名や開催日時、開催場所、参加者、議題内容などを記載します。アジェンダは当日に用意することもありますが、基本的にはミーティングを開催する前に配布し、参加メンバーにあらかじめ目を通してもらうのが望ましいでしょう。
議事録の作成や音声の自動文字起こしなら リアルタイム文字起こし・AI要約ツール「Texta」 の利用がおすすめです。
プロジェクトの概要
キックオフミーティングでは、これから始まるプロジェクトの概要をまとめた資料も欠かせません。プロジェクトを始動する背景や課題、目標などを記載した資料をメンバー全員と確認し、チーム内の認識を統一させます。全員が足並みを揃えてプロジェクトに取り組むためには、キックオフミーティングでプロジェクトの目的や方向性を共有しておくことが大切です。
プロジェクトのタスク管理や進捗確認には 業務改善・支援ツール「octpath」 の利用がおすすめです。
プロジェクトのスケジュール
プロジェクトの大まかなスケジュールについても、キックオフミーティングの際に提示できるよう準備しておきましょう。ミーティング当日までに各タスクの開始日と終了日、担当者をある程度把握できている場合は、プロジェクト内の業務を分解して管理するWBS(Work Breakdown Structure)の形式でまとめるのがおすすめです。
プロジェクトは複数のタスクの集合体であり、タスクごとに細かくスケジュール管理することが求められます。以下の記事ではプロジェクト進行を効率的に管理できるWBSツールについて詳しく紹介しています。
キックオフミーティングの進め方
キックオフミーティングの基本的な進め方を4つのステップで解説します。
【1】方向性の共有
キックオフミーティングではまず、新規プロジェクトの方向性についてメンバー全員で確認します。
プロジェクトを通じてどのような目標の達成を目指すのか、プロジェクト開始の背景や目的とともに明確化することで、全員が同じ方向を向き一致団結して取り組めるようになります。この部分が曖昧なままプロジェクトを始めると進行途中にチーム内の意見が合わなくなり、プロジェクト全体が停滞してしまう可能性があります。
【2】運営体制や役割分担の説明
次に、プロジェクトの運営体制やメンバーごとの役割について説明します。
ここではプロジェクトの責任者や連絡窓口などの運営体制と、各人が担当する役割(作業内容や範囲など)を把握できるようにします。前述のWBS形式の資料や体制図をつくっておくと、他のメンバーの役割を知りたいときや特定のタスクの担当者を知りたいときなど、プロジェクト進行中にいつでも確認することができます。
【3】自己紹介
チーム内の認識統一やプロジェクトの説明が一通り終わったら、当該プロジェクトに参加するメンバーの自己紹介を行います。
メンバーの顔合わせはキックオフミーティングを開催する目的の一つであり、円滑にプロジェクトを進めるためにも一人ひとりが話す時間を設けることをおすすめします。ただし、参加人数の多い大規模プロジェクトでは時間がかかりすぎるため、その場合は責任者のみが自己紹介するなど臨機応変に対応しましょう。
【4】質疑応答
キックオフミーティングの最後には質疑応答の時間を設けます。
新しいプロジェクトを始めるにあたり、メンバーに疑問や不明点がある場合は早めに解消しておくことが求められます。全員の認識を統一させて不安なくプロジェクトに取り組めるよう、質疑応答の時間を十分に取るようにしましょう。当然ながらプロジェクト開始後も、メンバーからの質問には迅速に回答できる体制をつくっておく必要があります。
キックオフミーティングを成功に導くポイント
キックオフミーティングを有意義な時間にするためのポイントを紹介します。
資料を準備する
キックオフミーティングを開催する場合は、アジェンダ(議事日程)やプロジェクトの概要・スケジュール表などの資料をあらかじめ準備しておきましょう。ミーティング時にわかりやすい資料があると、プロジェクトに対するメンバーの解像度を高められます。通常業務と並行しながらの資料づくりには時間がかかるため、開催日から逆算して作成スケジュールを組んでおくとよいでしょう。
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質疑応答の時間を設定する
キックオフミーティングに質疑応答は欠かせませんが、質問時間が長くなるとミーティングが間延びしてしまいます。厳密に設定する必要はなくとも、質疑応答の時間はある程度決めておき、時間内に収まらない場合は個別に問い合わせてもらうようにしましょう。個々の疑問解消に努めつつ、チーム全体にとって有意義なキックオフミーティングになるよう心がけることが大切です。
専門用語や社内用語を使わないようにする
キックオフミーティングには経験値の異なるメンバーや社外の関係者が参加することもあるため、専門用語や社内用語はなるべく使わないようにしましょう。プロジェクトチームの認識を統一するうえで、難しい言葉や表現、一部のメンバーしか使わない用語は必要ありません。参加者全員が齟齬(そご)なく理解できるよう、資料をつくる際には平易な文章を意識し、当日説明する際にも複雑な言葉は避けるようにしましょう。
おわりに
キックオフミーティングとは、新しいプロジェクトを始めるときに開催する最初のミーティングを指します。プロジェクトメンバーの顔合わせや方向性の共有、疑問解消などを目的とし、新規プロジェクトに向けてモチベーションを高める効果もあります。
キックオフミーティングでは自己紹介や質疑応答の時間を設けるのが一般的ですが、規模の大きいプロジェクトで行うと時間がかかりすぎるかもしれません。ミーティングが間延びするとメンバーの士気が落ちてしまうため、人数が多い場合は責任者のみ自己紹介する、質疑応答にあてる時間をあらかじめ決めておくなどの対応が求められます。キックオフミーティングはチームの意欲を高める決起集会でもあるため、メンバー全員が有意義だと感じられる時間を提供することが大切です。