フローチャート(業務プロセス図)における「ループ・繰り返し」は、同じ作業を一定の条件に基づいて反復実行するプロセスを可視化する重要要素です。
本記事では、ビジネス実務におけるループ表現の2大手法(ループ記号を使う方法/条件分岐記号を使う方法)の描き方や使い分け、可読性を高めるコツを分かりやすく解説します。
JIS X 0121(ISO 5807)等の情報処理用記号規格や、最新のビジネスプロセスモデル(BPMN 2.0等)においても、実務上の「視認性の高さ」や「運用の誤解防止」には条件分岐(ひし形)を活用したループ構造が標準です。また、現代の業務改善では、単なる静的な図解にとどまらず、プロセスのデジタル化やAIツール連動を前提とした「迷わないフロー設計」が求められます。
記事内の具体例やルールを参考に、現場で誰が見ても一目で理解できるフローチャート作成に役立ててください。
また、フローチャート全体の書き方や利用する記号ごとの意味について解説した記事 もご確認ください。
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この記事の目次
- フローチャートにおけるループ・繰り返しの書き方
- フローチャートでループを記載する際のポイント
- フローチャートのループ(繰り返し)に関するよくある質問(FAQ)
- Q1. フローチャートでループ(繰り返し)を表現する記号には何がありますか?
- Q2. ループ記号と条件分岐記号はどちらを使えばよいですか?
- Q3. 繰り返し処理で一番重要なポイントは何ですか?
- Q4. ループの「開始点」と「戻り先」はどこに矢印を繋げばよいですか?
- Q5. ループ内にさらに条件分岐が入る複雑なフローはどう書けばよいですか?
- Q6. JIS規格やISO規格に沿った正しいループの書き方はありますか?
- Q7. BPMN(ビジネスプロセスモデリング表記)でのループ表記との違いは何ですか?
- Q8. ループ処理が無限に続いてしまう表記ミスを防ぐにはどうすればよいですか?
- Q9. ExcelやVisioでループ付きフローチャートを描く際のコツはありますか?
- Q10. 業務プロセスツールやワークフローシステムへ移行する場合の注意点はありますか?
- さいごに
フローチャートにおけるループ・繰り返しの書き方
ループ・繰り返しは「2回以上実施する可能性がある同じ作業」を表します。繰り返す回数が何回であるかは関係なく、特定の条件に従って反復する作業を表現できます。例えば、営業リストへのメール送信や、社内システムへのデータ入力が具体業務としては該当します。今回は、フローチャートにおけるループ・繰り返しの書き方について2つの方法をご紹介します。
- 「ループ記号」を活用した繰り返しの表現方法
- 「条件分岐記号」を活用した繰り返しの表現方法
それぞれの記載方法を比較するために、例として同じ業務を想定します。
【想定業務】
・メールの送信業務
・リストに記載されているクライアント様全員にメールを送る
・メールは雛形をコピーして送信
・毎回、リスト分すべて送信するまで実施し、リストを消化したら終了
それでは、それぞれでどのような記載になるのかご紹介します。
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方法1: ループ記号を活用した表現方法
繰り返し条件を表現するには以下の記号を活用して、「開始」と 「終了」の内容を表現します。開始の記号には「繰り返し実施する処理の内容」を一言で記載します。

そして、繰り返しが終了する部分に「終了となる条件」を記載します。中間で処理・作業の記号を挟むことで具体的な作業内容を表します。

実際に上記の記号を組み合わせてループを表現すると以下のような形です。

表現方法として中間にある「処理・作業」の記号を除いた形で記載する方法もあります。しかし、もし中間で2ステップ以上の作業が発生する場合は明確に記載することを推奨します。
方法2: 条件分岐を活用した表現方法
次に「条件分岐」の記号を用いてループ処理を表現する方法をご紹介します。以下のひし形の図形を利用して、「繰り返し処理が終了となる条件判断を加えて分岐」という形にします。

少々簡略化された形ではありますが、冒頭のメール送信を繰り返す業務の例だと以下のような形になります。

画像のとおり、「未送信のメールの件数が0件になったら繰り返し処理を終了する」という形の記載になっています。
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ループ記号/条件分岐記号による繰り返し表現の使い分け
筆者のおすすめとしては、「繰り返し処理で実施する作業内容の複雑さ(長さ)」によって使い分けると良いです。
- 繰り返し作業の内容が簡単な(短い)場合 => 繰り返し記号
- 繰り返し作業の内容が複雑な(長い)場合 => 条件分岐記号
理由としては、繰り返し記号内で複雑な処理を表現すると、開始記号と終了記号の間に複数の処理記号が並ぶことになり、「どこからどこまでが繰り返し処理なのか?」の読み取りが難しくなってしまいます。そのため「次に進む条件/戻る条件」を条件分岐記号で表現したほうが全体の可読性が向上します。
フローチャートでループを記載する際のポイント
迷ったら条件分岐記号で繰り返しを表現する
現場のメンバーがフローチャートに慣れていない場合も「条件分岐」の記号を用いて表現することをおすすめします。条件分岐の記号はそもそもの利用頻度が高いということに加え、フローチャートに精通していないメンバーでも直感的に何が表現されているのかを読み取りやすいというメリットがあります。フローチャートの読者・利用者を想定して最適な繰り返し表現を活用してみてください。
繰り返しが継続/終了する条件を意識する
フローチャートでループ処理をわかりやすく表現する場合のポイントとして、「ループ処理が継続or終了する条件を明確にする」ことが挙げられます。例えば、先程のメール送信業務の例では「リスト上でメールを送信していないリストが0件になったら(リストのすべてにメールを送信したら)繰り返しを終了」が該当部分になります。先にこの点を明らかにするとループ表現で明記しなければならないことが明確になります。また、こちらを含めて以下の点を明らかにすることで、わかりやすい繰り返し処理がフローチャートで表現できます。
- 繰り返し処理の開始点: どこから繰り返し処理が開始されるのか
- 繰り返し処理の終了条件: どのような状態になれば繰り返し処理を終わるのか
- 繰り返し処理内で実施する作業: どのような作業を繰り返すのか
フローチャートのループ(繰り返し)に関するよくある質問(FAQ)
Q1. フローチャートでループ(繰り返し)を表現する記号には何がありますか?
主に「ループ記号(繰り返し開始・終了)」と「条件分岐記号(ひし形)」の2種類があります。 ループ記号は開始と終了の範囲を挟んで示します。一方、条件分岐記号は判断基準と矢印の向き(ループバック)で反復を表現します。
Q2. ループ記号と条件分岐記号はどちらを使えばよいですか?
迷った場合は「条件分岐記号」の使用がおすすめです。 条件分岐記号は広く認知されており、直感的に理解しやすいためです。作業手順が1〜2ステップで非常にシンプルな場合のみ、ループ記号を使うとスッキリまとまります。
Q3. 繰り返し処理で一番重要なポイントは何ですか?
「終了条件」を明確に提示することです。 何をもって繰り返しを終えるのか(例:未送信リストが0件になった、承認が得られた等)が不明確だと、永久ループ(無限ループ)のような誤解を生む原因になります。
Q4. ループの「開始点」と「戻り先」はどこに矢印を繋げばよいですか?
繰り返す最初の「処理・作業」の直前(入力側)に矢印を戻します。 判断処理(ひし形)で条件を満たさない場合、矢印を上部の作業ブロック手前に繋ぐことで、正しい処理順序を示せます。
Q5. ループ内にさらに条件分岐が入る複雑なフローはどう書けばよいですか?
全体を1つのサブプロセス(サブルーチン)として切り出すか、条件分岐記号で統一して記述します。 構造が複雑な場合は、ループ記号の中に条件分岐を混ぜるよりも、条件分岐記号に統一したほうが読みやすくなります。
Q6. JIS規格やISO規格に沿った正しいループの書き方はありますか?
JIS X 0121(ISO 5807)にはループ専用記号が定義されています。 ただし、実務のビジネスプロセス図では規格厳守よりも「現場での読みやすさ」が重視されるため、汎用的な条件分岐記号による表現がスタンダードです。
Q7. BPMN(ビジネスプロセスモデリング表記)でのループ表記との違いは何ですか?
BPMNではタスクアイコンにループマーク(丸い矢印)を付記するか、ゲートウェイで制御します。 汎用的なフローチャートよりも厳密な記法ルールがありますが、考え方(判定と反復)の基本は同じです。
Q8. ループ処理が無限に続いてしまう表記ミスを防ぐにはどうすればよいですか?
「YES/NO」などの分岐条件と、データや状態の変化(カウントアップやリスト消化)が正しく連動しているか確認します。 判定記号から出るすべての線に「どのような条件でその線に進むか」を必ず明記します。
Q9. ExcelやVisioでループ付きフローチャートを描く際のコツはありますか?
コネクタ(自動接続線)を活用し、図形を移動しても矢印が崩れないように設定します。 戻り線(ループバック線)は他の処理線と重ならないよう、図形の外側を通すと綺麗に見えます。
Q10. 業務プロセスツールやワークフローシステムへ移行する場合の注意点はありますか?
紙や画像上の表記だけでなく、システム上で「誰が・どの条件で反復するか」のデータ条件を定義しておく必要があります。 ループ条件をあらかじめ整理しておくと、ツール導入時の業務定義がスムーズになります。
さいごに
フローチャートにおけるループ・繰り返しの表記方法についてご理解いただけましたでしょうか。フローチャート全体の書き方や利用する記号ごとの意味について解説した記事も参考にして、ぜひ、わかりやすいフローチャートを作成してみてください。
