業務改善報告書は業務改善への取り組みの完了時または中間レビューの際に提出する結果報告書です。業務改善に取り組む前に提出する業務改善提案書とは異なるドキュメントですので、ご注意ください。本記事では業務改善報告書を作成する目的や意味、構成や書き方まで基本を一式記載します。

業務改善報告書とは

業務改善報告書は業務改善に取り組んだ結果を考察と共に取りまとめたドキュメントです。事前に計画した内容に沿って業務改善に取り組み、どのような結果が得られたのかを報告します。報告書としての分量はケースバイケースですが、サマリー版の場合はA4用紙1〜2枚程度で記載します。詳細版はWordやPowerpointなどに取りまとめても問題ありません。目的に応じて使い分けてください。

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業務改善報告書を作成する目的

業務改善報告書を作成する目的は、単に結果をとりまとめ報告することだけに留まりません。詳細はメリットのご紹介で後述しますが、目的を端的に述べるなら「業務改善の結果を客観的に評価・共有し、組織において効果を最大化するため」といえます。業務改善に取り組んだそもそもの背景や、もともと設定していたゴールへの到達可否を明確に振り返ることで、ズレのない結果整理と継続的な業務改善のためのネクストアクションへ繋げていくことが可能となります。

だれが業務改善報告書を作成するのか

作成者は業務改善のプロジェクトのリーダーや管理者が原則となります。業務改善提案書は現場の担当者から提出される場合もありますが、結果報告書については改善結果に対して責任を負う立場の人が報告を実施するべきです。仮に、作成者が現場のメンバーとなる場合でも、必ずリーダーや管理者がレビューを行い、内容や結果に対する最終的な責任を負うようにしてください。

いつ業務改善報告書を作成するのか

タイミングとして必ず発生するのは業務改善プロジェクトの取り組みが完了した時です。ただ、他にも中間レビューや一時的な振り返りの場合に作成するケースがあります。特に、業務改善のプロジェクトが期をまたぐような長期に渡って実施される場合は、期末や一定期間が経過したタイミングで、当初想定から解離がないか、意図した方向に向かっているかをチェックするために業務改善報告書を活用します。

業務改善報告書を作成するメリット

業務改善報告書を作成することで得られるメリットは主に以下の項目です。

業務改善の結果を客観的に評価する

報告書という形式に結果を取りまとめることで、業務改善に取り組んだメンバー以外も結果を確認し評価することが可能となります。第三者的な視点で結果を見てもらうことで、次に活かせる改善点や新しい発見が見つけられることも少なくありません。

業務改善のノウハウを組織全体に共有する

業務改善の結果を文章に取りまとめると自チーム以外のメンバーにもノウハウや知見を共有できるようになります。特に、業務改善によって一定の効果を得られた場合に、他チームでも同様の施策を実践することで組織として業務改善の効果を最大化できます。

見直しによる抜け漏れの防止

客観的な評価と近いポイントですが、体系的に文章で取りまとめることで振り返りの役目を果たし、抜け漏れやミスのチェックを行うことができます。

さらなる改善点の発見

取り組みについて、全体を再度見直すことで、さらなる改善点を発見できる場合があります。まとまったタイミングで振り返りを実施することで改善策が局所解に陥ることを防ぎ、当初の目的や背景と照らし合わせることで新しいアイディアを生み出します。

ネクストアクションの策定を通じた継続的な改善

理想的な業務改善の取り組みは、継続的に取り組むことです。もちろん、プロジェクトのような動きで1度だけ実施しても効果は得られますが、継続的な改善によって効果を最大化できます。詳細は後述しますが、業務改善報告書の項目としてネクストアクションや今後の動きについて言及する部分があります。当該内容を考察することで、継続的な業務改善を促すことが可能です。

業務改善報告書のサンプル

業務改善報告書のサンプルは以下の通りです。サンプルは雛形としてもご活用いただけるようにダウンロード可能です。

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業務改善報告書のサンプル画像です。
業務改善報告書 サンプル

今回のサンプルは上記のとおりA4用紙1〜2枚程度に収まるものを例示しています。詳細な報告書の場合は、上記のような形以外にPower PointやKeynoteなどのスライドにまとめることも有効です。また、詳細に記述する場合も記載項目に大きな違いはありません。上記を参考に伝えたい内容や詳細度に応じて作成してみてください。

業務改善提案書に記載する項目

提案書に記載すべき項目についてサンプルに沿って一つずつご説明します。重点的に記載すべき項目は報告書の目的や読者によって変わります。ただし、いずれの場合も「得られた効果」が最終的なキーポイントとなるため、定量的にわかりやすく書くように心がけてください。

基本情報とタイトル

最上段に記載する共通部分です。少なくとも提案した日付と提案者がわかるようにしましょう。提案先に直接提出せず、特定の窓口などを介する場合は左上の部分に提出先や担当者名を記載すると良いです。今回、タイトル部分は汎用的な内容として例示していますが、ここである程度提案内容が理解できる形で記載しても構いません。例えば「配送プロセスの標準化による業務改善結果」のように、内容をタイトルにすることで、読み手が前提の認識を持ったうえで読み進めることができます。

「取り組みの概要」

今回着手した業務改善の内容と結果について記載します。もし、事前に業務改善提案書を提出している場合は、そちらの内容を要約して記載するか、参照を渡す形でも問題ありません。ここでは改善施策の概要と結果を簡潔に書くことで、読者は全体を俯瞰的に把握した状態で詳細を読み進めることが可能となります。あくまでも概要なので、細かく書きすぎないように注意してください。

「目的」

そもそも業務改善に取り組んだ背景と目的です。こちらも前項同様、業務改善提案書を提出している場合は、再掲する形で問題ありません。目的を改めて記載することで論点や観点のズレを防ぎ、本質的な結果の評価や反省を行えます。すでに自明な場合がほとんどかと思いますが、報告を受ける側は失念している可能性もあるため、必ず項目として記載しましょう。

「実際に取り組んだ業務改善施策」

今回、実際に取り組んだ業務改善の施策について記載します。ここは、想定ではなく結果として書きましょう。もし、報告書の目的がノウハウの共有である場合、取り組み内容を詳細に記載します。場合によっては図や画像を用いて解説することで、組織全体で齟齬なくノウハウを共有し、再現性のある形で展開できます。

「業務改善実施前の状態」

施策前のBeforeの状態を記載します。ここではターゲットとしていたKGI・KPIの要素を定量的に記載しましょう。もし、指標選定の背景が分かりづらい場合は、なぜ当該指標を選択したのかについて言及すると良いです。

「業務改善実施後の状態」

施策後のAfterの状態を記載します。前項の「業務改善実施前の状態」に対応する形で記載しましょう。結果に対する補足事項がある場合はこちらの項目で記載してください。

「得られた効果」

Before/Afterの状態を比較した結果を記載します。定量的な内容は、差分としての絶対量や比率を記載することでイメージがつかみやすくなります。また、ここでは定性的な効果としてミスの減少や、モチベーションの向上などを記載するとさらに良いです。見落とされがちですが、副次的な効果についても積極的に列挙してください。

「効果継続のための取り組み」

一般的な項目ではありませんが、業務改善で得られた効果を継続・波及させるための方法を記載します。業務改善施策は単発的な取り組みでも効果は得られますが、例えば、業務フローの変更などは継続することが重要です。また、業務改善は試験的・段階的に取り組むケースが多いため、当該改善で得られた効果を組織全体に浸透させるための動きを考察することで中長期に渡って効果を最大化できる可能性が高まります。この観点を持つだけでも、業務改善そのものの見え方が大きく変わりますので、ぜひ、意識して取り組んでみてください。

「評価と考察」

得られた効果に対して考察を述べます。目標の達成・未達についての考察を述べることを基本として、あり得た可能性や反省点などを自由に記載します。考察については、客観性を意識しすぎる必要はありません。この部分については視野を広げるために、実際にプロジェクトに取り組んだメンバー全員で意見を出し合うことも効果的です。

「今後の取り組み」

業務改善について段階的なフェーズに分けている場合は次のフェーズについての施策を、想定していた改善施策が一段落した場合は結果を受けて見えてきた新しい可能性について記載します。

業務改善提案書を作成する際のポイント

客観的に記載する

業務改善報告書は基本的に改善活動に取り組んだ人が作成するため、内容が主観的になりがちです。客観的に作成するための方法として、「定量的に記載する」「第三者的に結果を見せる」ということが挙げられます。定量的な内容記載は、自明の事実として捉えることができます。第三者的な視点は、特に評価を実施する部分において意識することで客観的な判断が可能になります。客観性の担保について不安が残る場合は、一度ドラフトの段階で、プロジェクトメンバー以外の人に見てもらうことが効果的です。

誰が読んでも内容を理解できるように書く

業務改善報告書は経営メンバーや他部署のメンバーなど、直接的に業務に従事していない人が読む場合があります。読み手を意識して報告書を作成することが重要ですが、様々な人に読まれる可能性を考慮して、業務を全く知らない人でも内容を理解できるように意識して記載をしていきましょう。記載項目においては「取り組みの概要」や「目的」の部分でこのことを意識すると、誰にとってもわかりやすい報告書を作成できます。施策の結果得られたノウハウや知見を組織として最大化するためにも、ぜひ意識してみてください。

網羅的に書くことを意識する

客観的に記載するための一つの方法になりますが、網羅性を意識することが重要です。網羅性を意識することで抜け漏れの無い考察が可能になります。

当初の目的・ゴールを念頭においてまとめる

よくある誤りとして、施策に取り組む中で当初の目的ゴールを忘れてしまうことが挙げられます。記載項目にもありますが目的やゴールを意識して全体の結果をまとめることで、当初の施策の意義に立ち返って、ブレの少ない振り返りが可能となります。

継続性を維持するために

業務改善の施策はプロジェクトとして取り組まれることが多いため、効果が一時的なものになってしまうことがほとんどです。今回の記載項目で明示的に「効果継続のための取り組み」という内容を設けていますが、組織やチームとして一度取り組んだメリットをより長きに渡って活かすために非常に重要なポイントとなります。一般的な業務改善報告書では割愛されてしまうことが多い項目ですが、ぜひ意識して振り返ってみてください。

さいごに

業務改善報告書の作成にあたって必要な項目やポイントについて、ご理解いただけましたでしょうか。業務改善はただ取り組むだけでなく、その結果を組織として最大化することが重要となります。 今回ご紹介した項目を意識することで、抜け漏れなく、組織として知見を活用することが可能となります。 ぜひ、業務改善に取り組んだ際には各項目とポイントを意識して振り返りと報告を実施してみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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