BPR(Business Process Re-engineering)においてコンサルティングを活用する場合、メリットはもちろん、注意点やデメリットも存在します。本記事はBPRに取り組むうえでコンサルティングを活用するか迷っている方、実際に利用するうえでのポイントを知りたい方にご活用いただければ幸いです。

BPRについてのおさらい

BPRとは?

BPRはBusiness Process Re-engineering(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の頭文字を取った言葉で、日本語では「業務改革」「業務改善」を意味します。業務を分析し、業務プロセスの見直し、生産方式の変更、業務の統廃合を実施することで効率性・生産性を向上させる活動を指します。

BPRに取り組む際の流れ

BPRは言葉の定義としても抽象度が高く、解釈によって指し示す具体的な活動に幅があります。一般的には、業務改善・生産性向上に関わる一連の取り組みを包括的に指します。全体のアプローチは「要件定義」→「分析」→「設計」→「実施」→「評価」というプロセスをたどります。

BPRの流れを表した画像です
BPRの流れ

BPRコンサルティングについて

BPR コンサルティングとは

BPRの計画・実行を支援をするコンサルティングになります。固定的な業務内容はありませんが、企業の状況やニーズに合わせて、BRPの活動において様々な支援をします。BPRの活動自体が画一的なものではないため、取り組む企業の状態や目的によって実行内容が大きく変わります。そのため、BPRコンサルティングの業務内容もオーダーメイドでカスタマイズされることが一般的です。

BPRコンサルティングは何をしてくれるのか?

コンサルティング内容のオーダーメイド性が高いため、サポート業務もケース・バイ・ケースです。最も深く、長く関わるようなケースだと、BPRに取り組む前の要件定義から参画し、プロジェクト全体の進め方やゴール、期間、方法などを決め、業務分析や改革など実行フェーズもサポートします。ただし、その場合でもコンサルティング会社がBPRの工程すべてを実施してくれることありません。BPRは当然、自社の業務について詳細を把握している作業メンバーやマネージャーが主体的に取り組むことが求めらます。卑近な例ですが、コンサルタントと企業は、医者と患者の関係と近いです。病気を治す場合には、患者自身も自分を見つめ適切な処置・対応を受け入れ行動していく必要があります。

逆に、コンサルティング会社がBPR全体の中でも局所的な役割を担う場合もあります。例えば、最初の要件定義部分で専門知識や見解を借りるケースや、業務分析のフェーズでヒアリングを実施する要因としてのフォロー、アウトプットとなるドキュメンテーション支援など、会社のリソースやスキルに応じて支援内容は流動的です。

BPRコンサルティングの費用はいくらくらいか?

コンサルティングの費用は、通常、工数(1ヶ月あたりどのくらいの人が何時間稼働するか)によって決まります。具体的な金額は支援内容によって増減しますが、1人月あたりの単価で100万円〜200万円ほどになります。金額は、有名なコンサルティングファームであるほど高く、また、依頼する業務に求められる専門性や難易度も金額に影響を与えます。BPRのプロセスでみれば、要件定義やプロジェクト全体のマネジメントは求められるスキルも高く比例して金額も上がります。逆に、単純なドキュメンテーションや業務ヒアリングの支援だけなどであれば、それほど専門性が高くないと判断できます。具体的な費用見積もりの例は以下の通りです。

BPR支援概要の例
・期間: 3ヶ月
・参加するコンサルタントの人数: 2名
・人月単価: 150万円/月
・稼働率: 80%(1ヶ月のうち80%の時間を使って支援)
=> 150万円 x 2人 x 80% x 3ヶ月 = 720万円

BPRコンサルティングは活用するべきか?

BRPコンサルティングの活用は費用が発生するだけでなく、デメリットもあるため慎重に依頼するかどうかの判断を実施するべきです。デメリットやリスクについての詳細は後述しますが、最初に依頼する判断ポイントについて記載します。現在の状況等が当てはまっているかどうか確認してみてください。

BPRに取り組むための人手が足りない

依頼理由として最も多いものの一つです。企業によっては、BPRは経営企画部や経営層が主導して実施するケースが少なくありません。しかし、実際に業務改善を実施するためには現場のメンバーやマネージャーのリソースを必要とします。通常業務が存在するなかでBRPに取り組むため、追加での工数がかかってしまいます。そのような場合はコンサルティングを活用することで、一時的な追加リソースとして活用できるのです。また、このような場合は、依頼する内容や業務の範囲を明確にすることで依頼コストを抑える可能性も高まります。

BRPの専門知識がなく進め方がわからない

BPRは専門的な知識を求められる局面があります。また、専門知識がなくても遂行は可能ですが、手戻りが発生したり、分析の精度が低かったり、改善策の打ち手の案が乏しかったりなど、リスクも少なからず存在します。BPRコンサルタントは、様々な企業の業務改善に取り組んでいるケースが多く、経験も豊富です。そのため、より効果が高くなるような進め方や細かいポイント、具体的な打ち手や他社事例などを豊富に把握していることが多いです。そういった専門的な知識を活用することで、より短期にミスなく高い効果を得られる可能性が高まります。この観点でコンサルティングを依頼する場合は、他社の事例や過去実績などを提示してもらうことで求めているスキルがあるかどうか判断がしやすくなります。

既に一度BPRに失敗している/ BPRを必ず成功させたい

意外と多く見られるケースとして「過去に一度、自社メンバーだけで取り組もうとしたがうまくいかなかったため、コンサルティングを受けながら進めたい」ということがあります。このようなケースでコンサルティングを依頼する場合は、最初の取り組みになぜ失敗したのか?要因分析を徹底的に行う必要があります。そうすることでコンサルタントにカバーしてほしい機能や役割が明確になり、成功確率を高めることができます。

第三者の意見や立場から社内を動かしたい

コンサルティングの大きなメリットとして“外部のメンバー”であるということが挙げられます。業務改革において、特定業務の廃止を伴うような場合、自社メンバーだけで取り組むと抵抗勢力に押し負けたり、合理的な判断ができなかったりというリスクが伴います。コンサルタントという第三者的な客観的な立場からアクション・意見をしてもらうことで、社内の無駄な軋轢を防ぎながら本質的な業務改善に取り組みやすくなります。

BPRコンサルティングを活用するメリット

前項のコンサルティングの活用判断軸と重複する部分はありますが、BPRコンサルティングを活用するメリットには以下があります。

他社のBPR事例や経験を活用できる

BPRは企業によって必要なアプローチや施策が異なります。全く経験がない中で判断をしていくのは難しく、コンサルティングを活用することで他社や過去の事例・経験を有効活用できます。もちろん、常に新たな観点で考えることは重要ですが、事例を参考にすることで失敗を避けやすくなります。

外部リソースの活用でBPRに取り組む期間を短縮できる

コンサルティングという形で外部のリソースを活用することで、BPR施策全体にかかる期間を短縮できる可能性があります。特に、既存業務を対応しているメンバーで主導してBPRに取り組む場合は、時間の捻出が課題になるケースがとても多いです。そのため、プロジェクトマネジメントの機能または、実際に作業を実施するメンバーとしてコンサルティングを活用することでスピーディーに業務改善を進めることができます。実際に自社だけでBPRに取り組む場合の失敗理由として、施策の取り組みが間延びしてしまい、結果的に中座してしまうことがあります。

困難だが本質的な意思決定がしやすくなる

BPRの具体的な施策として、特定の業務の廃止や場合によってはレイオフが発生することもあります。そのような対応は社内メンバーの反発も非常に強く、自社だけだと意思決定・実行が難しいです。BPRの専門家としてコンサルタントから客観的な意見を受けることで、正しい意思決定をしやすくなります。

BPRコンサルティングを活用するリスクとデメリット

コンサルティングの活用は良い面ばかりではなく、リスクやデメリットも存在します。依頼をする際にはそれらを認識、考慮しておくことで失敗してしまう可能性を下げられます。

コンサルティングの依頼にコストが発生する

至極あたりまえですが、コンサルティングには費用が発生します。かつ、人月の費用としては決して安くありません。特にBPRの目的がコスト削減や費用対効果の改善である場合は、コンサルティングフィーが高くつき、本末転倒になりかねません。見込まれる削減コストから、慎重に判断するようにしましょう。

自社にBPRの知見が溜まりづらい

極端な表現ですが、BPRの施策を外部のコンサルタントに丸投げしても、業務改善を実現できる可能性は高いです。しかし、そうするとBPRにおける知識やノウハウが自社に蓄積されません。結果、次回以降にBPRに取り組もうとした際にも再度コンサルタントの力が必要になってしまいます。コンサルティング会社に依頼する場合はパートナーとして協働していくことが重要です。そうすることで、自分たちの手を通じて業務改善のプロセスを体験できるだけでなく、専門家の経験や知見を取り込むことが可能となります。

コンサルティング会社に依頼しても失敗する可能性もある

プロに依頼したからといって、BPRが100%成功するとは限りません。BPRは企業によって取れるアプローチや効果が異なります。それ以外にも、コミュニケーションがうまくいかない、トップダウンで中止の号令が出た、プロジェクトの進みが悪く予定期限を過ぎてしまったなど、様々な失敗要因がありえます。

BPRコンサルティングへの依頼と選定の流れ

BPRコンサルティングを依頼する際の流れをご紹介します。実際に取り組みを開始する前に全体的な流れを理解することで、不要な手戻りや検討漏れのリスクを最小化できます。

1. BPRの目的とゴールの整理

最初に必ずゴールと目的について整理してください。「なぜ業務改善に取り組むのか」「どのような状態が理想的か」を考えます。BPR自体はゴールではなくアプローチ方法なので取り違えないように注意しましょう。最終的な目的を明確にしておくことで判断に迷った場合の指針になりますし、スムーズに残りの内容を決めることができます。良い目標になっているかどうか以下に照らし合わせてチェックしてください。

  • 達成すべき指標が定量的に表現されている
  • 期限が明確に設定されている
  • 多少の困難さを伴うゴールになっている
  • 理由が明確になっている
  • 関係者を考慮して全員にメリットのある目標になっている

業務改善に取り組む上での正しい目標設定の方法をまとめた記事も参考にしてください。

2. 業務改善の対象と範囲を明らかにする

コンサルティング会社に依頼をする前に、可能な範囲で簡単に業務の整理をしてください。業務整理において、理想的には業務一覧表を作成することですが、完璧にまとめる必要はありません。

業務一覧表のサンプルです。
業務一覧表のサンプル

明らかにしていただきたい内容は主に以下です。

  • 業務の一覧
  • それぞれの業務の発生件数
  • 業務ごとにかかっている時間
  • 業務に関わっているメンバー

3. 改善対象となる業務の関係者と調整

BPRの取り組みは作業メンバーの協力が必須であり、コンサルティング会社だけでは進められません。作成した業務一覧をもって関係者に共有・調整をしてください。業務ヒアリングが発生する場合は当然メンバーの業務時間の一部を利用することになりますので、事前に合意を得ておくことが肝心です。

4. BPRの要件を精緻化

コンサルティング会社と協力して業務改善を成功させるためには要件定義が非常に重要です。過去、現場で実際に目にした失敗で「最も提案価格が安いコンサルティング会社に依頼をしたが、認識している要件に抜け漏れが見つかった」ことがありました。実際にコンサルティングに取り組んでもらう前の段階でも明確に要件を伝えることで、認識齟齬の無い提案を受け複数社の選定が用意になります。また、整理した要件は社内での合意形成や認識合わせにも活用できます。要件の取りまとめは形式にこだわる必要はありません。箇条書きでも以下について伝えられれば、精度の高い提案・見積もりを受けられます。

  • 目的
  • 背景
  • 概要
  • 期間
  • 対象業務一覧
  • 期待する納品物
  • 予算の概要
  • 担当者の情報

また、BPRの場合は実際の打ち手は詳細な業務ヒアリングや業務分析をしていく中で決めていくため、この時点で細かく決める必要はありません。もし、実務に従事しているメンバーが持っている案や可能性を取りまとめると、より高精度な施策に繋げやすくなります。

5. コンサルティング会社を探し提案を依頼する

BPRコンサルティング会社の探し方は主に2つあります。

ネット上で探す
コンサルティング会社の一覧サイトや、各企業のホームページからお問い合わせを行う方法です。広く探すことが可能で複数の会社から提案が受けやすいことがメリットである反面、玉石混交となるため選定にスキルが求められます。

知り合いや関係者づてに探す
現場ではこちらのケースが多いです。知り合いの企業に相談したり、別の部署で依頼した実績をたどる方法です。紹介は良いクオリティを提供してくれる企業が見つかりやすい反面、関係性がゆるくなったり、コストが割高となったりする場合があるので注意が必要です。

筆者のおすすめは上記2つを組み合わせる方法です。双方のメリットを活かしながら信頼性が高い企業に適正価格で依頼しやすくなります。
また、提案を依頼する際にRFP(提案依頼書)を作成する場合があります。こちらは「提案するときに教えてほしいこと」をリスト化したものになります。前述の要件と共にこちらの内容もお伝えすると、コンサルティング企業間で齟齬のない提案を受けることができます。作成する場合、体裁にこだわる必要はありません。以下に項目の一例を記載します。

  • 課題解決の方法・支援内容
  • 納品物のサンプル
  • コスト
  • 支援範囲・スコープ
  • 参加予定のメンバー
  • 他社での実績や事例
  • 想定スケジュール
  • 制約事項
  • 契約内容

6. 選定をして依頼するコンサルティング会社を決める

選定は最低でも3社以上から検討することをおすすめします。まれに、知り合いの企業1社にだけ連絡して決定してしまうケースを見ますが、様々な理由(コストが割高、馴れ合いになる、等)で最終的にうまくいかなくなる場合が多いです。理想的には、最初に書類審査を10社程度実施→5社に絞って面談→3社から最終提案→1社を選定という方法が良いです。
選定のポイントは「要件の充足度」と「コスト」の2点になります。それだけでは決めきれない場合に過去の実績や、担当者の情報なども加味して決定します。

自社のリソースだけでBPRに取り組む場合

Kaizen Penguinでは企業の皆様がご自身でBPRや業務改善に取り組めるように様々な情報・ヒントを発信しています。業務改善に役立つ情報をまとめたカテゴリやBPRの一歩先にあたるBPM(ビジネスプロセスマネジメント)について紹介した記事BPMのカテゴリなどがございます。また、実務で利用可能なホワイトペーパーや資料集も合わせてご利用ください。

さいごに

BPRにおけるコンサルティング活用について理解を深めていただけましたでしょうか。コンサルタントに依頼すれば100%BPRが成功するとは限りません。自社の状況や業務を最も理解しているメンバーやマネージャーとコンサルタントが相互に協力しながら強みを補完し合うことが効果の最大化と成功の秘訣です。ぜひ、うまく活用してBPRを成功させてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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