作業の進捗状況を可視化できるだけでなく、業務の標準化にも利用できる「チェックリストツール」。業務の遅れに気づきやすくなる上、作業のミスや抜け漏れの防止にも役立ちます。
この記事では、業務の効率化・標準化を実現するチェックリストツール6選とともに、ツール運用のメリットや選定ポイントについてわかりやすく解説します。
チェックリストツールとは
チェックリストとは「確認が必要な項目を並べたリスト」のことで、確認・検討が終わった項目にチェックマーク(✔︎)を入れるためのチェック欄が付いています。業務にチェックリストを導入することで、各項目が順番通りに漏れなく実施されているか把握できるため、ミスや抜け漏れを防ぎ、作業の品質を高められます。
チェックリストをクラウド上で簡単に管理できるシステムが「チェックリストツール」です。紙に書いたりエクセルで管理したりとアナログな方法もありますが、項目を変更・更新する際は都度チームメンバーにメールやチャットで共有しなければならず、時間と手間がかかります。
また、アナログな管理方法ではフォーマットが決まっていないため担当者独自の作り方・書き方になりほかのメンバーが使いづらかったり、必要な項目をアップデートせずに内容が形骸化してしまったりすることも考えられます。
このようなアナログ管理の問題点・デメリットは、クラウド型のチェックリストツールを用いることですべて解決できます。具体的な機能はツールによって異なりますが、項目の更新履歴が保存されることで誰がいつ更新したのかを一目で確認できる、メンバーの進捗状況もリアルタイムに共有できる、などの利点があります。また、フォーマットが統一化されることでメンバー全員が使いやすいだけでなく、業務の流れや手順について誰もが同じ認識を持てるようになるため、業務の標準化にも大きく寄与します。
【2023年度版】おすすめのチェックリストツール6選
業務の効率化・標準化に役立つおすすめのチェックリストツールを6つピックアップしてご紹介します。チェックリストツールにはさまざまなプラン・機能があるため、複数のツールを比較しながら自社の業務や目的に合うものを選ぶとよいでしょう。
Asana
サービスサイト:Asana
弊社でも利用しているタスク・プロジェクトの管理ツールです。プロジェクトやチームごとにタスクを作成し、それぞれのタスクについて担当者や期限等を登録できます。タスクの優先順位付けや繰り返し設定、リマインダーなどの細かな機能も搭載されています。
ただ、弊社で利用している範囲内では、複雑性の高いプロジェクトや業務よりも一行程度で記載できるような小さなタスクや、簡単なチェックリストの管理に利用することに適している印象です。
プラン | 料金 | ユーザー数 |
---|---|---|
Basic | $0(無料) | 15人まで |
Premium | $10.99/月/人(年間払い) | 上限なし |
Business | $24.99/月/人(年間払い) | 上限なし |
Enterprise | 問い合わせ | 上限なし |
Any.do
サービスサイト:Any.do
世界で3,000万人以上が利用するチェックリストツールで、To-Doからタスク、プロジェクト管理まで対応しています。シンプルなUIとスムーズな操作感が特徴のサービスで、チェックを作成したとき、完了したときなどのサクサクとした動きが印象的です。
また、基本的な進捗管理機能のほか、1日の中で行うチェックリストを作成できる機能、他の業務管理ツールから乗り換える際の移行機能など、細かな便利機能も豊富です。
画面のシンプルさやするするとした操作性を重視したい方におすすめですが、海外サービスで日本語に対応していないことに注意が必要です。
プラン | 料金 |
---|---|
Personal | $0(無料) |
Premiun | $3/月(年間払い) |
Teams | $5/月/人(年間払い) |
Todoist
サービスサイト:Todoist
名前からも分かる通りチェックリストの作成に特化したサービスです。法人だけでなくプライベートでのタスク管理に利用されるケースも多々あります。基本的に一行で記載できるようなシンプルなチェック項目の管理を想定しているため、情報入力の簡単さや一覧としての閲覧のしやすさを重視して設計されています。
細かなチェック項目だけをシンプルに管理したい方に適しています。
プラン | 料金 | 共有数(1プロジェクトあたり) |
---|---|---|
無料 | ¥0(無料) | 5人 |
プロ | ¥488/月(年間払い) | 25人 |
ビジネス | ¥688/月/人(年間払い) | 50人 |
octpath
弊社が提供している業務管理ツールです。業務をフロー形式で可視化し、それぞれのステップに対してマニュアルやチェックリストの挿入ができます。未チェックの場合はアラートを表示したり、チェックの内容に応じて後続作業を自動で分岐したりすることで、ミスや遅れの削減に繋がります。
純粋なチェックリストツールではありませんが、チェックリストの利用対象業務がフロー形式で進んでいる方、手順や進捗状況もまとめて管理したい方はぜひご確認ください。
プラン | 料金 |
---|---|
スタンダード | 1ユーザーにつき¥1,500/月 |
toaster team
サービスサイト:toaster team
チェックリストとマニュアルが融合したようなツールで、製造や飲食、情報通信など幅広い業種で2,000社以上の導入実績があります。チェックリストだけでなく画像や手順も合わせて登録可能なため、業務情報の一元管理にも役立ちます。また、業務をテンプレート化することでマニュアルとしても活用できるため、引き継ぎや教育の手間も抑えられます。
チェックリストとマニュアルをまとめて管理したい方、ある程度手順が複雑なチェック項目の管理がしたい方におすすめです。
プラン | 料金 | 編集・閲覧アカウント数 |
---|---|---|
ライト | ¥35,000/月(年間契約) | 50 |
スタンダード | ¥60,000/月(年間契約) | 100 |
ビジネス | ¥120,000/月(年間契約) | 200 |
※初期費用10万円(全プラン共通)
Bizer team
サービスサイト:Bizer team
主にバックオフィスを対象として、チェックリストが作成できるツールです。厳密に制御はされていませんが、流れを作るような形でチェックリストを作成できます。それぞれに担当者やリマインダーの設定ができるほか、簡単な作業メモを利用して業務内容や手順もまとめて管理できます。また、一度作成したチェックリストをテンプレートとして再利用できることから定型業務の標準化にもつながります。
バックオフィスで定型的な業務を担当されていて、複雑性のないシンプルな作業の管理がしたい方に適しています。
プラン | 料金 | ユーザー数 |
---|---|---|
ライト | 1,980円/月/人(年間払い) | 30人まで |
ビジネス | 2,980円/月/人(年間払い) | 1人から上限なし |
エンタープライズ | 3,780円/月/人(年間払い) | 100人から上限なし |
チェックリストツールを運用するメリット
チェックリストツールの運用には以下のようなメリットがあります。
作業のミスや抜け漏れを防ぐことができる
チェックリストは、作業において注意してほしい観点や、忘れてはいけないタスクを明確化するために利用されます。チェックリストツールを利用することで期限や担当者と紐付けて作業の必須項目を管理できるため、ミスや作業の抜け漏れ、遅れの発生を防ぐことができます。また、チェックリストの利用によって作業者のミスを減らせることで、管理者による確認やダブルチェックの手間も減らすことができます。
業務効率が改善・向上する
フローが決まっている定型的な業務は自分の頭の中だけで整理しがちですが、効率が悪くなっている部分や改善が必要な部分は見えづらく、無駄な作業をしていてもなかなか気づくことはできません。チェックリストツールでその業務に必要なプロセス・タスクをすべて書き出すと、業務の全体像を把握しやすくなり、非効率となっている作業を見つけやすくなります。業務内容の見直しやブラッシュアップが容易になり、業務効率の改善・向上に役立ちます。
メンバーの進捗状況をリアルタイムで把握できる
業務にチェックリストツールを取り入れると、登録したメンバーの進捗状況をリアルタイムで把握できます。チェックが付いているか付いていないかでどのタスクが完了しているか、どこまで進んでいるかを確認できるため、進捗が遅れている部分やメンバーのパフォーマンスが落ちている部分をいち早く見つけられます。リアルタイムでの進捗共有によって、業務進捗の把握にかかる手間と時間が減り、ミスやトラブルの早期発見・解決につながります。
業務の属人化を防ぎ標準化に寄与する
チェックリストは、オペレーション業務のマニュアルとしても活用できます。業務の引き継ぎをする際に、業務内容やその手順が明確化されたチェックリストがあると、初めてその業務に取り組む人も迷うことなく進められます。業務が属人化すると特定の担当者が休職・退職した際に作業の流れが止まってしまうおそれがあるため、企業としてはどの社員が担当しても同じ品質の仕事ができるよう業務の標準化に取り組まなければなりません。業務内容と手順を記録したチェックリストツールがあれば、業務の属人化が起きにくく、標準的な方法をメンバー全員で共有できます。
チェックリストツールの選定ポイント
自社に最適なチェックリストツールを見極めるための選定ポイントを3つご紹介します。
直感的な操作性の良さ
チェックリストツールは通常業務において日常的に使うものです。そのため、直感的にスムーズに操作できるもの、シンプルな設計で使い方に迷わないものを選ぶことが大切です。また、どのチェックリストツールでもある程度業務管理は可能なため、UI/UXに最も違いが現れます。各ツールのサービスサイトにて活用方法や事例が公開されていますが、実際に自分の手で使ってみなければわからないことも多いため、まずは無料トライアルを実施し操作性を確かめてみることをおすすめします。
自社がツールに求める機能との適合性
チェックリストツールのタイプには、チェックリストに特化したシンプルなツールもあれば、マニュアル機能やプロジェクト管理機能を備えたツールもあります。まずは自社が感じている業務上の課題やチェックリストツールを導入する目的を明確にし、課題の解決や目的の達成のためにはどのような機能が必要か考えることが大切です。
業務改善ツール・システムを取り入れる際は「導入すること」自体が目的になりがちですが、そのツールを実際の業務に最大限に活用し、効率化や標準化などの成果に繋げられなければ意味がありません。はじめに自社の課題を洗い出してチェックリストツールに求める機能や役割を明確にし、それに適合するツールを選ぶとよいでしょう。
プラン・サポートなどのサービス内容
前述しているようにツールによってプランやサポートの内容は大きく異なるため、チェックリストツールの導入にかかる費用や紐付けられるユーザー数、導入前後のサポート体制など、ベンダー側のサービス内容もしっかりと見ておくべきポイントです。
- 初期費用はかかるのか
- 月間払い・年間払いの料金はそれぞれいくらか
- 追加費用がかかるオプションサービスはあるか
- ユーザー数や追加が可能な人数の制限はあるか
- ファイル容量はどのくらいか
- サポート体制が整っているか
- 無料トライアルやデモに対応しているか
複数のプランがあるチェックリストツールの場合、利用料金やユーザー数はプランによって異なり、さらに月間払いと年間払いでも金額に違いがあります。細かいところまで確認し、自社に合うチェックリストツールを選びましょう。
おわりに
チェックリストツールは、日々のタスクを記録・整理し、作業の抜け漏れやミスを防ぐためのツールです。クラウド上で一元管理することで、業務の細かな内容や流れを担当者しか理解していない「属人化」を解消し、誰もが同じクオリティで作業を進められる「標準化」が実現します。
チェックリストツールを選ぶ際は、自社の課題や目的、ツールに求める機能を明確にし、トライアルやデモも活用しながら自社に最適なツールを見極めましょう。