ロジックツリーはビジネスのあらゆる場面で用いられますが、意外と正しく作ることが難しいフレームワークでもあります。ロジックツリーの概要と作り方、ポイントについて解説しているので、参考に作成してみてください。

ロジックツリーの概要|おさらい

ロジックツリーとは

ロジックツリーとは、論理構造を整理するために用いられるフレームワークです。上から下へ要素が分かれていく図が木が枝分かれしていく様に似ていることから、ツリーという名前がついています。
ロジックツリーは階層と枝によって形成されています。例えば以下は、くだものの種類とそれぞれの品種の二段に分けたツリーで、青、黄、赤の3階層に分けられています。

ロジックツリーの具体例です。
くだものを分解したロジックツリーの図

ロジックツリーは共通して上の図のようにまとめられますが、上下の関係性や掘り下げる方法は目的や使用する場面によって少しずつ異なります。詳細は後半でご説明します。

ピラミッドストラクチャーとの違い

ロジックツリーと似たフレームワークに「ピラミッドストラクチャー」と言われるものがあります。ピラミッドストラクチャーは名前の通り、ピラミッド型に論理を並べていくフレームです。展開した形はロジックツリーと同じですが、実際には以下のように用途が異なります。

  • ロジックツリー: 問題解決や、戦略づくりをするとき
  • ピラミッドストラクチャー: 他者に対してメッセージを伝えるとき
ピラミッドストラクチャーのサンプル

ピラミッドストラクチャーは、説得力を持たせるようメッセージの伝え方を整理する際に用いられます。説明したい事柄について、結論を最上段に置き、思考の背景やそのプロセスを切り分けて記載します。上の例では「業務管理システムを導入する」という意思決定に対して理由を説明しています。
業務内での利用というよりはミーティングでの報告やプレゼンの場で利用できるので、こちらも合わせて試してみてください。

ロジックツリーを用いるメリット

ロジックツリーを業務に用いることによる効果は、主に以下です。

全体感を把握できる

思考の中身や事象の状態を構造的にまとめられるため、対象物の全体感を把握できるようになります。したがって、今解くべき課題は全体のどこに位置しているのか、他にどんな論点があるのか、などが明らかになり現状把握が容易になります。

正しい問題発見・解決につながる

問題解決のためには、まずは複雑な状況の中から正しい問題を選びとる必要があります。ロジックツリーを用いることで全体像を理解しやすくなり、問題や課題の切り分けが容易になるため、適切な問題を発見しやすくなります。
同様の理由から要因の洗い出しと根本原因の特定も可能になります。ロジックツリーを組み立てる中で要因と考えられる事柄を網羅的に洗い出すことができ、また、同列の要素間での比較ができるためです。
また、どんなに良い施策があってもはじめに設定した問題が間違っていれば効果は得られません。正しい問題・原因を特定できることで、効果的な解決策の洗い出しにも繋がります。

他のメンバーと共通認識を持ちやすくなる

ロジックツリーは、思考の中身がそのまま図式化されます。全体の中で今どの部分について話しているのか、何をどのように考えているのかをツリーのまま共有できるため、口頭で話すよりも共通認識を持ちやすくなります。

ロジックツリーの種類と作成方法

ロジックツリーは用途によって3種類に分けることができます。それぞれの特徴と、作成方法についてご説明します。

What ツリー|要素分解

Whatツリーは、ある事柄について要素を分解するためのツリーです。上の要素が下の要素を内包するよう、カテゴリを分解していきます。冒頭に添付したくだものに関する図もwhatツリーに該当します。

Whatツリーのイメージ画像です。

Whatツリーは一般的な物事を分解するため、業務の状況に合わせて解が変わる可能性は低いです。また“上の要素に下の要素が内包されているか”、“隣の要素と重複しないか”などから正誤を確認しやすく、WhyやHowツリーよりも比較的簡単に作成することができるかと思います。作成方法というほど細かい手順もないため、上から下へひたすら分解していくのみです。

Whyツリー|原因追求

Whyツリーは、問題の生じている背景や原因を分解しながら、根本原因を探し出すためのツリーです。例えば以下では「業務品質が安定しない」という問題について、品質を安定させるための施策を見つけるために原因の洗い出しをしています。

Whyツリーのサンプル画像です。

Whyツリーはひたすらに「なぜ?」を繰り返していくことで、要因を深く掘り下げていきます。ある程度まで深く堀り下げなければ意味のある解は得られないため、浅い解で終わらないようにしましょう。私は過去に「1つのWhyツリーの中で最低3回はなぜを問うように」と言われたことがありました。また反対に、Whyツリーは掘り下げようと思えばいくらでも掘り下げられてしまうため、目的に合わせて終着点を決めておくことも重要です。

Howツリー|問題解決

Howツリーは、問題解決のための施策を考える際に使われます。目的をトップに置き、大枠の方向性、具体的な施策を細かく割り出していきます。

Howツリーのイメージ画像です。

効率化のための方法をいくつか出した後で、施策を実践するためにさらに具体的に分解します。「どうやって?」を何度も問うイメージです。上の例では、業務を効率化するための施策を洗い出しています。
Howツリーでは業務の洗い出しよりも、実際に取り組む施策を決定することが重要です。洗い出した施策をすべて実行できることは多くなく、実現可能性やインパクトの大きさから判断して優先度の高いものから取り組む必要があるためです。他の選択肢を把握し、検討することで目的に合った良い方法を選ぶことに繋がります。

ロジックツリーを活用するためのポイント

MECEに洗い出せるように

MECE(ミーシー)とは「漏れがなく、ダブりのない状態」を表す言葉で、以下の要素の頭文字をとっています。

  • M: Mutually…相互に
    E: Exclusive…重複せず
  • C: Collectively…全体として
    E: Exhaustive…漏れがない

ロジックツリーは粒度を分け構造的に分解していくことが目的のため、MECEに要素を洗い出せることが最も大切なポイントです。一部の要素、特に上流の階層で漏れやダブりが生じてしまうと、下流の要素の洗い出しにも影響を及ぼしてしまいます。同じ粒度に並ぶ要素はMECEになっているか、逐一確認しながら進めてください。別のメンバーに確認してもらい観点を補いながら進めるのもおすすめです。

目的とゴールを明確にする

先述していますが、ロジックツリーは掘り下げようと思えばいくらでも掘り下げていくことができます。ロジックツリーのアウトプットによって何をしたいのか、どういう解があったら良いのかをあらかじめ明確にしておき、それに合わせた粒度で作成しましょう。特にWhyツリーでは深堀りを続けていくことで、個人の事情や社内の状況など解決のしようがないことまで要因になりえてしまうため、注意してください。

粒度の分け方に気をつける

特にWhy・Howツリーを使用する場合には、最上段に記入する項目の粒度がポイントになります。抽象度が高すぎるといくら下っても答えが出なくなってしまいますが、内容が具体的すぎても重箱の隅をつつくような内容になってしまい、インパクトの薄い問題・施策が出てきてしまいます。当初の想定解と違うアウトプットが出てきてしまった場合には、もう一段上下に分解して確認してみてください。

おわりに

慣れるまでは綺麗なツリーを作成するのに時間がかかるかもしれませんが、網羅的に洗い出せるよう繰り返し取り組むことで、少しずつ考え方が身につきます。ビジネスにおいても、意外と様々な場面で使用することができるので、ぜひ活用してみてください。

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