ビジネスにおいて、正確で迅速な請求書の作成は不可欠です。手作業で行うとミスが生じやすく、時間もかかりますが、適切なテンプレートや作成ソフトを活用することで、効率的に請求業務を行えます。
本記事では、無料で利用できる請求書テンプレートや、便利な請求書作成ソフトを紹介します。これらのツールを使えば、業務の効率化が図れるだけでなく、プロフェッショナルな印象を与えることができます。ぜひご覧ください。
請求書とは
請求書とは、商品やサービスを提供した際に、その対価を請求するための書類です。具体的には、取引内容、金額、支払期限、振込先などの情報が記載されています。
法律上、請求書を発行する義務はありません。しかし、発行者にとってはリスク管理の観点から、受取者にとっては消費税の仕入税額控除制度の利用のため、請求書がある方が便利です。請求書に記載すべき項目については、国税庁のホームページで示されています。
請求書の記載内容
法律上の理由から請求書に記載すべき内容は一定程度の決まりがあります。
請求書に記載が必要な項目は以下の通りです。
- 請求者の名前
- 取引年月日
- 取引内容
- 取引金額
- 請求書の交付を受ける事業者名
なお、請求書の詳しい書き方については、国税庁のサイトを参照してください。
業種・職種別に最適なテンプレートを紹介
請求書はビジネスのニーズは業種や職種によって大きく異なります。効率的かつプロフェッショナルに業務を進めるためには、適切なテンプレートを使用することが重要です。
さまざまな業種・職種に合わせた最適なテンプレートを紹介しますので、ぜひご活用ください。
シンプルな請求書テンプレート
Misoca
引用:https://www.yayoi-kk.co.jp/seikyusho/template/invoice/
シンプルな請求書テンプレートは、Misocaが提供する無料のエクセルテンプレートがおすすめです。
フリーランスの方が使用する請求書として適しています。
シンプルな請求書テンプレートはこちらからダウンロードできます。
デザイン性の高い請求書テンプレート
Adobe Express
引用:https://www.adobe.com/jp/express/templates/invoice
デザイン性の高い請求書テンプレートは、Adobe Expressが提供するテンプレートがおすすめです。800種類を超えるテンプレートがあります。
デザイン性の高い請求書テンプレートはこちらからダウンロードできます。
中小企業向けの請求書テンプレート
Microsoft 365 Create
引用:https://create.microsoft.com/ja-jp/templates/%E8%AB%8B%E6%B1%82-%E6%9B%B8
中小企業向けの請求書テンプレートは、Microsoft 365 Createが提供するワードのテンプレートがおすすめです。
中小企業向けの請求書テンプレートはこちらからダウンロードできます。
請求書管理ツールの紹介
続いて、請求書管理ツールを5つご紹介します。
さまざまな機能を持つ請求書管理ツールを活用することで、請求書の作成や管理が簡単になり、ミスの減少や時間の節約が期待できます。特におすすめの請求書管理ツールをピックアップし、それぞれの特徴と利便性を詳しく解説します。ぜひご参考ください。
SmartDeal(スマートディール)
見積から請求までを一元管理したツールです。
見積書・請求書の作成や管理だけでなく、商談記録・電子署名機能などもあります。
幅広い営業プロセスを効果的にフォロー。受注プロセスを効率的に短縮し、 一気通貫で取引業務を実行します。 速度向上だけでなく、 人的なケアレスミスも削減して 業務効率化できるツールです。
費用は、初期費用+月額費用(請求書の送付リンク数によって変動)です。
SmartDeal(スマートディール)の詳細はこちらをご覧ください。
Money Forward クラウド請求書
引用:https://biz.moneyforward.com/invoice/
見積書・納品書・請求書を管理できるツールです。見積書 → 納品書 → 請求書 → 領収書の流れで書類を簡単に変換できるクラウド型請求書ソフトです。
個人向け、小規模~中小企業向け。
費用は、3,980円/月~で、小規模事業者向け・中小企業向けによって金額プランが異なります。
Money Forward クラウド請求書の詳細はこちらをご覧ください。
楽楽販売
引用:https://www.rakurakuhanbai.jp/
見積・受注・発注・請求・売上・原価収支等の管理を一元化したツールです。
自社の販売管理業務に合わせてカスタマイズして利用することができます。
専門知識がなくても、ノンプログラミングで自社に合わせた専用システムを構築することが可能です。操作画面のレイアウトやデータの表示・非表示を、利用する担当者に合わせて細かく設定します。
費用は、初期費用150,000円+月額費用70,000円~です。(税抜)
楽楽販売の詳細はこちらをご覧ください。
Misoca
引用:https://www.yayoi-kk.co.jp/seikyusho/
請求書・見積書・納品書を簡単に作成し、まとめて管理できるクラウド請求書作成ツールです。
たった1分で見積書・納品書・請求書を作成でき、帳票の発行・送付はワンクリック。さらに自動化で請求業務を効率化できます。
費用は、初期費用が無く、無料プラン~33,500円/年(税抜)です。
Misocaの詳細はこちらをご覧ください。
TOKIUM
請求書受領・経費精算・文書管理などの業務を効率化し、電子データとして一元管理できるツールです。
専任の導入コンサルタントが就き、運用開始までしっかりと支援してもらえます。
費用は、初期費用+基本利用料(10,000円/月~)+従量課金制です。
TOKIUMの詳細はこちらをご覧ください。
請求書に関する法律・規則
請求書は、取引において重要な書類であり、法律や規則に基づいて正確に作成することが求められます。
日本の税法では、請求書に特定の情報を記載することが義務付けられており、特に消費税の仕入税額控除を受けるためには、適切な内容が必要です。また、請求書の発行や保存に関する規則も存在し、これらを遵守することで、取引の透明性と信頼性が向上します。
民法
民法には請求書の有効期限に関する規定があります。
改正民法第166条(再検討の消滅時効)第1項第1号では、有効期限について以下のように定められています。
第166条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
民法では請求書が「債権」として扱われ、その有効期限は5年間です。
5年以上経過すると、請求書は法的効力を失います。つまり、請求書の発行から5年が過ぎて支払いが行われていない場合、法律上支払い義務はなくなります。
取引先とのトラブルを避けるため、請求書の有効期限をしっかりと管理することが重要です。
消費税法
消費税法では、請求書と税の徴収に関する規定が定められています。特に注目すべきは、仕入税額控除の制度です。
仕入税額控除とは、仕入れ時に支払った消費税を控除する制度です。消費税は商品の売買に対して課税されるため、「仕入れ」と「売上」にそれぞれ税金が発生します。
取引先から請求書が届かない場合、本来控除できる仕入れ分の消費税も支払わなければなりませんので、仕入税額控除を受けるには請求書が必須です。
取引先に不利益を与えないためにも、請求書の発行を徹底しましょう。
法人税法
法人税法は、企業が請求書を保存する期間について規定しています。
法人税法により、確定申告の提出期限の翌日から7年間、請求書の保存が必要とされています。
請求書の保存期間は作成日からではなく、確定申告の翌日から数え始めますが、欠損金※の繰越控除を利用する場合、保存期間は7年から10年に延長されます。
自社の営業利益に応じて保存期間が変わる点にも注意が必要です。
※欠損金の繰越控除とは、赤字を翌年の利益から控除する制度で、これにより法人税の負担を軽減できます。
所得税法
所得税法は、個人事業主やフリーランスが請求書を保存する期間について規定しています。
所得税法第63条に従い、個人事業主やフリーランスも、発行および受領した請求書を保存する義務があります。
請求書の保存期間は、確定申告の提出期限から5年間です。ただし、消費税課税事業者の場合は法人と同様に7年間となります。保存期間の起算日は確定申告の翌日から数えます。
請求書を多く持っていて場所を取るからといって廃棄してしまうと、法律違反になりますので注意が必要です。
電子帳簿保存法
電子帳簿保存法は、電子データで作成された請求書の保存に関する法律です。
法人や個人を問わず、請求書の保存義務があるすべての人が対象となります。この法律は、以下の3つの保存方法に分類され、それぞれに特定のルールが設けられています。
- 電子帳簿保存:電子データで作成された帳簿を社内で保存する方法。
- スキャナ保存:紙で発行された書類をスキャンして電子データで保存する方法。
- 電子取引データ保存:電子データで受領した書類を自社内で保存する方法。
保存方法ごとに対象となる書類は異なりますが、請求書はすべての保存方法において対象となります。
まとめ
請求書の作成と管理は、ビジネス運営において重要な役割を果たします。正確で迅速な請求書の作成には、適切なテンプレートや管理ツールを活用することが効果的です。また、法律に基づく請求書の保存期間を守ることで、トラブルを避け、信頼性を向上させることができます。様々な業種・職種に適したテンプレートや、便利な請求書作成ツールを積極的に利用し、業務の効率化を図りましょう。