架電(かでん)とは「電話をかけること」を意味するビジネス用語です。反対語は、電話を受ける「受電」「入電」です。
もともと裁判実務で使われていた言葉で、現在はコールセンターやテレアポ、インサイドセールスなど、電話業務が多い現場を中心に使われています。
日常会話ではほとんど使わず、「家電」「荷電」など同音語も多いため、社外や電話口では「お電話」「電話連絡」と言い換えると確実です。
使い方は「架電する」「架電にて」「架電の件」「架電あり」「架電済」「再架電」の6パターンを覚えれば、メールやチャット、架電リストの記録で困りません。
2026年現在、架電業務を取り巻く環境は大きく変わっています。
スマートフォンの着信スクリーニング機能が広がり、知らない番号からの電話はつながりにくくなりました。
一方で、AIによる自動架電や通話の文字起こし・要約、CRMへの自動記録が普及し、評価の軸は「架電件数」から「商談の質」へ移っています。
2026年7月以降は「060」で始まる携帯電話番号の提供も始まり、架電リストの入力ルールにも見直しが必要です。
ルール面の理解も欠かせません。
個人向けの電話勧誘では、特定商取引法により、勧誘の前に事業者名や目的を告げる義務があり、断った相手への再勧誘は禁止されています。
2026年10月1日からはカスタマーハラスメント対策がすべての事業主の義務となり、電話対応の現場でも対応方針や相談体制の整備が求められます。
この記事では、次の内容をわかりやすく解説します。
- 架電の意味、似た言葉、反対語
- 架電の使い方6パターンの例文と言い換え表現
- 架電業務の内容、架電が多い業種、成功させるコツ
- 架電ツールの機能と、エクセルでの架電リストの作り方
架電の意味
架電の意味を辞書で調べると「電話をかけること」となっています。
「架」は、担架(たんか)、高架(こうか)、十字架などの限られた熟語でしか使われない漢字です。「架け橋」という言葉でも使われているように「わたす」という意味があります。
架電は、もともと裁判の中で「電話をかける」というかわりに、架電という短い熟語が使われていました。そしてコールセンターや電話対応の多い現場でも使われるようになり、現在のようにビジネスシーンで登場する用語になっています。
英語ではCall、またはmake a phone callと翻訳することができます。
架電に似ている言葉
架電と同じ発音の言葉に「荷電」(かでん)があります。
荷電とは、物質や物体が電気を帯びることを指します。荷電は物理で使われる言葉なので、普段の生活で聞いたことがない人も多いと思います。
架電の同じ発音の言葉には他にも以下のものがあります。
- 課電:電圧をかけることを意味する業界用語
- 家電:家庭用の電子器具の総称
- 家伝:その家に代々伝わるもの・方法
変換での打ち間違いをしやすいため、特に注意しましょう。
架電の反対語
電話をかけるのとは反対に、電話を受け取ることを入電(にゅうでん)または受電(じゅでん)といいます。かかってきた電話を受け取る行為を架電というのは、文法的には間違いです。
入電や受電は以下のように使います。
- 入電を受けて、状況を把握しました。
- 入電があったら、私にすぐに知らせてください。
- 顧客からの受電が多いので、対応が追いつかない状況です。
- 受電業務を効率化するためのシステムを導入する予定です。
架電の使い方【例文】
それでは架電という言葉を具体的にどのように使うのか、文例をあげて説明します。例文以外の形で使われる機会は少ないので、パターンを丸ごと覚えてしまうと便利です。
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例文①架電する
「架電する」は、すべて「電話をする」と置き換えることができます。ビジネスシーンやメールのやり取り、書類の中で、敢えて架電を使いたい場合は以下のように表現できます。
- 営業担当者は毎日数多くの顧客に架電しています。
- 重要な商談を進めるため、クライアントに架電して、直接交渉を行っています。
- 問い合わせがあった問題を解決するため、サポート担当者は顧客に架電しています。
例文②架電にて
「電話をかけて」というように架電を方法として説明したいときに使います。電話口で使うことも多い表現となります。例文には以下のようなものがあります。
- 顧客からの緊急の問い合わせには、架電にて直ちに対応いたします。
- 重要な取引先との打ち合わせは、架電にて日程を調整いたします。
- 先日架電にてご連絡した件のご相談です。
例文③架電の件
「電話をした件で」という意味で使います。メール文やSlackやChatworkのようなビジネスチャットツールを使って仕事をしている場合には、「お電話でお伝えした件」と書くよりも「架電の件」と書くことで文章を短くスッキリみせることができるメリットがあります。
架電の件を使った例文には以下のようなものがあります。
- 先ほどの架電の件で、追加資料をメールにてお送りしました。
- 先日の架電の件ですが、その後の進捗はいかがでしょうか?
- 昨日の架電の件、了解いたしました。
例文④架電あり
メモ書きなどによく利用される言葉で「電話がかかってきた」という意味になります。
先ほど、架電は電話をかけることで、電話を受ける場合は入電か受電を使うのが正しいと説明しました。そのため「架電あり」ではなく「入電あり」が正しいのではと思った人もいるでしょう。
「架電あり」は電話したクライアントの目線から見て「クライアントが電話をかけた」という意味で使われていると考えられます。
このように、実際のビジネス現場では「架電あり」という言い方は、電話を受けたという意味で定着しています。混乱しないように注意してください。
よく使われる例文は以下の通りです。
- 取引先の山田様より12時に架電がありました。
- 架電あり。要、折り返し
例文⑤架電済
「電話をかけ終わった」という意味です。テレアポ業務の架電リストでもよく使われる用語です。例文は以下の通りです。
- 先週作成した顧客リストの連絡先は全て架電済みです。
- 取引先企業との打ち合わせの件は、架電済です。
- 架電済のお客様は現在30件です。
例文⑥再架電
「もう一度電話をかける」という意味です。セールスを目的とした架電の場合、一度では電話がつながらず何度もかけなおす必要があるかもしれません。しかし何度もしつこく電話をしたり、相手が電話を断っているにもかかわらず電話を続ける迷惑行為は、法律に触れる場合もあります。再架電をする場合は、会社に対応をきちんと確認して、細心の注意を払って行いましょう。
よく使われる例文は以下の通りです。
- 顧客からの返答が得られなかったので、再架電を試みましたが、やはり繋がりませんでした。
- 営業担当者は、見込み客に再架電して商談を進めようとしています。
- 電話が不通だったので、数時間後に再架電する予定です。
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架電の言い換え
架電は家電のように同じ発音の言葉が多くあり、電話や会話で使うと聞き取りにくい場合があります。またビジネス用語として架電を全く使わない業界や会社も存在します。
そのため、相手が使わないのであれば、あえて架電を使うのではなく、以下のように言い換えると、勘違いを防ぐことができ、相手とのコミュニケーションがよりスムーズになるでしょう。
- 問い合わせがあった問題を解決するため、サポート担当者は顧客に電話連絡をしています。
- 先日、お電話差し上げました件、その後の進捗はいかがでしょうか?
- 取引先の山田様より12時にお電話がありました。
架電業務の内容
架電業務には、主にテレアポ・セールスに代表される営業業務と、コールセンターやカスタマーサポートデスクに代表される対応業務の2つがあります。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
架電営業
見込み客や既存顧客に電話をかけて、商品やサービスの説明をして、商談や契約を取りつける業務です。自分から電話をかけるためアウトバウンドコールと呼ばれます。他にも、テレアポ(テレフォン・アポイントメントの略)、セールスコール、テレマーケティングなどのいろいろな呼び方があります。
架電営業では架電件数を増やして商談獲得数や契約数を増やしたり、効率よく電話をかけて架電率を上げることが目標となります。電話がかかってくることを予測していない見込み客にむけて、突然、電話をする業務もあるため、コミュニケーション能力や精神力が求められる仕事です。
架電対応
顧客や関係者からの電話にすばやく適切に対応する業務です。かかってきた電話に対しての対応のため、インバウンドコールとも呼ばれます。
企業のカスタマーサポート番号にかかってきた問い合わせをコールセンターで受け取り、製品やサービスに関する説明や対応を迅速に行ないます。業務によっては苦情に対応することもあります。またかかってきた問い合わせに対して電話のかけなおしをしたり、フォローアップの電話をかけることも主要な業務です。
架電が必要な業種
架電業務はあらゆる商品・サービスをあつかう業界で必要になりますが、特に架電業務が多い業種には、以下の分野があります。
【架電営業の業務が多い業界】
インターネット、電気・ガス、生命保険、損保、化粧品・健康関連のサービス、結婚式・葬式関連、塾・教材、不動産関連、オフィス機器、通信回線、金融、証券会社、人材派遣
【架電対応の業務が多い業界】
携帯電話、電気・ガス、インターネット、航空会社、旅行代理店、ホテル予約、オンラインショップ、クレジットカード会社、銀行
架電業務を成功させるコツ
メールやチャットメッセージでのやり取りが大半になってきている現在、架電業務が苦手と感じている人もいるかもしれません。しかし、どんなにメールでのやり取りが増えても、電話をかけなくてはいけない場面や架電業務が重要になる仕事も多く存在します。
架電には、誰にでも簡単に取り入れられるコツがありますので、以下のポイントをぜひ参考にしてみてください。
スクリプト(台本)を用意する
スクリプトとは英語で台本を意味し、電話で話す内容をセリフとして書きだしたものです。最初は手間がかかると感じるかもしれませんが、電話をかける前に話す予定の内容を書きだして、整理しておきましょう。
テレビやYou Tube動画で見かける出演者は、話がとても上手ですが、それは才能があるからだけではありません。話が分かりやすい人は、話す前にまず準備をしています。スクリプトを用意せずに、いきなり架電をすることは、完全にアドリブでの演技に挑戦するくらい難しいことなのです。
また架電業務を大人数で行なうときは、どの人でも同じ回答・対応ができるようなマニュアルの準備が必要です。架電する側から話す内容だけではなく、よくある質問への答えもまとめておくと役に立つでしょう。
相手の話を聞く
電話をかけるときは「こちらがたくさん喋らなくては」という気持ちになるかもしれません。しかし、電話のもともとの目的は、相手から情報を聞き出したい、または相手に契約に合意してほしいからだということを忘れないようにしましょう。
相手の話を引き出すには質問をたくさん投げかけることが有効です。伝えたい情報を盛り込みながら、相手の意見やフィードバックを誘うようなスクリプトを作成しましょう。会話の間や呼吸のタイミングを調整することも有効です。
記録をつける
架電が終わったら、必ず記録をつけましょう。電話の内容を書きだし、次のアクションを整理しておくことで架電の効率をアップさせることができます。営業管理ソフトやMAツールの機能を連動させれば、簡単にミスなく管理することも可能になります。
架電ツールとは
架電ツールとは一般的に架電業務の一部を自動化できる装置のことです。テレアポシステム、架電システム、自動架電などと呼ばれることもあります。
架電ツールは電話作業の効率をアップさせるために、パソコンから直接ワンクリックで電話ができたり、複数の電話番号に自動発信をして、相手に繋がった電話をオペレーターに回すことで架電効率を上げる機能があります。
また通話の録音機能や、顧客リスト・対応履歴との連携で業務の効率化を図ることもできます。分析の機能を使えば、オペレーターの架電率や通話時間、成約率などを自動で分析し、よりパフォーマンスのよいオペレーターや結果のよい対応方法を知ることも可能です。
架電リストをエクセルで作成する方法
架電ツールを導入するほどの業務量ではない場合は、エクセルやGoogleスプレッドシートを利用して架電リストを管理することになります。リストは複数名で同時に共有し、誰でも最新の情報を閲覧・更新できるようにしておきましょう。
エクセルのリストには以下のような項目が必要になります。
【架電リストの項目例】
- ステータス(架電未、架電済、再架電、架電禁止など)
- 最新の架電日時
- 架電担当者名
- 連絡先会社名
- 担当者名
- 電話番号
- ウェブサイト
- メールアドレス
- やり取りの内容記録
架電に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 架電とはどういう意味ですか?
架電(かでん)とは「電話をかけること」です。 主にビジネスシーンで使う用語で、コールセンターやテレアポ、インサイドセールスなど電話業務が多い職場でよく使われます。日常会話ではほとんど使いません。
Q2. 架電の反対語は何ですか?
反対語は「受電(じゅでん)」または「入電(にゅうでん)」です。 どちらも電話を受けることを指します。「顧客からの受電が多い」「入電があったら知らせてください」のように使います。
Q3. 「架電あり」は間違った使い方ですか?
本来の意味とは異なりますが、実務では定着した表現です。 架電は電話をかける側の言葉なので、受けた側は「入電あり」と書くのが正確です。ただし「相手が電話をかけてきた」という意味で、伝言メモなどに「架電あり」と書く職場は多くあります。社内の慣習に合わせて使い分けてください。
Q4. 架電は取引先や社外へのメールで使っても問題ありませんか?
失礼にはあたりませんが、言い換えるほうが無難です。 架電を使わない業界や会社もあり、相手に意味が伝わらないことがあります。社外向けには「お電話」「お電話を差し上げた件」と書くと、誤解なく伝わります。
Q5. 架電の言い換え表現には何がありますか?
「電話をかける」「電話連絡をする」「お電話を差し上げる」に言い換えられます。 たとえば「先日の架電の件」は「先日お電話を差し上げた件」、「再架電します」は「改めてお電話します」と表現できます。
Q6. 架電と「荷電」「家電」の違いは何ですか?
読み方は同じ「かでん」ですが、意味はまったく異なります。 荷電は物体が電気を帯びること、家電は家庭用の電気製品、課電は電圧をかけることを指します。変換ミスが起きやすいため、送信前に確認しましょう。
Q7. 架電は英語で何と言いますか?
「call」または「make a phone call」です。 営業目的でこちらからかける電話は「outbound call」、かかってくる電話は「inbound call」と表現します。
Q8. 再架電は何回までしてよいですか?
回数を定めた法律はありませんが、断られた相手への再勧誘は禁止されています。 個人向けの電話勧誘では、特定商取引法により、契約しない意思を示した相手への勧誘の継続や再勧誘ができません。法人向けの場合も、断られた相手は架電リストに「架電禁止」と記録し、社内ルールに沿って対応しましょう。
Q9. 架電業務はAIで自動化できますか?
はい、一部の業務は自動化できます。 リストへの自動発信、通話の録音・文字起こし・要約、CRMへの記録は、架電ツールで自動化できます。AIが一次ヒアリングまで行い、関心を示した相手だけを担当者に引き継ぐサービスも登場しています。知らない番号の電話に出ない人が増えているため、件数を増やすより、つながった通話の質を高める運用が有効です。
Q10. 架電リストにはどんな項目が必要ですか?
ステータス、架電日時、担当者名、相手の会社名・担当者名・電話番号、やり取りの記録が基本です。 ステータスは「架電未」「架電済」「再架電」「架電禁止」に分けると管理しやすくなります。エクセルやGoogleスプレッドシートで作成し、複数名で共有して常に最新の状態に保ちましょう。2026年7月以降は「060」で始まる携帯電話番号も登場しているため、入力規則の見直しも必要です。
おわりに
架電は最近のビジネスシーンでは使う機会が少なくなっている言葉ですが、業界や会社によっては頻繁に使われることもあります。状況によって正しく使い分けたり、言い換えを行ってビジネスでのスムーズなコミュニケーションに役立てていただければ幸いです。
