フローやマニュアルの整備によって作業手順・品質の統一化を目指す「業務標準化」。標準化が進むと社員の誰もが同じ品質の仕事を提供できるようになり、業務効率の改善や生産性の向上につながります。
この記事では、業務標準化に役立つツール7選とともに、ツール選びのポイントと活用方法についてわかりやすく解説します。
業務標準化とは
業務標準化とは、その業務を誰が担当しても同じ品質を担保できるようにフローやマニュアルを整えることをいいます。休暇や退職などで担当者が不在になった際に、業務が止まったり、担当者以外が作業することで通常よりも作業品質が落ちたりすることを防ぐことが目的で、標準化を進めることは「属人化の防止・解消」に大きく寄与します。
業務標準化を実現するには「フロー」と「マニュアル」の2つの標準化に取り組む必要があります。どちらか片方だけが整っていても標準化にはならないため、フローとマニュアルの標準化は同時に進めていくことが重要です。
フローの標準化
フローの標準化とは、社員の誰もが理解できるように業務の流れを整備し、担当者が不在の場合も他のメンバーが作業を進められるようにすることです。標準化されたフローがあれば、その手順通りに作業を進めていけばよいため、人によって作業の流れが変わったり抜け漏れが発生したりすることがなくなります。
業務に同時進行の場面や作業内容に応じた分岐が必要な場面がある場合には、特にフローの整理による効果が得やすいです。
マニュアルの標準化
マニュアルの標準化とは、作業手順や注意点などを文書化し、社員の誰が作業しても一定の品質が保たれるようにすることです。指針となる業務マニュアルがあれば、人によって作業品質にばらつきが生じることはなく、商品・サービスの品質向上につながります。担当者だけでなく、誰もが閲覧・共有できる状態にすることで、属人化も解消されます。
業務の発生頻度が少なかったり、作業者の人数が多かったりする場合には特に有効です。
業務標準化に役立つおすすめツール(フロー管理)
標準化に取り組む際の解決方法として、今回は上項目にあるフロー管理とマニュアル管理に分けておすすめのツールの特徴についてご説明します。
まずは、フロー管理におすすめのツールを4つピックアップしてご紹介します。
Pipefy
サービスサイト:Pipefy
Pipefyはあらゆる種類の業務フローをかんばん形式で簡単に構築・管理できるツールです。人事や財務、マーケティングなど業務ごとのテンプレートも充実しています。フローから取得するデータはグラフへの変換やデータベースとしての確認も可能で、ボトルネックの特定とプロセスの改善、チームのパフォーマンスの把握などに役立ちます。
近頃ではツール連携や自動化に関わる機能も強化しているため、そもそも人手による作業を減らすことで標準化にも近づきます。
プラン | 料金 | ユーザー数 | 容量 |
Starter | 無料 | 10まで | 最大2GB |
Business | $19/人/月 | 無制限 | 最大20GB |
Enterprise | $32/人/月 | 無制限 | カスタム |
Unlimited | カスタム | 無制限 | 無制限 |
※日本語対応していない点にご注意ください。
octpath
octpathは弊社が提供しているプロセスマネジメントツールで、業務をフロー形式で可視化し、そのまま業務管理まで行うことができます。部署や担当者を跨ぐような、流れのある業務の管理に適しており、フロー形式で可視化することで属人化を解消し、作業ミスを防ぎます。各ステップには手順やチェックリスト、記録欄なども登録可能で、業務内容と流れをわかりやすく整理できます。
作業結果に応じた自動分岐やアラート機能もついているため、業務の複雑性が高い業務におすすめです。
プラン | 料金 |
スタンダード | 1ユーザーにつき¥1,500/月 |
ビジネス | Coming Soon |
ジョブステ
サービスサイト:ジョブステ
ジョブステは定型業務の管理に適したツールです。業務をフロー形式で可視化し、それぞれのステップに簡易的な確認事項や選択リストを埋め込むことができます。やるべき業務は担当者ごとにTodoリストとして管理できるため、抜け漏れの発生を防止できます。
また、同シリーズのワークフローシステムとの連携を主な用途として提供されており、申請や承認を伴うような業務が対象となっています。
料金 | 容量 | オプション |
1ユーザーにつき¥300/月 ※年払い:¥3,300 | 50GB | 容量増量: 100GB単位で可。 ¥3,750/契約(月最大1,050GB) |
Bizer team
サービスサイト:Bizer team
Bizer teamはチェックリスト形式でプロセスを管理できるツールで、主にバックオフィスを対象として、プロセスの可視化と進捗管理が可能です。発生頻度の高いタスクはテンプレートとして登録しておくことで、プロセスの標準化とチームの生産性アップを同時に実現できます。業務にかかった時間を登録する工数管理機能もあり、一人ひとりのパフォーマンスの把握・向上に役立てられます。
プラン | 料金 | ユーザー数 |
ライト | ¥1,980/月/人(年間払い) | 30人まで |
ビジネス | ¥2,980/月/人(年間払い) | 1人から上限なし |
エンタープライズ | ¥3,780/月/人(年間払い) | 100人から上限なし |
業務標準化に役立つおすすめツール(マニュアル)
次に、マニュアル管理におすすめのツールを3つピックアップしてご紹介します。
toaster team
サービスサイト:toaster team
toaster teamはマニュアルとナレッジの管理に適したツールで、社内に蓄積された知見や経験をクラウド上に集約できます。マニュアルを簡易的なチェックリストとしても利用可能で、また、文章だけでなく動画マニュアルにも対応しています。社内用語や業界用語、専門用語などを登録できる用語集もあり、新人や未経験者の教育もスムーズに行えます。
プラン | 料金 | 編集・閲覧アカウント数 | 容量 |
ライト | ¥35,000/月(年間契約) | 50 | 100GB |
スタンダード | ¥60,000/月(年間契約) | 100 | 200GB |
ビジネス | ¥120,000/月(年間契約) | 200 | 500GB |
※初期費用10万円(全プラン共通)
Teachme Biz
サービスサイト:Teachme Biz
Teachme Bizは動画を用いたマニュアル作成・管理におすすめのツールです。一つの動画から使いたいシーンだけを切り出せるため、先に一連の作業手順を撮影しておけば、マニュアルに取り入れたい部分をあとから吟味して選ぶことができます。動画マニュアルがスムーズに作れる機能が充実しており、飲食店や工場など現場作業が発生する業界がメインターゲットとなっています。
プラン | 料金 | 編集アカウント数 | 閲覧アカウント数 |
スターター | ¥50,000/月(年間契約) | 10 | 50 |
ベーシック | ¥100,000/月(年間契約) | 30 | 150 |
エンタープライズ | ¥300,000/月(年間契約) | 100 | 500 |
※初期費用は別途問い合わせ
Process Street
サービスサイト:Process Street
Process Streetは「salesforce」や「accenture」などで取り入れられている海外のプロセス管理ツールです。操作性に優れたシンプルなインターフェースが特徴で、登録した業務を簡単なチェックリスト形式で管理できます。海外ツールとしては珍しく承認機能も付属しているため、ケースによってはワークフローとしても利用できます。
プラン | 料金 | 容量 |
Startup | $100/月 | 無制限(5MB/ファイル) |
Pro | $415/月 | 無制限(100MB/ファイル) |
Enterprise | $1,660/月 | 無制限(カスタム制限) |
※日本語対応していない点にご注意ください。
ツールを業務標準化に活用する方法
業務標準化を実現するには「フローの整理」と「タスクのマニュアル化」が必要です。ここではアナログな管理方法と比較しながら、クラウドツールを業務標準化に活用する方法について解説します。
フローを整理する
クラウドツールを用いれば、複雑なワークフローも簡単に整えられます。紙ベースでもフローを整理することはできますが、業務の内容や条件によっては分岐が発生したり確認項目が多かったりするため、フロー作りが複雑化し時間と手間がかかります。フロー管理に特化しているツールなら、作業手順を登録するとそのまま自動で分岐してくれるため、時間と手間をかけずに見た目も整ったフローを作成できます。
また、ワークフローをツールで管理することで、メンバーの進捗状況をリアルタイムに確認できることもツール活用の大きなメリットです。フローに沿って適切に作業が進められているか、時間がかかりすぎているプロセスはないかなど、進捗とともに個々のパフォーマンスも把握できるようになります。
タスクをマニュアル化する
誰が担当しても一定の作業品質を確保するにはタスクのマニュアル化が必要です。クラウドツールであれば、いつ誰がどのような内容を登録・更新したのか他のメンバーもリアルタイムで確認できるため、いつでも最新のマニュアルで作業を進められます。
新しいツールやシステムの導入などで作業内容・手順が変化したとき、マニュアルの内容もあわせて更新していく必要があります。このとき、アナログな管理方法では更新する度に作業メンバーへの周知が必要となり、連絡が漏れていたり確認が遅くなったりしてもなかなか気づくことはできません。その結果、古いマニュアルのままで作業を進めてしまったり、人によって参考にしているマニュアルが異なったりと、作業の進め方や品質にばらつきが生じてしまいます。ツールで管理すればこのような問題点を解消でき、マニュアル作成・運用のスムーズな進行で業務標準化を早期に実現できます。
ツール選定・導入時のポイント
業務標準化ツールを選定・導入する際に重視したいポイントを以下にまとめました。
ツールに求める要件を明確にする
ツール選定においてはまず自社に潜在している課題を洗い出し、ツールに求める要件を明らかにしておく必要があります。標準化に限らずどのようなツールを導入する際にも言えることですが、自社で解決したい課題を先に明確にしておかないと、どの機能が必要なのかわからずツール選びに難航してしまいます。標準化ツールにもフロー管理に向いているタイプ、マニュアル作成に特化したタイプなどさまざまな種類・傾向があるため、まずはツール導入の目的を明確化し、自社の課題解決につながるツールを選ぶことが大切です。
トライアルを実施して操作性を確かめる
クラウドツールの多くは無料トライアルに対応しているため、導入前にはトライアルを行い実際の操作画面で手を動かしてみることをおすすめします。どんなに便利な機能が備わっていても、社員が使いやすいものでなければツール活用が社内に浸透せず、標準化を進めることはできません。資料を読むだけでは細かい操作性までは確認できないため、気になるツールが見つかれば積極的にトライアルを実施してみてください。
スモールスタートから始める
社内に新しいツールを導入するときは、部門や部署を区切って小さい範囲から始めることをおすすめします。実際に運用を進めるなかで課題が生じたとしても、スモールスタートであれば変更や撤退も影響が少なく、比較的容易にできます。初めから全社で導入すると失敗した際のリスクも大きくなるため、まずは小さく始め、効果を実感できたら徐々に範囲を広げていくという進め方がよいでしょう。
おわりに
業務標準化とは、誰もが同じ手順・品質で作業が進められるようになる状態をいいます。そのためにはフローとタスク両方の標準化が必要で、クラウドツールを活用することで効率的かつスピーディーに業務標準化を実現できます。今回ご紹介した業務標準化ツールの特長や機能を比較しながら、自社の課題を解決するツールを探してみてください。